前回のあらすじ
罠カードについて覚えました。サイクロンとゆうやん
カードゲームには、しばしばその性能が開発陣の想像を超え、そのカードを使ったデッキが蔓延してしまう、という事態が起こります。今まで使用できたカードが使えなくなる「禁止」。これには賛否両論の意見があるとは思いますが、この「禁止改訂」が行われる時期には、どのカードゲームでもお祭り騒ぎになるものです。
特に遊戯王は、禁止・制限・準制限と三種類の改訂が存在します。3枚使えたカードが2枚ではなく突然の制限、あるいは禁止になるということは、そのカードがそれだけ活躍したことの証明であると同時に、悪行を戒められた結果でもあります。
一度制限に指定されたカードは、すぐに2枚使えるようにはなりません。禁止されてしまうようなカードはそもそも再び使用できるようになるのが稀と言うレベルで、それは当たり前のことなのですが、制限カードにも似たことが言えます。制限カードには制限カードである理由があるのですから。
だからこそ、制限カードには「強いイメージ」が湧きます。そしてそれが、自分が小学生の頃に見たカードであるのならば、尚更です。
そう、サイクロンです。
その時は遊戯王のルールもほとんどわからなかったので、発動した罠カードや魔法カードに対して<P-SRサイクロン>を発動して無効化したり、速攻魔法だからといっていきなり相手のターンに手札から使ったりと、めちゃくちゃでした。
再び遊戯王を手に取った時は、<P-SRサイクロン>の強さは十分に理解できました。
コストを要求せず気軽に使用できますし、破壊条件もない。速攻魔法というのももちろん素晴らしい。
何枚でも入れたいな、と思っていました。
そんな<P-SRサイクロン>を今は3枚使うことができる!
これはもう使うしかないでしょう!
突撃
ゆうやん「というわけででぃんさん」でぃん「また唐突ですね」
ゆうやん「御託はいらん!我が<P-SRサイクロン>の餌食になるといい!」
でぃん「その手の内バラす感じがいかにも雑魚悪役っぽいですね。じゃあ出たばかりの『20th ANNIVERSARY PACK 1st WAVE』の新カードを使ったこのデッキで遊びましょうか」
ゆうやん「俺は1枚伏せてターンエンド!」
でぃん「あ、また先行取るんですね。はい。じゃあ1枚伏せてターンエンドします」
ゆうやん「ばかめ!!<P-SRサイクロン>でそいつを破壊だ!!」
でぃん「うわ~きついな~。破壊されたのは<>です。デッキから<UR混沌の黒魔術師>を特殊召喚して<>を回収してエンドします」
反省
ゆうやん「なぜだ...」でぃん「前回とまったく同じ流れですけどこれ定例化するんですか?」
ゆうやん「そのつもりはない!」
でぃん「わかりました」
ゆうやん「それで!どうして<P-SRサイクロン>に強いカードがそんなにあるの!」
でぃんさんの教え
でぃん「結論から言うと、<P-SRサイクロン>は今、昔ほどの輝きはありません」ゆうやん「なんでや!!」
でぃん「その理由は前回の罠の話に繋がっています。<サイクロンって伏せておいて相手のエンドに伏せカードを割る、みたいなことが多いんですけど、そもそも罠カードが少ないから、伏せてエンドみたいなことになりづらいんですよ」
ゆうやん「言われてみれば確かに」
でぃん「後は、純粋に上位互換と呼べるカードがたくさんあると言うのもあります。<>や<Rツインツイスター>などがそれに当たりますね」
でぃん「それがそうでもないんですよ。最近は、墓地に落ちた時に効果が発動する魔法がたくさんありますからね。さっきの<P-UR滅びの呪文-デスアルテマ>や、<R十二獣の会局>なんかはその良い例です」
でぃん「昔は妨害手段と言えば罠カードでしたし、だからこそ<P-SRサイクロン>みたいな罠対策は強かったです。でも今は、<P-SR幽鬼うさぎ>のような手札から妨害できるモンスターカードが多いんですよね。そうなると罠を使わなくて、罠が使われないと自然と<P-SRサイクロン>みたいなカードは弱くなります」
ゆうやん「手札から妨害できるモンスター。そういうのもあるのか」
ゆうやん「確かに、相手の罠を割って喜んでたら場にモンスター並べまくられてた!なんてなったらわけわかんない」
ゆうやん「攻め手?」
でぃん「以前は、<P-SRサイクロン>で露払いしてからモンスターを展開することが当たり前でした。そうでなければ、<SR奈落の落とし穴>のような除去1枚で展開が止まってしまうからです」
ゆうやん「<SR奈落の落とし穴>、スキ!」
でぃん「でも今は、様々な方法でモンスターを展開できます。僕の使っているインフェルノイドなんかはその筆頭ですよね。墓地さえあれば何回でも相手の罠を踏めます。召喚権を行使しなくとも、特殊召喚の方法が様々なんですよね。だから、妨害より多くの特殊召喚手段を行使して相手を押し潰せてしまうんです」
ゆうやん「罠カードが使われない理由もここにあると」
でぃん「その通りです」
でぃん「そうですね。なんと言ってもPテーマのスケールを1枚で妨害できます」
でぃん「特に手札を捨てることがデメリットにならないようなデッキに入っていますね。インフェルノイドとかがその筆頭です」
ゆうやん「でぃんさん、インフェルノイドの話多いけど、もしかしてインフェルノイドの回し者なの?」
でぃん「まあ限りなくそれに近い者と思っていただいて結構ですよ」
でぃん「いやいや、落ち着きましょう。ポケモン逃がすみたいなこと言わないで下さい。サイクロンがまったく使われなくなってしまった、というわけではないんですよ」
ゆうやん「でも...除外した方が強いし...2枚割れた方が強いし...」
でぃん「なんでいじけてるんですか。サイクロンだって使われます。除外の方がよければ破壊の方がいい場面だってありますから」
ゆうやん「そうなの?」
でぃん「例えば、<N王宮の鉄壁>。これをサイドから積まれる可能性のあるデッキ、つまり墓地利用の多いデッキでは、<P-SRサイクロン>の方が優先されます」
でぃん「後はそうですね、自分のカードを割りたいようなデッキでも<P-SRサイクロン>を使うことはありますよ。メタルフォーゼのコンビや、コズモのエメラルドポリス、インゼクター。これらは破壊された時に効果が発動しますから」
でぃん「ですね。でもこんな魔法カードですらどのデッキにも入っている、というわけではないんですよ」
ゆうやん「うーん!考えられない」
でぃん「先手1ターン目に弱いっていうのはそれだけで採用を見送られる理由になってしまっているんです」
ゆうやん「環境、早し」
- 現在の遊戯王の妨害手段として罠カード以外にもモンスター効果や手札誘発が存在するため、昔に比べて伏せ除去自体の信用性が失われている。
- そもそも腐る可能性のある<P-SRサイクロン>等に頼らず手数で罠を踏み越えていく方針のデッキが増えた。
- <P-SRサイクロン>をはじめとした1対1交換が前程のカードは、アドバンテージを稼いでいくスタイルの昨今の遊戯王ではメインからの採用は見送られることが多い。
- <P-SRサイクロン>をはじめとした1対1交換を取るカードは、アドバンテージを稼ぐ手段が豊富な昨今の遊戯王ではそもそもあまり強くない。
- 伏せ除去としての<P-SRサイクロン>の信用性は落ちたが、モンスター効果で対応できない永続魔法・罠へのメタとしては今でも優秀。
再戦
ゆうやん「でぃんさん、そのデッキ、俺に使わせてもらうぜ!!!」でぃん「どうぞ」
ゆうやん「ふふふ!!俺は1枚伏せてターンエンド!!」
でぃん「はい、じゃあ<SR隣の芝刈り>を打ちます。えーと、まず<Rインフェルノイド・デカトロン>を特殊召喚。能力で墓地に(中略)はい。1キルですね」
ゆうやん「ぐわああああああああああああああああ」
このままでは勝てない。
でぃんさんに勝つためには、何かがいる。
そんなことを思ったゆうやんの目に留まったのは、2つのブログだった。
次回、復讐劇(?)。

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