
2018年07月制限(2)
SOUL FUSION 発売
新環境が始まり、半月から1ヶ月程のタイミングで発売されたこのパックは一気に環境を塗り替えました。このパックによって追加されたサンダードラゴンというテーマ、それに加えて<パンクラトプス>、<トラップトリック>という2枚の強力な汎用カードは環境に大きな影響を与えました。




それに加えて、回答があったとしても閃刀姫側は回答+盤面の返し+後続の3つを持たなければいけないため、サンダードラゴン側は誘発を強く打つ事ができます。
また、毎ターンこれを要求できるため<マルチ>さえ回させなければ持久戦にもつれ込んでも有利を取れ、<マルチ>が回っても融合からのサーチ先の<雪花>や<雷劫龍>など回答として用意できます。
後攻においても閃刀姫の序盤の墓地魔法3枚以上の効果が絡まない妨害に対してギミックが有利に働き、<シズク>のリンクマーカーによって展開しやすくなるため先攻同様の展開もしくはそれ以上の展開を相手に押し付ける事ができます。
閃刀姫以外でも展開デッキ、とりわけ剛鬼やABC、魔術師相手に<超雷龍>や<トポロジック・ボマー>が強く刺さるため有利を取れる点などが挙げられます。
2018年7月中旬~下旬のメタゲーム
上記の理由から、主に閃刀姫や展開デッキに対して有利が取れる利点を踏まえて一時期は各地のCSで分布的に閃刀姫に勝る、もしくは同じ程にまで分布を増やしたサンダードラゴンですが、メタが進むにつれて<次元障壁>+<トラップトリック>、<ロンギヌス>や<屋敷わらし>のような対策カードや、各デッキの対サンダードラゴンのプレイなどが定着していき徐々に分布を落としていきます。

このようにメインをかなりサンダードラゴンに寄せた閃刀姫が流行るようになったのも、サンダードラゴン減少の原因として挙げられます。
先程サンダードラゴンが対閃刀姫で初動の枚数消費を多く要求できる事が有利な点の1つと書きましたが、閃刀姫側が<マルチロール>を素引きしていた場合これは一変します。
<マルチロール>が通ってしまった場合、盤面処理の枚数消費は無くなり、それがそのまま妨害や返しの<超雷>に対する処理のカードに変わってしまいます。
<マルチロール>の増加は閃刀姫側が先攻の時に準初動のパターンを増やす要因にもなり、初動が<エリアゼロ>のめくりだけといったことも少なくなります。単純に<超雷>の回答としての<無限泡影>もメインに3枚入っている事も<超雷>単体で押さえ込めるゲームを減らす要因となります。
それに加え、長いゲームになると消費枚数の要求などから閃刀姫側が不利になると書きましたが、そもそも閃刀姫側が早いゲームを狙って行けば話は別です。<バルブ><ヴァレソ>のワンキルギミックが閃刀姫側に搭載されてしまった場合、墓地魔法が3枚になると<アンカー>によって<超雷>を奪い、<シャーク>によるチューナーの確保が可能になるため、<超雷>+<ハリファイバー><ヴァレソ>のワンキルが発生します。
閃刀姫側の誘発の選択も、<わらし>等のサンダードラゴン相手に序盤中盤ずっと有効に使えるカードが選択されるようになりました。
元々サーチカードを多用するデッキという事もあり、<相乗り>を重く踏んだり<G>つっぱのワンキル等も通らなくなったりするようになり、サイド後はこれに加えて<ロンギヌス>等の質の高い誘発や<障壁>などのターンスキップカードの採用によってかなり寄せられるようになりました。
こうして有利対面であった閃刀姫に構築をメインから寄せられ相性差を抑えられたのに加えて、元々不利対面であったオルターガイストが数を増やした事もありサンダードラゴンは数を減らしていきました。
2018年8月上旬~中旬のメタゲーム
いくつかのデッキが新しく確立し、また淘汰されていく中で数を増やしていったデッキとしてオルターガイストがあります。

前環境と前々環境から無規制で残っていたオルターガイストは、長い間生き残っていた分トーナメントシーンにおいて理解度も研究も他のデッキ以上に進んでいました。
また、今期の閃刀が初動で踏み越えにくく、<里>を守る罠としてもパワーが高くすべてのデッキに強く使える罠としての<宣告>、<警告>といった召喚無効系の罠など、メインデッキの罠の選択も環境初頭以上に研究が進んでます。
サイドカードの選択なども環境初頭から変わり、閃刀姫がオルター相手にサイド後から罠を弾くカードを大量に入れ、後攻を選択する事でオルターのギミックを罠と同時に弾きながら自分のプランを通す動きをするのが主流だったのですが、そのプランのメタとして<やぶ蛇>が入ってきました。
この頃からオルターは環境初めからずっと分布上でトップであり続けた閃刀姫と、ほぼ同じかそれ以上というレベルにまで分布を増やしてきました。
こうしてオルターガイストが環境全体に対して広く勝てるビートデッキとして分布を増やしていく中、安定して勝ち切れなくなっていった剛鬼やメタが寄せられたサンダードラゴンに替わるような形で誕生した展開デッキがあります。


このグットスタッフリンク(別名"たんぽぽサンバ")と呼ばれるデッキは、<マスマティシャン>、<ベイゴマックス>、<バルブ>や<ジェット・シンクロン>、その他制限カード等のリンクデッキの単体初動としてパワーの高い汎用カードに加え、
誘発ケア+チューナーの供給+盤面のシステムモンスターの処理を行える<簡易融合>+<デストルドー>+各種蘇生カード等を手数のカードや準初動として採用しており、
また展開途中のサーチ先のリンク数を増やすカードもクリストロンモンスターや<ダンディライオン>、<オライオン>、<スチーム>などの手札コストや召喚権として使ってもパワー高いモンスターで固めています。
ギミックの外のカードとしても、<墓穴の指名者>に加えて誘発や<リブート>、壊獣等を広く沢山採用するスロットもあるような完成度の高いデッキとなってます。
誘発に対しての耐性や、展開が通りきった後の最終盤面などは剛鬼に劣りますが、明確に引いたら弱いカードが少なくギミック外の誘発や魔法・罠を触るカードなどをメインから投入できるので、トーナメントシーンを勝ち抜ける安定感などは、剛鬼よりかなり高いものになっていました。
事実、このデッキの存在が広く知られてからすぐにかなりの数のプレイヤーがこのデッキを使い始めました。
このように環境の第一線で勝ち抜けるポテンシャルを持ったデッキがかなり増えたのもあり、
「1つor2つのデッキをメインから強くメタり、サイド後に広いデッキのメタを投入する」
という風な構築のデッキはあまり勝ち進まなくなり、メインから広いデッキに勝てるようにする構築が環境の全体的な主流に変わっていきました。




この頃位になると、メインからのメタ先を広くするという目的で、メインデッキに環境初期から入っていたミラーメタ用の<相乗り>の枚数を減らし、その分の除去として<宣告>や<警告>、<墓穴の指名者>や誘発枚数を増やすといった構築が数を増やしていきました。


広い範囲に強く刺さるメタを投入しやすい+サンダードラゴンに対するメタが薄くなっているという要因でサンダードラゴンも再評価されてきています。
サンダードラゴンが搭載できる広範囲に刺さるメタとして強いカードとして、永続、<闇デッキ>があります。
永続はサンダードラゴンのメインギミックとメタの方向性が逆な事から、対面がサンダードラゴンのメインギミックへのメタや<超雷>の回答などを採用していた場合、永続+破壊耐性持ちの<超雷>や<雷神>でのビートに対応できません。
しかし、永続に対しての回答を多く握った場合においても、サンダードラゴンのメインギミックや<闇デッキ>に対応できなくなります。
それに加えてサンダードラゴンのメインギミック自体、ライフを落とすスピードが早いため回答を引かれる前にゲームを終わらせる事も容易です。
永続の中でも<御前試合>は閃刀姫のリンク各種、リンクデッキの展開札やトロイメア系、オルターガイストの下級並べなどの展開を広く止める事ができ、先攻展開においても<トライゲート・ウィザード>が絡まない展開であれば1枚でエクストラリンクを返すこともできます。
<闇デッキ>は媒体の用意+後続の確保がデッキの性質上簡単に行え、閃刀やオルター相手ならば発動さえできれば1枚で勝ちまで持ち込むことも可能です。
おわりに
この2018年7月制限で起きた環境の変遷の様子をざっくりとですがまとめたいと思います。1.環境初頭、前環境トップ層の生き残りである閃刀姫が分布的にリード
2.閃刀姫へのメタとして規制の無かった剛鬼やオルターガイストが分布を広げるが、メタが激化した剛鬼は分布を一気に減らしていく
3.SOUL FUSIONがリリースされ、閃刀姫に有利が取れるサンダードラゴンが幅を利かせる
4.メタが激化しサンダードラゴンが衰退、研究が進み広範囲のデッキにメイン有利を取れるようになったオルターガイストと新たに現れたグットスタッフリンクの2つのデッキが分布トップの閃刀姫と共に環境を築く
これが環境初期から今までの流れとなっています。
2018年7月制限も残すところあと僅かとなりました。
今期は一強環境ではなく、さまざまなデッキにワンチャンが発生し、メタの流れによってそのさまざまなデッキ達が流行、もしくは衰退をするという非常に流動的な物となり、メタの変化以外でも全てのデッキにやり取りが多く存在するとても楽しい環境でした。
僕も環境最後の数cs残していて、そのcsにおいてこの流動的だった環境を征するデッキがどれなのか決まると思うと楽しみで仕方ないです。
大変長い文章になってしまいましたがここまで読んでくださってありがとうございます、自分がこのメタゲームのなかで感じたことはある程度詳しく書けたつもりです。
また、別の記事を書く機会があれば是非また読んでみてください。
では、これで終わります。