1.一発屋デッキ列伝
突然ですが皆さん、「1止めママ」というデッキをご存知でしょうか?(過去記事)2ターン目に無限ルリパンを仕掛けるというぶっ飛んだデッキです。
デッキとトラッシュを0枚に削ることに特化するという尖りまくったデッキで、個人的には大好きなデッキでしたが、数奇な運命を辿り、流行ることなく終わりました。
発表当初の反応
「この構築、何するんだ・・・?」
「無限ルリパンすげー!」
「発想がぶっ飛んでやがる」
1週間後に公開された情報
2ターン目、相手がエナを貯める前に決着を付けてしまえば、ルリグ止めアーツが採用されていようと突破可能です。
そこで登場した<炎のタマ>は、何と0エナで使用でき、無限にルリパンされようと敗北を回避できます。
何より汎用性が高いのが問題で、ロングゲームでエナを貯めてから使うことも可能なため、多くのデッキに採用されました。
「1ヶ月練って、1週間で終了宣告を受ける」
あまりにも一瞬の輝きで、一発屋どころか0.01発屋で止まってしまったデッキ。
なんと哀しい・・・
2.後攻1キルへの道
元号が変わり、更に数年流れて令和3年。1止めママの存在を忘れ、ディーセレで遊ぶ日々。
それでも頭の片隅に残っていたのか、お風呂に浸かる中でふとした閃きが。
「他のフォーマットでピースを採用する意味・・・?」
まだまだピースは少なく、わざわざピースを採用する意味を見出せません。
ルリグデッキが12枠に増えると言っても、Lv0ルリグが2枚増えるだけで、Lv0を除けば9枚体制というのは昔と変わりません。
「他のフォーマットにピースは不要」という、何度考え、何度諦めたか分からない結論に至りかけた時、とあるテキストが頭をよぎりました。
このターンに<ディストラクト・アウト>以外のアーツを使用していない場合
そう、テキストが強いピースなんて要らない。
アーツと同等の性能でいい。
「アーツ」ではなく、名前が「ピース」であることが重要なんだ。
今まで<ディストラクト・アウト>と他のアーツは併用できないからと我慢していた後攻1ターン目、そこで無限ルリパンを仕掛けられるように・・・なった!!!
変更前
変更後
アシストルリグ/ピース
計10枚
非LB
計26枚
3.キーカード
ディストラクト・アウト
無限ルリパンは以下の2つの裁定に支えられています。
(1)メインデッキの枚数が0枚になってもトラッシュにカードが無い場合、リフレッシュは行われますか。
→リフレッシュは行われません。その場合、トラッシュにカードが置かれたら、(何らかの効果の解決中であればその効果の解決後に)リフレッシュが行われます。
(2)自分のデッキとトラッシュが両方0枚の状態で<ディストラクト・アウト>のアタックしたときの効果で0枚を宣言しました。このルリグはアップし、再度アタックできますか?
→はい、できます。
残りの枠を総動員して、デッキとトラッシュが0枚という状況を後攻1ターン目に実現するのが、このデッキのコンセプトです。
Stirred Heroines
出現時でデッキを掘りつつ、起動でトラッシュを除外できるため、両方の効果で1ママをサポートできます。
1コインでデッキ3枚&トラッシュ除外2枚の、計5枚分の仕事をこなしてくれるので、カード検索で見つけた時はコスパが高すぎてひっくり返りましたw
1つ惜しいのは、起動の除外コストが「共通する色とクラスを持つ」必要があり、元々色を持たないサーバントは除外に使えない点です。
このデッキは様々な色のエナが要求されるため、サーバントがあると助かるのですが、仕方ないですね。
時雨の調 ゆきめ
初動で<バオバブーン>×2をサーチすれば、一気にデッキを削ることができます。
起動の破棄時効果では、<アルハイキー>を無効にできます。
今まで出されただけで負けが確定していたので、<ゆきめキー>の採用も構築の大きな進歩と言えるでしょう。
サンガ=スイング
このデッキはサーバントが0枚のため、何でもトラッシュからエナに置けます。
コインコストが不要、スペルでも置け、枚数も2枚と多いため、<鎮護国禍>よりも使い勝手が良いです。
これにより、トラッシュからカードを撤去する手段が、
・<イベリコキー> → 3枚
・<Stirred Heroines> → 2枚
・<サンガ=スイング> → 2枚
の計7枚と、以前の4枚(<イベリコ>+<鎮護国禍>)から一気に増えました。
枚数が増えたことで、回し方に大きな革命がもたらされました。
1周目に落ちたトラッシュのカードを全て回収or除外し、リフレッシュを挟まずに無限ルリパンを決める
ことが可能となったのです。
今まではトラッシュを全発掘することが困難であったため、以下の手順のように、1度リフレッシュを挟んでから「デッキ・トラッシュ0枚」の状況を作っていました。
(1)<エルドラ・ラッキー>でライフトップをシグニに操作する(<鎮護国禍>で回収するため)
(2)2ターン目にリフレッシュに入る
(3)リフレッシュダメージを<鎮護国禍>で回収しつつ、リフ後のデッキを0枚に削る
非常に回りくどい上、<エルドラ・ラッキー>というライフトップを操作するだけのカードを採用する必要がありました。
それが今となっては、リフレッシュを挟まず、1周目の中でトラッシュを0枚にした上で、デッキを0枚に削るだけで済むため、
・回しやすく、安定性も向上
・1周目のデッキを0枚に減らすだけで済むため、デッキ採掘要員の所要量が減り、枠に余裕が生まれた
・<エルドラ・ラッキー>が不要となり、<ゆきめキー>の枠が生まれて<アルハイキー>をケアできるように
と、良いことづくめの結果になりました。
更に<サンガ=スイング>は、色事故回避にも一役買ってくれます。
このデッキはゲーム中に1回だけ、<ディストラクト・アウト>用の黒エナを置く必要があるのですが、1回だけ使う黒エナのために多くの枠を割くことができません。
結果、<コオニ>4枚だけの採用となったのですが、漫然と回すだけではエナに<コオニ>が落ちない場合もあります。
そんな時こそ<サンガ>の出番で、
「<THREE OUT>等で<コオニ>をトラッシュに捨てる → <サンガ=スイング>でエナに置く」
という手順で対処できます。
このデッキは「青・緑・黒・白」の4色体制で、サーバント0枚だと色事故不可避に思えますが、そこをケアしてくれる<サンガ>こそ、ディーセレ世代の1ママを代表する1枚と言えるでしょう。
最後に、デッキ構築ルールについて1点注意事項が。
「ピースだけじゃなく、アシストルリグも採用できるんだ!」
と気づいた時、<祝福の鍵の音>→<マドカ//フロート>に変更すれば良いのでは、と思いました。
0ルリグがマドカなのもその名残です。
手札を捨てる枚数が1枚減りますし、<サンガ>がLv1まで上がるなら、マドカもLv1に上げた方が、DIAGRAM的にバランスが良いです。
が、ここに落とし穴が潜んでいました。
構築ルールを確認してみましょう。
Q.ルリグデッキにはカードを入れられる枚数は決まっていますか?
A.合計枚数は10枚まで、同名カードは1枚まで入れることができます。あなたのルリグデッキにレベル0のルリグが3体以上入っている場合、追加で2枚までピースを入れることができ、合計枚数は12枚までとなります。
「Lv0ルリグを2枚追加すれば、その分ルリグデッキが2枠増え、12枠になる」
という解釈は感覚としては間違ってはいませんが、厳密ではありません。
正しくは、
「従来のルリグ・アーツ等を積める10枠分とは別に、ピース2枠分が追加される」
という意味です。
<祝福の鍵の音>→<マドカ//フロート>と変更すると、従来のルリグ・アーツ等を積む枠が11枚となり、枚数オーバーとなってしまいます。
ディーセレ期に初めてオールスターで遊ぶ際、ルールの理解が甘いと引っ掛かりがちなのでご注意ください。
このルールに関し、全世界に恥ずかしい勘違いを晒したブロガーが居るとか居ないとか・・・
幻獣 アルバト
簡単にテキストを説明すると、
コストでトラッシュから除外すると、効果対象不在で何も起こらない。おわり。
です。
<ネンレイ>と同様、トラッシュから能動的に除外するだけのカードですが、「デッキとトラッシュを0枚にする」という変則的過ぎる方針で戦うこのデッキにとっては重要な1枚となります。
カード検索で「除外」と打ち込んでみると、
<コードメイズ リバティ>→アタックフェイズしか使えない & 自分の場が空である必要あり
<羅星 ジュメニーズ>→リメンバ限定
のように、条件付きの場合が多いため、条件無しで除外できる<アルバト>は使い勝手が良いです。
ちなみに、条件縛りはありますが、色的には<リバティ>も有力ではあります。
緑エナ要求のカードは無い一方、初動で<ゆきめキー>を使う都合、白いカードは多い方が助かります。
アタックフェイズしか使えない点は、<バオバブーン>を1枚抱えておけば解決します。抱えておくことで、アタックフェイズに<リバティ>を除外してトラッシュ0にした後、デッキを0にすることが可能です。
実は自分の場を空にする方が難しく、場のシグニをバニッシュし切れるだけの<物語>を引いておく必要があります。
何度も一人回ししていると、エナ落ちやライフ埋まりで、4枚中1枚しか<物語>を引けないというケースが時々起こりました。
1,2枚の採用に留め、場を空にできなければ<サンガ>でエナに戻すという使い道が現実的かと思います。
今回は、そこまで難しく考えるほどデッキの枠が苦しい訳ではなかったため、<リバティ>は不採用としました。
TROUBLE
エナに<ネンレイ>・<アルバト>が落ちた時、<THREE OUT>では活用できませんが、<TROUBLE>であればエナコストとしてトラッシュに落とせます。
羅星 プロシオス / 羅星 シリオス / 蒼凶魔 コオニ
2色シグニで、<ゆきめキー>の白エナ、<ディストラクト・アウト>の黒エナとなりつつ、青エナとして<THREE OUT>と<TROUBLE>のコストにも使えます。
<イベリコキー>で回収でき、トラッシュを空にしやすいという点でも優秀です。
<ゆきめキー>の方が使うタイミングが早いため、初手でエナに置きやすいよう、青白の方を7枚と多めにしています。
青黒枠は以前<アメンボ>でしたが、<コオニ>はLv1シグニなので、<コオニ>がエナに落ちない時、場に出して<物語>でエナに送ることも可能です。
基本はトラッシュに落として<サンガ>で拾えば良いのですが、トラッシュに<ネンレイ>・<アルバト>以外のカードが落ちる回数が増えてしまうため、トラッシュから撤去できる枚数(7枚)の上限を超える場合もあります。
サブプランとして、<物語>を使う方法も覚えておくと良いでしょう。
4.今後の展望
「後攻1ターン目に無限ルリパン」というインパクト狙いで始めた1ママ再構築でしたが、<エルドラ・ラッキー>の不採用、リフレッシュを挟まない回し方等、構築・プレイング面の改善も大きく、想定以上に実戦的なデッキに仕上がりました。例えば対アルハイキーエルドラであれば、以前は
・そもそも<アルハイキー>が無理
・乗り越えたとしても、2エナ置かれた瞬間に<ジャイキリ>を構えられるため、相手に2ターン目を渡した(つまり、エナフェイズを2回与えた)瞬間に負け。
と、二重の壁が存在していました。
今回の改良により、
・対<アルハイキー>は<ゆきめキー>
・後攻1ターン目or先攻2ターン目に勝利できるようになったため、エナフェイズは1回しか与えない
と、二重の壁を見事乗り越えてくれました。
<ロックユアハート>を採用している構築だと最速勝利は難しいですが、相手がエナを使ってくれるため、<ジャイキリ>までの時間が延びる分、こちらもゆっくりデッキを削れます。
まぁ、エルドラ最大の敵は、
LB<トオン>→勝てない
LB<ノイヴァン>→無限ルリパンが消える
LB<スヴァローグ>→エナがトラッシュに落ちてリフレッシュ
なので、結局最後は運頼みなのですが・・・
更に希望が持てるのは、「新規カードが登場すること」です。
今でもディーセレ世代のカードを17枚採用されているように、ディーセレ用に低レベル主体で強化される現状は、このデッキにとって追い風です。
今後相性の良いLv1シグニorアシストルリグorピースが登場すれば、「打倒 炎のタマ」が実現できるかもしれません。
今も昔も、明確な<炎のタマ>対策は存在しており、
「<スピサル>or<ステサル>で回収して第2波を仕掛ける」
ことさえ出来れば何とかなります。
しかし、デッキ&トラッシュ0枚という特殊過ぎる状況が必要となることから、1度止められた後にデッキ&トラッシュ0枚を再現し、第2波を仕掛けるのは非常にハードルが高いです。
<ステサル>で1枠減った上から第2波に繋げるリソースを確保するのは、現状のプールではどう見ても無理ですが、新規カードが解決してくれるかもしれません。
いかがでしょうか?
速攻デッキは「出る杭は打たれる」運命にありましたが、規制の後に何度も立ち上がってきました。
「<DYNAMITE> & <バーストラッシュ>が同時制限されたなら、2止め遊月を開発すればいい」
「同名アーツ1枚制限で2遊月が1度消滅したなら、新規のキーと軽量アーツを積んで復活させればいい」
1止めママは、登場直後に<炎のタマ>に出鼻を挫かれる格好となりましたが、着実に強化されています。
対策側も手段が増えていますが、それはむしろ好都合。
対策が分散し、<炎のタマ>の採用率が下がることが最重要です。
対策を分散させ、時間を稼いでいる間に、「<ディストラクト・アウト>2発目」という悲願を達成することが出来れば、1ママが環境に顔を出す日が来るかもしれません。
今後もディーセレ中心の生活は変わらないのでしょうが、新規カードをチェックしつつ、密かに「1ママに使えないか?」と研究を続けることとします。
続報を待て!!!
(後日談)
「編集長!炎のタマより突破不能なカードが発見されました!!!」
<ゆきめキー>で無効にしても、前のターンに使われた起動効果は打ち消せません。
1ママが進化するだけの歳月があれば、相手も進化するということか・・・
こればかりは、採用されないことを祈る
しかありません・・・
キーを無効ではなく、除去する手段が現れれば、<ピルピルキー>を除去し、次のターンに無限ルリパンを仕掛けることで何とかなるので、新規次第でワンチャン?あるかもしれません。