対戦形式はBO3からBO1へ、CSPは順位配布となり、また新しい戦いが繰り広げられることになります。
まだあまり情報が出ていませんがCSPが与えられる公認大会も開催が楽しみですね。
今回は開幕戦となったチャンピオンズリーグ2018横浜の参加レポートです。
前編は大会参加までの環境考察と使用デッキ構築の経緯をお届けします。
後編のレポートは対戦結果と大会を終えての考察をお伝えする予定です。
日本チャンピオン決定戦を終えて
今年の日本チャンピオン決定戦の優勝デッキは<サーナイトGX>を主軸としたデッキでした。大会を終えてサーナイトGXの評価は上がりましたがどのデッキにも勝ちうる可能性がある群雄割拠な環境であったかといえるでしょう。
その後チャンピオンズリーグ2018の情報が告知され、その開幕戦がはやくも9月に開催されることととなりました。
日本チャンピオン決定戦から2ヶ月と少し、シーズンオフの期間の短さに驚いたプレーヤーも多かったと思います。
その間にリリースされるカードはひかる伝説と一部プロモーションカードのみ。
ひかる伝説はロイヤルマスク争奪戦のイベントでシールド戦用にパックであり、当初は環境に大幅な変更をもたらさないと考えられていたように思えます。
私もひかる伝説のカードリストが公開された直後はそのような印象を抱いていました。
しかしチャンピオンズリーグ2018横浜大会の結果を振り返ると環境はある1枚のカードによって大きく塗り替えられていました。
ゾロアークGXについて
チャンピオンズリーグ2018横浜大会は<ゾロアークGX>によって支配された大会でした。1進化のカードでありながら<カプ・テテフGX>、<シェイミEX>に次ぐ採用率だったのではないでしょうか。
なぜこのカードがここまで多く採用されたのかを自分なりに考察したいと思います。
特性とりひきについて
手札のカード1枚を捨てカード2枚を引くこの特性はシンプルにして強力です。毎ターン1度だけという制限はありますが場にいる限り手札を整え続けてくれます。
場にドローソースが確保されることで手札を整えるサポートを使わずに済み、<グズマ>や<アセロラ>、<オカルトマニア>といったドロー効果でないサポートを使いやすくなります。
場にいるだけで手札を整える特性を持つポケモンとして他に<ヤレユータン>、<オクタン>がいます。
これらのポケモンと比較して手札枚数に関係なくドローすることができるのはとりひきの1つの強みですがそれだけではありません。ゾロアークGXのとりひきにしかできないことがあります。
それはカードを捨てることです。
場の展開ができている場合、手札にあるポケモンやボールはあまり使い道のないカードです。また<カリン>やオカルトマニアなど、対戦相手によっては効果が薄いカードもあるでしょう。
とりひきはそれらを捨てることで<N>に対する耐性をつけることができます。
終盤の相手のNによって手札が少なくなり思うように戦えなくなることはほとんどのデッキにとっての脅威ですしこれを遠ざけられるのは大きな利点ですね。もちろんゾロアークGXがそのまま場に残っていれば手札を補充できるためよりNに強い状況を作り出せます。
よるのこうしんや<ビークイン>、<ダークライGX>や<ドータクン>などトラッシュを利用するデッキと相性がいいことは言うまでもありません。
ワザ ライオットビートについて
このワザの魅力はなんといっても<ダブル無色>1枚で使えるワザであること。簡単に使えるワザであるにもかかわらずベンチをフル展開すれば120とほとんどのポケモンを2発で倒せるダメージを出すことができます。
<スカイフィールド>でベンチを広げれば180まで最大ダメージは伸び、さらに<こだわりハチマキ>などのダメージをあげるカードをあわせて使えば一撃でEX、GXを倒すことも可能です。
場にポケモンが並べられない場面以外では腐ることがありません。デメリットもなく扱いやすいのが素晴らしいですね。
ダブル無色1枚でワザがつかえる便利さは<カプ・テテフGX>のエナジードライブで皆さんよくご存じだとは思います。
ライオットビートは相手にエネルギーがついていなくても自発的にダメージを伸ばすことができるのは特徴と言えるでしょう。
ワザ トリックスターGXについて
ワザ自体はとても強力です。しかし悪エネを2つ要求されるのはライオットビートと比較すると少し使いづらいワザです。
<エネルギーつけかえ>もしくは<マルチつけかえ>を採用した<ダークライGX>デッキなどではかなり強力なワザとなります。
要求するエネルギーの色がライオットビートと大きく異なるためトリックスターGXを使うデッキとそうでないデッキとでは構築も異なるでしょう。
<ゾロアークGX>は便利な特性、ワザを持ったポケモンであることはおわかりいただけたかと思います。
<ダブル無色>が入っているデッキであればゾロアークGXは腐ることはないでしょう。
1進化のGXポケモンであるため4枚ほどのデッキスペースがあればドローシステムとサブアタッカーを補えるのです。
その便利さ故ゾロアークGXは多くのデッキに採用されました。
<スカイフィールド>から高速で繰り出される高火力ライオットビートを武器にゾロアークGXをメインアタッカーで採用したデッキと、とりひきで後方支援を行いながら状況に応じて前に出て戦うサブアタッカーで採用したデッキと大きく分けて2通りの採用の仕方がありました。
ゾロアークの弱点
<ウソッキー>は特性みちをふさぐによってベンチが制限でき最大火力が下がられるため有効なゾロアークGXの対抗手段です。また、ベンチを展開して戦うため<ゾロアーク>のマインドジャックや<カプ・コケコ>のかいてんひこう、<ネクロズマGX>のブラックレイGXはつらいところがあります。
とはいえ1進化で出しやすくワザも<ダブル無色>1枚ですぐに攻撃できますしゾロアークGXで戦いにくい状況になったらとりひきで支援だけ行うという戦い方ができるためゾロアークGXだけを意識しすぎるのは禁物です。
次弾で登場するマッシブーンGXは、<こうかくレンズ>をつけてジェットパンチをお見舞いすればベンチにいる<ゾロア>もゾロアークGXに進化する前に倒すことができます。ゾロアークGXの天敵になるかもしれません。
環境予想
日本チャンピオン決定戦の環境をベースに考えました。<ゾロアークGX>が便利で強力なカードなのでこのカードが自然と採用できるデッキは伸びます。
具体的にはよるのこうしん、<グソクムシャGX>軸です。
よるのこうしんは<カリン>を使われても攻撃できるアタッカーとなり、よるのこうしんを手札から捨てられるためより強力になりました。
グソクムシャGXデッキは苦手だった炎デッキへ少しだけ耐性ができ、よりダブル無色を効率的に扱えるようになりました。
逆にゾロアークGXが台頭したことで減ったデッキもあります。
<オーロット>です。
ゾロアークGXに弱点を突かれ<ダブル無色>1枚で倒される可能性が高くグッズロックしても特性でカードを引かれてしまうため少し厳しいです。
とはいえ強力なデッキなことは間違いないため、ゾロアークGXに対しても勝利しうるエネ破壊軸のオーロットは一定数いると考えていました。
オーロットの減少によりよるのこうしんの増加、全体的なグッズ採用枚数の増加、それを見越した<ダストダス>の増加を想定。
ゾロアークGXが出たことにより新しいデッキタイプも生まれました。
ゾロアークGX+<ルガルガンGX>です。
ゾロアークGXのとりひきで手札を整えつつルガルガンGXのブラッディアイで相手の育てているポケモンが育ち前に倒しそのまま押し切る攻撃的なデッキです。
私はずっとルガルガンGX+<ビークイン>を調整していてルガルガンGXの弱点をつけるためこのデッキに苦手な思いをしたことがなかったのもありあまりこのデッキを高く評価していませんでした。
しかし総合的にみると早い段階から対戦の主導権を握ることができ、巻き返そうにもとりひきで手札は常に潤沢で場も整っているため簡単に巻き返すことができないデッキだと思います。それなのに早い。
2ターン目からガンガン殴ってきます。先行時の制圧力は圧巻です。
今大会<サーナイトGX>が台頭できなかったのはこのデッキの割合が高く、サーナイトGXに進化する前に倒されつくされ逆転できなかったからだと思っています。
大まかにはこんな感じでとらえていました。
- tier1 <サーナイトGX>、<よるのこうしん>
- tier2 <ゾロアークGX>派生、<ボルケニオンEX>+<バクガメスGX>、<ダストダス>派生、<グソクムシャGX>派生、<ジュナイパーGX>派生、etc・・・
- tier3 <メタグロスGX>、<ゲッコウガ>、<オーロット>
振り返ると反省点だらけです。
ゾロアークGXが強いことはわかっていてもどのようなデッキタイプが出てくるかはわかっておらず、ルガルガンGX+ゾロアークGXのことは甘く見ていました。当然優勝者のようなトリッキーなデッキも頭になかったです。
また、サーナイトGXを評価しすぎていました。
強力なGXポケモンとはいえやはり2進化、長い戦いの中では思うように進化できず戦えない勝負もあったでしょう。
しかし予想として間違いないと確信した部分もありました。
よるのこうしんの増加とゾロアークGXが高採用率であることです。
よるのこうしんにとっては追い風になることしかなく、チャンピオンズリーグfinal、日本チャンピオン決定戦で対策されまくっていたとはいえ環境トップだと考えていました。
私はビークインがいなかったらよるのこうしんを使っていたと思います。
また、先述の通りゾロアークGXは便利で強力なカードなので多いだろうとは思っていました(ここまでとは思っていませんでしたが・・・)
そのため<ウソッキー>を採用するデッキも多いであろうと想定していました。
デッキ構築の経緯
私はすべてのポケモンの中で<ビークイン>が一番好きです。前回のチャンピオンズリーグfinal、日本チャンピオン決定戦はビークインを使ったものの惨敗し、次こそはと挽回する気持ちに燃えていました。
そこで<ゾロアークGX>が登場!!!新たなビークインデッキが組めると胸躍りました。
ゾロアークGXはいままでのどのビークインの相方とも違うカードでデッキを1から構築する必要がありました。
パズル<マオ>入り、<マツブサ><エルレイド>入り、<スカイフィールド>なし型などあれこれ試してみるとどのデッキでもゾロアークGXの強力さに感動。
特にビークインデッキのネックである序盤の弱さを補えるところが素晴らしい。
特性もポケモンがトラッシュ送りにする必要があることとかみ合っていて何も言うことがありません。
ゾロアークGXがサイドを取れるポケモンなのでビークインは対戦の終盤のフィニッシャーとしてのみの運用となりました。
基本的にはビーリベンジは1回か2回しか使いません。
新しいビークインデッキに大満足だったのですが問題がいくつか。
序盤がゾロアークGXだよりなのにも関わらず相手の<ウソッキー>1枚で攻撃力が激減してしまうのです。
序盤からサイドを取れる構築にするためスカイフィールド型にすることは決めていたのですがこれでは意味がありません。
そこでマツブサエルレイドを諦め<アローラベトベトン>を採用することに決定。
アローラベトベトンにより相手のウソッキーを封じ高火力ライオットビートをたたきこめる構築となりました。
また、非EX(GX)が主体ではなくなったためよるのこうしんがつらくなりました。
全く勝てないわけではなかったのですが自分の詰めの甘いよるのこうしんとスパーしても勝率4割いかないほど。
環境トップであると予想しておきながらそこに手を抜くのは自分を信じていないようで納得がいかず<カリン>を採用しました。
ビークインを使いながらカリンを採用するのは心苦しいところではありますが背に腹は代えられません。
最終的にはこんな形になりました。
デッキレシピ
ポケモン
計27枚
グッズ
計16枚
ポケモンの総数は27枚。個人的には多くも少なくもありませんがしっかりとポケモンを落としながらプレイしないと終盤でも進化GXはビーリベンジ一撃で仕留められません。
<バトルコンプレッサー>が入っていないため簡単にポケモンをトラッシュに送ることができなくなり、とりひきをうまく使う必要がでてきました。
<パラレルシティ>、<スカイフィールド>+<フィールドブロアー>で自分の場を絞ることで<ゾロアークGX>、<アローラベトベトン>を一気にトラッシュすることで急激にダメージを伸ばすことができます。
相手の<アセロラ>につきあっていたらエネルギー破壊や<フラダリ><シェイミEX>で負けてしまうため相手の210以下のEX(GX)はライオットビート一撃で倒せるよう意識しました。
構築についてはいくつか反省点があります。 まずは<センパイとコウハイ>が必要だったという点です。
ライオットビートで210を出すためには<ダブル無色>、<スカイフィールド>、<こだわりハチマキ>が必要でいくらたねポケモンが多い構築とは言え、揃えるのが大変なため確実にサーチする手段を確保しておきたかったです。
抜くカードは<オカルトマニア>か<かるいし>。
かるいしを抜く場合は<フラダリ>を<グズマ>と変更することになるかと思います。
<アズサ>の採用もかなり悩みました。
欲しい場面はかなりあるのですがたねポケモンは多めに採用されているためスカイフィールドが割られてポケモンが減っても十分に復帰できるため初手以外に使う必要があまりありませんでした。
<ゾロア>を初手で2体並べておきたいので代わりに中盤以降も仕事のできる<レベルボール>を採用しましたが初手の展開力はアズサには敵いません。
このあたりの構築は煮詰められていなかったと感じています。
当日は<カリン>を採用するかどうかを深夜2:00まで悩んでいました。
悩みながら採用したカリンは活躍したのでしょうか?
次回、対戦結果と大会を終えての考察をお楽しみに!!