僕はつねづね感じているのですが、TCGという分野には教科書や参考書がほとんどないんですよね。色々なTCGを見てみても。
スポーツには入門書があり、音楽やテーブルゲームなども同じです。
どの分野も、廃れないためにはビギナーを大切にする事が大事なので、そういったシステムや文書はいくつも存在します。
上達の基本は各々個人で試行錯誤(プレイ)を重ねることにあり、それがコミュニティで共有されることがあれば、その分早く上達するといった具合です。
ここで難しいのが、気が付かないと永遠に上達出来ないというところです。本を一冊読めば、多かれ少なかれある程度の知識は得られますが、何十回とプレイしても、気が付くことがなければ得るものは0なのです。
TCGによく似たゲームに麻雀があります。麻雀はその人気もあってか、基本の牌効率から捨て牌読み、状況別の打ち方など、様々な観点からアプローチする文書が多々あります。
今回はWSというゲームに対する、僕の理解をつらつらと書いていこうかなと思います。これはヒント集です。なにを考えてプレイしてるのか。どのように考えてプレイしてるのか。流し読みするとこれらを感じる事が出来るかもしれません。
とくに何か文脈があるわけではないので、面白そうなところだけかいつまんでもいいと思います。これらによって何かに気が付けて改善出来れば、それが成長です。
何かに熱中してしまうと、他が疎かになりがちですね。このゲームはいくらストックがあっても、いくらハンドが多くても、いくら盤面が鉄壁でも勝ちにはなりません。
先に相手をレベル4にした方の勝ちなのです。これさえクリア出来れば、どんなに他が疎かになってもいいわけですね。常に目的を忘れないようにデッキを作ってプレイしましょう。
というわけで簡単に言うと沢山打点を入れた方が勝ちなわけです。
ダメージキャンセルが存在する以上、宣言打点全てが入るわけではないので、重要になってくるのは打点効率なわけです。
一部のデッキを除くとWSのネオスタンダードは、いかに打点効率良く殴りきれるかというゲームです。
WSはリフレッシュを初めとする色々なゲームシステムから、デッキの50枚ほとんど全てがゲームを左右します。
大半のゲームはシャッフルした山札の上から何枚かと、サーチしたカードで戦います。Chaosは全部に触れるようになるのがファイナルターン。
WSほどデッキの50枚全てを使うゲームもあまりないでしょう。1枚変えても引く確率が変わるくらいの影響しかないゲームではないので、よく考えて50枚を決めたいものです。
先の頁と被りますが、ゲームシステムを大きく支えてるのがリフレッシュというシステムです。
通常山札は変わらないゲームが多いですが、このゲームにはリフレッシュという再構築制度があります。TCGにおいて山札はとても重要なので、リフレッシュ後の山札を作るというのも、このゲームの醍醐味です。
リフレッシュというシステムのお陰で、このゲームはカードの流れが一方通行ではありません。
例えばChaosは山札→控え室→バックヤードという流れがありますし、他のゲームも基本的に領域間の流れが決まってます。
全てのカードが山札から供給されるゲームで、その山札が再構築されるということは、あらゆる領域のカードがゲーム展開に関係してくるということなわけです。
ここがこのゲームの難しいところであり、比類無き魅力です。以下は個々の重要性について書いていきます。
通常のゲームだと、ほとんど手札の枚数や質が全てみたいなところがありますが、このゲームはその割合が少ないと言えます。
クロックツードローを含むと上から引く枚数が1ターンに3枚ととても多いのが理由の一つです。逆に、手札を使って被ダメージを減らす事が出来ないのも大きな特徴です。
TCGは勝利条件または敗北条件を設定する必要があり、昔はこれを数値で設定する事が多かったですが、昨今のTCGはこれをカードで表現する事が多くなってきてます。これは逆転要素を盛り込みやすくするためです。
ゲームとは直接関係ない数値を競うMTGや遊戯王は、なかなかシステムの中に逆転要素が盛り込みにくいのですが、それをカードで表現するDMやVGには逆転要素が盛り込まれています。
WSも例外ではなく、レベル置き場は少なからず逆転要素を作っています。1番大きな恩恵はそのレベル以下のカードが使えるようになることでしょう。序盤はデッキの半分程度しか使えませんが、3枚目が置かれればデッキ内の全てのカードが使えるようになります。また、色制限もレベル置き場の枚数分開放する事が出来ます。
あまり目立たない恩恵ですが、1度置いてしまえば基本的に不変なので、2周目以降の山に戻したくないカードを置くことでリフレッシュ後の山のコントロールに貢献します。好きなカードを選んで置ける数少ない領域なので、特に特定のデッキに対するメタカードなど、2周目以降で使わない事がわかってるカードを置きたいですね。
レベル置き場と同じようにダメージを表すもう一つの指標としてクロックがありますが、レベル置き場の倍の枚数置けるという特徴があります。そのレベルの残り時間を表してるのがクロックと考えると、基本的にクロックは少ない方が良いわけです。クロックが増えてもレベルが上がるまで使えるカードに変わりはないわけですからね。
しかしクロックにもやはり多い場合の利点があります。一つは色制限です。レベル置き場の他に、クロックにある色もプレイすることが出来ますから、多色デッキだとクロックはある程度ないと困るわけです。
とくに1-0よりも1-1の方が勝るという事は、多色デッキでは頻発します。また、クロックは6枚まで置けるので、その分山の再構築時にカードを置いておけるという恩恵がレベル置き場以上にあります。最たる例が1-6リフですね。
クロックは多いことによる利点が少ない領域ですが、最もカードをストックしておきやすい手札以外の領域なので、上手くコントロール出来ると、4色デッキが回せたり、リフレッシュ時の山が強くできたりします。
ストックもまた、WSの大きな特徴として挙げられます。アタック宣言を行うと必ず1枚増える領域で、そのままプレイヤーのリソースになります。他に類を見ない領域と言えます。
これは一見毎ターン増えるから増えやすいと思いがちですが、アタック以外で増やす事がかなり困難なようにデザインされている領域でもあります。
ストックを手札に還元するのは、システム的には3コストアンコールがいい例で、ストックを手札に還元するテキストも多いですから、毎ターン3枚しかたまらないストックをどう使うのかが一つの難しさでもあります。
意識して組むと、ストックが大量に貯まるデッキも作れるのですが、それを勝利に持ってくまでがまた難しいんですよね...これはぷよぷよの宝連動で体感出来ます。


また、ストックはレベル置き場やクロック置き場と同様、リフレッシュ後の山の質に貢献します。ストックのクライマックス率を下げてあげれば必然、リフレッシュ後の山はクライマックス率が高くなることになります。これはクライマックスに限った話ではなく、山に戻したくないストックは使わず、山に戻したいストックを使ってくように心がければ、リフレッシュ後のドローの質の向上が期待できます。これは静寂を採用した黄フレで体感することが出来ます。


クライマックスを含まないストックを純ストックと呼びますが、思い出はそれに近いと考えてます。
その代わり自分で飛ばさねばならない事が多いですが。また、思い出に飛ぶカードを採用して飛ばすと、当然ながらそのカードはもう手札に戻ってきません。
思い出に飛ぶカードは飛ばせた時と飛ばせなかった時でその後の展開に少なくない影響を及ぼすので、採用の際はそこも計算しておきたいところです。1周目に飛ばしたかったカードが終盤に手札に来るのはけっこうなストレスがあります。
後列は基本的に、自分から移動させなければずっとそこに居続ける枠です。効果を発揮しつつ居続ける事が出来る一種の安全地帯です。たった2枠しかないので貴重です。ここに何を配置するかでデッキの強さがかなり違ってくると思います。
基本的に殴らないキャラなので、重視されるのは
- パワーパンプテキスト
- キャラクターサーチや回収テキスト
- その他のシステムテキスト
の3つです。ギルクラを使ってみると、後列の大切さが実感出来ると思います。

28点入れるゲームと言いましたが、じゃあ28点入れるのは誰かって言ったら、それは間違いなく前列のキャラなんです。
毎ターン前列のキャラが攻防を繰り広げることで28点を先に入れるのがこのゲーム。間違いなく前列のキャラは重要なファクターです。
ステータスは大きく分けてパワー、ソウル、レベルの3つ。
パワーはこの中で1番重視される事が多い要素です。理由は相手のソウルやレベルも、パワーで上回っていればほぼ無力化できるからでしょう。とくにネオスタンダードの基本は、パワーの比較によってダメージレースやハンドアドバンテージの点で優位に立つことなので、いくらパワーで負けててもダメージが入るゲームとはいえ、極めて重要な要素と言えます。
重要重要言ってますが、高ければ良いと言うものではない事も頭に入れておきたいところ。パワーの比較が大事なだけで、上回ることが常に最適とは限りません。艦隊やぷよぷよの0の特殊相殺やニセコイのちびシリーズは、その優秀さの一つに極端なパワーの低さが挙げられます。時にはダイレクト枠をわざと作った方がいい場面もあるので、高ければ高いほどいいというわけでもないのがまた、このゲームの奥深いところだと思います。
いくらパワーで勝っててもゲームに勝てるかどうかとは別問題なのがこのゲーム。1番勝敗に近いのはソウルの要素です。極端な話がパワーなんて無くても、ある程度のソウルがあれば極端に不利にはならないわけです。
とはいえ、やはりパワーの方が重要になるようにデザインされています。それがダイレクトアタックのソウル+1というルール。これは相手のキャラが配置されていない場合、キャラのソウルが1上がるというルールですが、大半の場合、ソウルは高い方がダメージ効率が良くなるように出来てます。パワーが低い方がリバースするルールのおかげで、パワーで勝つことはソウルを増やすことに繋がるわけです。
つまりソウルはパワーである程度補完出来るわけですね。逆は無理です。なのでパワーが重視されやすいのです。
パワーで勝つ事の恩恵がよくわからない方は、今は亡き隼鷹採用型艦隊とフリープレイする事をオススメします。
3つの中で圧倒的に1番軽視されるのがレベルの要素です。レベルの影響についていくつか。
基本的に参照されるのは、レベル参照の相殺効果が誘発した時と、サイドアタックされた時の2つの場合だけです。
レベル参照の相殺効果は比較的メジャーなテキストで、レベルが低いとパワーで上回っていてもリバースされてしまいます。レベルが高ければリバースされないので、レベルが高いことにはそういったメリットがあると考えられます。
これはあくまでパワーで上回ってる場合の話。いくらレベルが高くても、パワーで負けていたらリバースされてしまいます。
サイドアタックされた場合、ルールにより相手のソウルをこちらのレベル分下げられます。場合によっては相手のソウルを0以下の値まで下げられるので、これもレベルが高いことによるメリットと考えられます。
しかしそもそもフロントアタックされてしまっては、せっかくの高いレベルも一切影響しませんし、こちらのレベルよりも高いソウルのキャラにサイドアタックされた場合は、恩恵が減ってしまいます。
このようにレベルは高いほどメリットがあるものの、パワーやソウルで負けている状況ではあまり生きません。サイドアタックさせることが出来れば生きるので、フロント強要出来るというメリットはありますが、レベルによる恩恵は意識しなければあまり受けることが出来ない要素だと思います。
フロントアタック強要のメリットは以下のような状態で発生する。

神楽坂にアタックされましたがソウルは4。ここをキャンセル出来れば最後のふみおのアタックはダークネス計画で無効化出来るのですが...
この場合は島風のレベルが1であることにより、次にフロントしてくれる可能性が高く、ダークネス計画をあとのふみおに温存する事が出来ます。この場合、4点を止めればほぼ負けないと言えるでしょう。
もしも島風ではなくレベル0のキャラだったらどうでしょう。もしもレベル0だった場合、サイドアタックされてしまうとソウルは3のままなのにダークネス計画が打てないことになってしまいます。という事で今の神楽坂の4点に対してダークネス計画を打たねばならなくなってしまい、ふみおの3点を止めないと負けという状態になってしまいます。
このように、レベルが高いとフロント強要出来るというメリットがあります。
書いていたら書きたいことが次々に浮かび、とてもひとつにはまとまらなかったので今回はここまで。次回は打点効率が優先されなくなる状況や、サイド調整などについて書いていきたいと思います。
終わりは今のところ見えていません。まとまったらまた書きたいと思います。