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先攻と後攻

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    by 攻略コラム

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    前の記事の続編です。今回は、先攻と後攻の話についてしようと思います。
    先攻と後攻
    あらゆるゲームは本来、競技者全員が等しく対称であるべきなのですが、実際に完全に対称にするのは極めて困難です。1対1のゲームでは、先攻後攻という要素として、大きく対称性を欠いてしまう場合が多いです。
    WSも例に漏れず、先攻後攻という要素が大きく影響してきます。それぞれの特徴について考えてみます。
    先攻のアドバンテージ
    後攻と比較した時の先攻の強みは大きくわけて2つあります。
    1つはハンドアドバンテージです。先攻が先にターンを行えるため、ターン開始のドローとクロックツードローを考えると手札2枚を先に得ることが出来ます。先攻1ターン目はハンド比が7対5になるわけですね。それに対して後攻1ターン目だと7対7です。先攻2ターン目には9対7になりますが、次のターンは9対9です。このように、後攻がハンド面で先攻に勝ることはありません。これが一つ目の先攻の強みです。
    主導権
    先攻の強みの2つめは、主導権を握れるということです。抽象的に主導権と表しましたが具体的には、手札7枚の状態から先攻でも1体に限りアタック出来るというシステムが、主導権を握りやすくしています。


    (1)先攻ワンパンの場合

    先攻はクロックツードローを含んだ7枚の手札の中から任意の1枚を選んでアタックすることが出来ます。例えば、先攻が3000バニラに500応援を配置してアタックしたとしましょう。後攻側はこれに対してやはり7枚の中から対応しなければなりません。

    まず、同じように3000バニラと500応援を配置した場合を考えます。もし後攻側がダイレクトアタックを選択し先攻側の前列のキャラをリバースさせなかった場合、1度アタックしたキャラがリバースせずに帰ってきて、もう一度アタック出来るようになった先攻側の有利が拡大したと見るべきでしょう。コントロールする枚数の上では7対7ですが、次の先攻2ターン目に9対7になり、後攻側の3500は必ずリバースされてしまうので、最低でも9対7、上から踏まれてしまうと9対6になってしまい、不利が拡大してしまいます。ということで後攻側はフロントアタックによりリバースさせることを選びますが、果たしてこれはどちらが有利でしょうか。先攻側はダイレクトアタックを1回しているのに対して後攻側はフロントアタック1回です。お互いのコントロールするカードの枚数は同じなので、この例だと先攻の方がダイレクト1個分有利といえます。
    次に後攻側が、先攻側の3500をリバースさせることが出来ない場合ですが、この場合は先ほどのダイレクトアタックを選んだ場合と同じです。次のターンに確実に9対6になってしまうので、後攻側の不利が拡大すると言えます。
    後攻側がなんらかの手段でパワー4000を作れたとしましょう。フロントアタックすることで相手のキャラをリバースさせつつ、こちらは生き残ることが出来ます。この場合、先攻側のダイレクトアタックに対して後攻側はフロントアタックですが、その分コントロールするカードの枚数が6対7になっているので、後攻にも分があります。しかしながら次のターンに上から踏まれてしまうと8対6になってしまうので、後攻有利とまではいかないです。

    このように先攻側がある程度のパワーのキャラでパンチすると、後攻側はこれに対してなんらかの手段を講じなければならないわけですが、同程度以下の引きだと不利が拡大してしまう上に、上回る引きでも有利になるかは次の先攻側次第になってしまいます。


    (2)先攻ドローゴーの場合

    では、先攻側がある程度のパワーのキャラでパンチ出来なかった場合はどうでしょう。先攻側は低いパワーでパンチすることも考えられますが、ここではわかりやすくパンチせずエンドという選択肢をとってみます。
    この場合、後攻側は相手の盤面がないので選択肢が多くなります。すなわち0~3まで好きな回数パンチを選べるわけです。
    ただしこの時に大事になってくるのもやはり手札枚数。後攻側は7枚の中から選択しないといけないことに比べ、これに対応する先攻側は9枚、クロックに置くカードを含めれば実質的に10枚のカードからこれに対応出来るわけです。一概には有利不利を決定づけられないので詳細は後述しますが、基本的には後攻が不利だと言えます。


    (3)ゲームスピードのコントロール

    ここまで言及しませんでしたが、この先攻1ターン目の行動は、ゲームスピードをコントロールすることにもなります。つまり先攻ワンパンは後攻のパンチを誘発させるのでその後のお互いのパンチ数は増加しやすく、ゲームスピードを早めることになり、先攻ドローゴーは後攻側にもドローゴーの選択肢を与えやすいので、ゲームスピードを遅めることになります。


    (4)主導権とは

    長くなったのでまとめると、ここで言う主導権とは、
    「ハンドが良い場合はハンドの質勝負に持ち込み優位の拡大をはかることが出来るのに、あまり良くない場合はそれを回避しても不利になりにくいので、序盤のハンドの質やゲームスピードの面で優位に立ちやすい」
    という、先攻のアドバンテージを指しています。
    後攻のアドバンテージ
    先攻と比較した時の後攻の強みは大きくわけて2つあります。
    1つはマリガンを先攻の後に行えることです。先攻が先にマリガンを行うため、後攻は先攻のマリガンを見てからマリガン出来るわけです。よく注目されがちなのは相手のタイトルを把握した上でマリガン出来るという利点ですが、ぼくは内容の方を重視しています。
    マリガンの内容と言えば、先攻がクライマックスを沢山切った場合、いつもよりも多くクライマックスを抱えるというマリガンをするプレイヤーは少なくないですね。また、島風互換やその連動、レベル0のキャラなど、通常はマリガンで切られることの少ないカードが切られた場合も、相手の手札や構築を予想できることがあります。
    あまり意識されることは少ないですが、マリガン枚数も結構重要視しています。先攻側のマリガン枚数が少なかった場合は苦戦を強いられることが多いので、後攻側としても最大値を狙ってマリガン枚数を多くすることがあります。逆に先攻側のマリガン枚数が多かった場合は、先攻側の手札が良くないことを期待してある程度妥協したマリガンをすることもあります。ここらへんはなかなか明確な線引きをするのが難しいのですが、とにかくマリガン枚数自体も判断基準になることは頭に入れておいていいでしょう。

    とはいえ、所詮はマリガンを少し良化させられる可能性がある程度のアドバンテージ。後攻最大のアドバンテージは別にあります。
    後攻最大のアドバンテージは先に多パンする権利

    後攻最大のアドバンテージは、先に2パン以上出来るという権利です。先攻の初ターンは1体までしかアタック出来ないという制約を裏返しただけですが、これが最大のアドバンテージです。逆に言えば後攻側はこれを生かせなければ、先攻のほぼ完全下位互換になってしまうということです。
    この権利は実際にどのように使えるでしょうか。


    (1)ゲームスピードの加速

    先攻は1パンでゲームスピードのコントロールが出来ますが、後攻はこれを多パンで加速することができます。逆は出来ませんが、代わりに1→3と加速出来る幅が大幅に増えているのが特徴です。先攻のスピードに最低でもついていかなければいけないものの、これについていくだけか、さらに加速させるかを選べるのが、後攻の権利の一つと言えます。


    (2)必ず貰えるダイレクト枠2つ

    先攻は必ずダイレクト枠を1つ貰えるのに対して、後攻は2つ貰えるのが特徴です。L1以降はダイレクト枠を得るのは難しく、一番ダイレクト枠がキャンセルされづらい1周目のタイミングで貰えることから、これは無視出来ないアドバンテージだと思います。


    (3)アタッカー要求3つ

    先攻はワンパンにより後攻側にアタッカー要求が出来ますが、後攻側は3パンにより先攻側にアタッカー3枚要求が出来ます。もしも3パンのうち1体でも帰ってくれば、実質的に手札アドバンテージをとることが出来ます。先攻側は1体しか要求出来ないのに対して、後攻側は3体要求出来るので、手札9枚から対応するとは言え、より厳しい要求が出来るといえるでしょう。



    以上のように、先攻と後攻について簡単にまとめてみました。ここからは今現在のプールと照らし合わせて考察していきたいと思います。
    先後によるアドバンテージはなくなりやすい
    運要素の多いWSは他のゲームと違って、先後によるアドバンテージが展開によって消えやすいゲームなのも事実です。後攻側が特殊アイコンをトリガーすることにより手札を増やすと先攻後攻の差は縮みますし、後攻側が先攻側よりも先に3パンできなかった場合、後攻側のアドバンテージは失われます。そういった意味では他のTCGよりも先後の差は少ないとも考えられます。
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    ドキドキ.jpg たいやき.jpg
    圧倒的先攻有利という現状
    先後の差は少ないと言いましたが、それでも圧倒的先攻有利というのが現状です。不確定要素の多いWSにおいて引きに左右されずに確実に手札枚数で優位に立てるという先攻のメリットが大きく、後攻のアドバンテージを毎試合安定して行使出来るほどのカードパワーがまだ実装されていないといったところでしょうか。
    先攻を活かすカード
    先攻はもうそれだけで強いのですが、先攻を活かせる代表的なカードとして移動やオカケンが挙げられます。
     
    お姉さまへの憧れ 黒子.jpg オカ研会長

    移動は先攻がワンパンしか出来ない制約を緩和してくれます。後攻側に3パンを強いるとともに、ダイレクト枠を減らすことも出来、先攻の強みと非常にマッチしたカードと言えます。
    オカケンは先にストックを使えるという強みを活かせます。特に後攻1ターン目に多パンされなかった場合、先攻2ターン目に多パンしやすくなるオカケンは後攻の強みを奪いやすいとさえ言えます。
    後攻を活かすカード
    後攻は先攻に比べて不利になりやすいので、後攻の強みを活かしやすいカードは重要だと思います。ここでは赤きゅうべぇや中学生、暁を挙げておきます。
     
    キュゥべえ.jpg 10010.jpg 10040.jpg

    赤きゅうべぇや中学生は、多パンによってアドバンテージを稼げるカードなので、初ターンから多パン出来るという強みを活かしやすいカードです。多パン推奨カードの中でもこれらのように直接アドバンテージを得られるものはまだまだ少ない印象です。
    暁はレベル0の安定性を上げる役割がとても大きいです。手札枚数の面で不利になりやすいのを、選べる手の数で補える点で先後の差を縮める効果が期待出来ます。また、多パンするために必要なレベル0複数枚を達成しやすくする効果もあり、安定性で勝る先攻よりも、安定性で劣る後攻で真価を発揮するカードと言えます。
    先攻の心得
    先攻は有利と述べましたが、これを踏まえてどう振る舞うべきでしょうか。


    (1)先攻の強み
    先攻初ターンにアタックせずにエンドする事を先攻ドローゴーと呼びます。
    先攻ドローゴーは先攻側のワンパンする権利を放棄するプレイングで、少し損なプレイングだと考えています。せっかく後攻側にワンパンを強要できるのにそれを放棄し、手札枚数による優位性を緩和しているからです。
    手札枚数による優位性は、手札枚数の比で考えるとわかりやすいです。先攻2ターン目は9対7ですが、3ターン目は11対9です。要はターンが経過するほど、先攻の手札枚数による優位性は薄れていくという話で、ゲームスピードの低下は、この優位性を捨てることになるということです。少ない手札で戦うことを後攻に強要出来るのも先攻の強みのひとつです。
    デッキやマッチングによるので一概には言えないものの、先攻はワンパンが基本になると思います。ドローゴーする場合は先攻の優位性の一部を放棄していることを頭に入れておくべきでしょう。


    (2)先攻らしい振る舞い

    先攻の時点で有利なわけですから、常に自分の方が恵まれているという自覚のもとプレイすべきだと思っています。開始時点では有利なのですから、その有利をゲーム終了まで保てるように後攻の可能性を潰していくのです。例えば先の先攻ワンパンも隙あらば優位を拡大しようとするプレイですし、引きが良くない試合で先攻ドローゴーを選択するのも、優位性が減少するとはいえ、無難な選択肢と言えます。中盤以降のプレイでも可能性を潰していくプレイングが多々ありますが、この話はまた後日ということで。
    後攻の心得
    後攻は先攻に比べて不利なのは先に述べた通り。まずはこれをはっきりと意識することからはじまります。
    不利を意識したところで、ではどうするべきでしょうか。


    (1)後攻の強み

    後攻の強みとして先に多パン出来る権利を挙げました。後攻で先攻に対抗する数少ない手段のひとつです。先攻はワンパンしか出来ないので、これに対して多パンで返し、ダメージレースで優位に立ちつつ主導権を奪えるのが理想です。特に手札の増える特殊アイコンを捲ることが出来れば、パンチ数だけでなく手札枚数においても優位に立てる可能性があるので、特に引きが良い場合は是非狙っていきたい戦略です。
    一方で、手札の枚数の点で先攻に劣る後攻が安易に多パンするのは、リスキーでもあります。先に、多パンしなければ後攻は先攻の下位互換になってしまうと書きましたが、これを甘んじて受け容れるのも一つの手です。後攻になった時点で不利を自覚し、パンチ数を絞りゲームスピードを低いままにすることで、その不利を緩和する方向で進めるわけです。引きに左右されずに採れる戦略なので、実際に採ることも多いでしょう。


    (2)後攻らしい振る舞い

    後攻の時点で不利なわけですから、互角のままでは先に負けるのは自分だという自覚のもとプレイすべきだと思っています。開始時点で不利なのですから、なにかアクションを起こして形勢を傾けようとしなければならないわけです。 厳密に言うと「不利であればあるほど分散を増やす方向で動くべき」という事なのですが、要は「1発当てて逆転だ!」ってことです笑
    優位に立てるかもしれないプレイ、例えば先の後攻多パンですが、こういうリスキーなプレイをいくつか選択することで逆に優位に立つことを狙うのが、後攻らしい振る舞いだと思っています。
    さいごに
    現行のルールの上で先攻後攻について述べて来ましたが、最後にルールについて少しだけ。例えば先に挙げた赤きゅうべぇ、中学生、暁が全て同特徴で同じタイトルで使えるくらいインフレしない限り、先攻有利は覆らないと考えています。もしルールによってこれを是正するとしたら、先攻1ターン目のドローフェイズまたはクロックフェイズをスキップさせるのが無難かと。ルールを変えた方がいいとまでは言いませんが、こういったルールでやってみるのも面白いかも知れません。

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