今期からの新しく変わった点
まずは今期から新しく変わった点についてです。今期から大きく変わったのは、決勝トーナメント進出チームの選抜方法です。全勝チーム以外の枠は、ランダムな抽選や勝率を参照するのではなくチームの使用タイトルを参照するようになりました。具体的には、全勝チームの使用しているタイトルがリストアップされ、個々のチームがそれらのタイトルのうちいくつ使用しているかによって評価がつけられます。評価は0~3の4通りが考えられ、これの低い方から優先されます。こういった選出方式は、非公認大会を含めても過去に見ない方式なので、かなり新鮮に感じました。1敗ラインの重要性
予選決勝分けての開催が定着しているトリオサバイバルですが、決勝トーナメントが全勝チームだけで行われるわけではない以上、1敗ラインチームというのは重要な意味を持ってきます。しばしば、「もともと全勝前提で考えるから選出方式は関係ない」というような考え方がされますが、これはあまり良い考え方ではないと思います。運要素の絡むゲームである以上、予選で1回負けられるというのはとてつもないアドバンテージです。優勝を目指す際は1敗ラインからの選出方式にも気を配るべきでしょう。予選はスイスドローで行われるので、1敗ラインのチームはおおよそ全勝チームの回戦数倍くらいの数になります。例えば予選5回戦全勝6チームならば、1敗ラインは30チームほど存在する事になります。
初期の頃の勝率やオポネントを参照する方式では、1敗ラインという価値はあまり高くなく、一つでも多く個人が勝つことが重要でした。3タテに価値があるのが特徴です。これは最も戦略性の低い、勝ち星こそが価値のある基本的な方式です。ネオスタンダードで強いデッキを3つ並べたチームの勝率が高い方式だと思います。
やがて1敗ラインから完全抽選になりました。この方式になると、ブレ幅の大きなデッキをチームに加える戦略が流行しました。3タテに価値がなくなり、どうやっても2勝を取りたいというゲームに変わったので、多少勝率が安定しないデッキでも、格上のデッキに勝てる可能性のあるデッキが好まれるようになります。また完全抽選であることから最も予選全勝の価値が高かった方式でもあります。
そしていよいよ今回の方式ですが、1敗ラインのチームを、勝率ではなく使用タイトルによって順位付けする方式が採用されました。勝率でなければランダムでもないので、これまでにない新たな戦略が考えられるようになりました。
まだ発表されてから日が浅いですし、人によって考え方も異なると思います。今回の記事では、僕の考えを書き連ねていきたいと思います。
理由はこれから色々と書いていきますが、結論から言うと、とても大きいと感じています。ネオスタンダードとはかなり異なる環境だと思います。
例えばネオスタンダード環境が1強環境であった場合、ネオスタンダードではそのデッキか、そのデッキに有利をつけられるデッキが環境を占めます。頂点に位置するデッキに対してあまり勝率の良くないデッキは、ネオスタンダードではほとんど環境にいないと言えます。
しかし、こういったネオス環境で行われるトリオは少し変わってきます。即ち、チーム内に最大でも1つしか頂点となるデッキが存在しない以上、そのデッキに対する注意を払う必要性が低くなります。マッチングする確率は最大でも1/3です。他のタイトルとマッチングする確率の方が高く、残り2こを勝てればチームで勝利となるのがトリオの面白いところです。
例として1強環境について書きましたが、そうでなくともトリオがネオスと全く同じ環境になることはほとんどありません。各環境ごとに考える必要があるでしょう。
これまでもタイトル選びは戦略の一部でしたが、その占める割合はそれほど大きくなかったと思います。なるべくチームの勝率が高くなるように3タイトルを選ぶというくらいのものでした。予選で1敗してしまうと抽選になってしまうので、基本的には全勝を狙うことになります。
それに対して今回の方式だと、必ずしも全勝を狙う必要はありません。1敗でもタイトル次第では抽選なしで決勝に進めるようになりました。これが戦略に大きな影響を与えました。即ち最初から1敗ラインを狙うというのも充分戦略として成り立つようになったわけです。
そもそもWSというゲームは、かなり運要素の大きなゲームです。どんなマッチングでも勝率が100%になることは決してありません。また、新弾があまり強くないTCGでもあります。一昔前のデッキでも、充分に戦える場合が多いと思います。
特に現環境に関して言えば、前環境のトップメタが制限を受けつつも、未だにトップに君臨している環境です。これはかなりタイトル間の強さの違いが小さいという事だと考えています。
このように考えると、タイトル選びの段階ではかなり広い選択肢が用意されていると感じます。ワンチャンスあるデッキが多いので、今回の方式だと1敗ラインを狙った構成が出来ます。
実際に決勝進出チーム選出時に、全勝チームと何タイトル被るかはわかりません。最初から何個被りを狙う、と考えるのはあまり意味がないと思います。
僕がタイトル選びの時点で最重要視するのは、相手に依らない絶対的な強さ、即ち自分の動きがどれくらい強いタイトルなのか、という点です。
例えば今期で言えば、物語とデレマスが中心となるネオスタンダード環境です。ネオスタンダードはこれらを意識せざるを得ない環境です。しかしトリオでは大きく異なります。これらのタイトルと当たる確率の問題なのですが、これまでと違って高々1/3ではないと考えます。いいとこ各20%程度だと考えています。理由は簡単で、選出方式のせいでこれらのタイトルを避けるチームが少なくないからです。選出方式が環境を変えてしまっているわけです。
そう考えた時、環境を見たデッキよりも自分の動きが強いデッキの方が強みを活かしやすいと感じました。対面のタイトルにあまり偏りがない環境なので、どのタイトルに対しても自分の動きが出来るタイトルの方が好ましいと考えています。
経験値というのは文字通り、そのデッキに対するプレイヤーの経験によるものです。ネオスタンダードではデッキに対する経験値よりもそのデッキ自体の強さの方が優先されることが多いと思います。使いやすいデッキを選ぶことよりも、環境タイトルを自分が使いこなせるようになることの方が重視されます。
しかし新しい方式のトリオでは、環境タイトルを使うデメリットが大きく設定されているので、経験値を重視したデッキ選択の方が優れると考えられます。慣れないデッキを練習するよりは、自分の自信のあるタイトルを練習する方が良いのではないかと思います。
各タイトルについて
最後に、今期のトリオサバイバルにおいての各タイトルの考察を簡単にしておきたいと思います。以降では「優先タイトル」という言葉を使っていきます。これは全勝チームが使っているタイトル以外の全タイトルを指す言葉です。詳しくは公式の大会レギュレーションをご参照ください。注目するのはそのタイトルのプール自体の強さ、デッキタイプの多さ、そしてゲームに直接関係ない要素の3点です。プール自体が強ければ強いほど優れますし、デッキタイプが少なければ少ないほど優先タイトルになる可能性が高くなります。またこれ以外の要素も考えねばならないタイトルも少なくなく、総合的に判断する必要があります。
個人的にはあまりオススメのタイトルではありません。中でも特にTPは、相手に依らない強さがあり、全勝出来るくらいの強さがあるデッキではありますが、ハンデもかなり重いと思います。デッキタイプの多さや作品人気から来るタイトル被りが、非常に損に感じます。それでも強力なことには変わらないので、結局チームに入れる事になりそうです。こうやって考えてしまうからトップシェアになってしまうんですよね。
個人的には、物語シリーズを使うならば<真宵>選抜を選びたいと思います。<中学生>ももちろん強いのですが、当たるタイトルが予測しにくい以上、中学生の強さを存分に発揮できるとは限りません。真宵ならば相手に関係なく強みを発揮出来るので、物語シリーズを使うならば真宵選抜を選びたいと思います。
強いデッキが出来たら持っていきたいタイトルですね。
使用者が少ないのは、使いこなすのが難しいからかなと思います。様々なデッキに当たることが予想されるトリオでは、ネオス以上に経験値が重要になって来ると思います。これまで使っていたというプレイヤーはその分の経験値を重視し、多少贔屓目に評価しても良いタイトルではないでしょうか。逆にトリオで使うために今から練習するのはオススメ出来ないタイトルでもあります。他のあまり難しくないデッキの方が良いでしょう。
<だまし神>で組もうとすると、コモンのだまし神が20~30枚程度必要になります。古くは<プリニー隊>からはじまり、<妹達>や<メロディア>、最近だと<テラフォーマー>や<巨人>で見られたようなタイプですが、今回のだまし神は一線を画してます。それは収録パックが人気薄のエクストラブースターという点です。
7月に発売されて以降1度も再版されていない境界の輪廻は、初回生産がかなり少なかったこともあり、かなり流通量の少ない部類に属するパックです。エクストラブースターは1箱に9枚のRRまたはRが封入されているので、その他のカードは27枚で、これはU以下の32種を下回る数字です。だまし神が30枚必要な場合、1カートンでは足りない計算です。
このように初回生産の少ないエクストラブースターで大量に同名カードが必要になるため、デッキとしての流通量は極めて少なくなっています。
トリオサバイバルにおいての青輪廻は、これがそのまま強みになっています。即ち、強い弱い以前にデッキを用意出来るチームがかなり限られている事が、無視出来ないアドバンテージになっているのです。
デッキとしての話を少しすると、相手を見ない強さが今期は素晴らしいと思います。相手のデッキタイプに依らず、ほぼ外れない<集中>で序盤からハンドを整え、<14000>という非常に高いパワーラインで制圧するという単純な動きは、14500を簡単に作れるTPでさえもかなり苦戦する戦術です。
流通量の点からアドバンテージがある輪廻は、今期トリオに参加する際は1番チームに選びたいデッキです。
今期のトリオでは、<バニラ集>採用の炎扉、<チェンジ元>採用がオススメです。上2つを見つつも汎用性を重視した構築です。
バニラ集は明らかに弱いカードなので賛否両論ありますが、現環境ならばそれほど悪くないかなと思います。6500が大事だったニセコイ艦隊環境とは違い、6500の採用率は減少傾向にあり、メリット持ちバニラサイズのカードの採用率が高くなってきています。物語に対しては<ガウル>も<バニラ>も大して差がないですし、やみかんは<メインアタッカー>がバニラサイズです。唯一6500が多投されているであろうTPに対しては、総合的に相性が良いのであまり気になりません。行きに触るためには他のパンプ手段が必要になりますが、中央でサイドアタックでも良いと思います。端のガウルの<7500>がとても高いので、リターンは充分見込めます。返しは<シャミセン>で返ることが多く、バニラでも戦線に貢献出来る機会が多いのではないかと考えています。
クライマックスは<エウテルペ>と黄色の<1001>が基本です。トリオでは行きに返され<ガウル>が7000以下になってしまうと強みが生かせない相手に当たる可能性を考え1001を重視します。効果のブレ幅が大きい風よりも、広く有効に働く炎を採用したいですね。
<チェンジ元>は本来の動きにはあまり必要のないカードですが、物語の<宝連動羽川>を見るならば採用したいと思います。理想的にはこんな感じ
それほど使い方が難しいわけでもなく、強力な動きが出来るデッキなので、広くオススメ出来るデッキのひとつです。
こんなところで、トリオサバイバルの考察を終わりにしたいと思います。いかがだったでしょうか。少しでも参考になったならば幸いです。
僕自身はまだトリオに出る予定はありませんが、機会と仲間に恵まれたなら、是非出てみたいと思います。