【32ページ目】からばこ | WIXOSS|ウィクロス | トレカ通販・買取ならカードショップ -遊々亭-

【32ページ目】からばこ | WIXOSS|ウィクロス

WIXOSS|ウィクロス 遊々亭Blogです。遊々亭一押しのプレイヤーさん達による攻略情報やゲームに関する様々な情報、担当のおすすめなど、WIXOSS|ウィクロスに関する情報を配信していきます。Twitterでも情報配信中です!
遊々亭@WIXOSS|ウィクロス担当アカウント@yuyuWixoss 遊々亭公式アカウント@yuyuteiNews

からばこ アーカイブ

タイトル一覧へ ≫

レトリック新弾記念インタビュー!【からばこさん編】

    posted

    by からばこ

    インタビューピルルク.jpg
    「レトリック新弾インタビュー!【からばこさん編】」
    こんにちは、遊々亭WIXOSS担当です。
    今回はレトリック発売を記念して、ブロガーの"からばこ"さんにピルルクについてインタビューしてみました!
    是非チェックしてみて下さい!

    レトリックが発売したことで、ピルルクのデッキはどう変わりそうですか?
    バウンス耐性を得た、というのが何よりの強化です。
    魔界の末娘 アナスタシア>の登場で、自分の全ての悪魔のシグニがバウンスされなくなりました。天敵だったタマ、ユキに対して、これまでよりも強気に出られるのではと期待しています。

    所感で構いませんので、考えたデッキレシピを教えて下さい。
    デッキ(からばこ).jpg

    ユートピアの頃に使われていたピルルクを、ほぼそのまま使っています。
    各所のWPやWPSで多く使われている、スタンダードなピルルクです。構築がほぼ同じデッキと戦ったことのある方も多いのではないでしょうか。

    キャプテン・フック><アナスタシア><シャハラザ>辺りの枚数はこれから調整です。環境次第、特にタマやユキがどこまで台頭するかによって、大きく変わって来るんじゃないかなと。
    シュテンド>を抜いたので、面開け能力が落ちていないかが心配ですが、<アナスタシア>も除去能力を持っていますし、後半はルリグアタックで詰めていくのでいいのかなー、と思っています。いいのかな?

    コインは合計4枚です。<ピルルクKEY>で1枚、『カタルシス』で1枚、<ドント・リブミー>で2枚です。<ヴィクティム・ディフェンス>は原則、どちらかのモードのみしか使いません。
    ヴィクティム>の枠は<ドント・ムーブ>であることが一般的でしたが、防御がダウンのみになるので差し替えた、という具合です。<ヴィクティム>は最近ちらほらと見かけていたアーツで、自分の周りにも使っている人がいたので、入れてみました。

    デッキを組むにあたって、色々な入賞デッキに目を通しました。
    ほとんどの構築がこんな感じ。まさしく「ザ・基本」です。ピルルクデッキが気になっている方は、まずはここから始めてみてはいかがでしょうか。

    デッキの戦い方を教えてください。
    基本的な動きは、ユートピアの頃のピルルクと変わりません。
    序盤は<アスピドケロン><クロケル><ラハブ>でガンガン攻めていきます。自分の手札が減ることについては、一切気にしなくていいです。減らした方が強いですしね。
    Lv5に乗ってからはコイン技『ピーピングアナライズ』でサーバントをハンデスしていき、ルリグアタックでの決着を狙います。
    場合によっては『カタルシス』によるダメージも狙っていきたいところですね。「序盤はシグニで攻めて、相手のライフを減らし、最後はルリグorカタルシス」と覚えておきましょう。基本、これだけでOKです。わかりやすい!

    キーカードは何ですか?
    魔界の末娘 アナスタシア
    バウンス耐性。今回の強化はこれに尽きます。
    手札を0枚にすることでルリグアタックを防ぐピルルクにとって、自分のシグニをバウンスされると、ルリグアタックが通るようになってしまい、致命傷です。それを<アナスタシア>1枚で防ぐことができます。喉から手が出るほど欲しかった耐性を手に入れました。
    加えて、青1無色1でトラッシュから自己蘇生しつつ、相手のシグニをトラッシュ送りにできます。手札を0枚にして戦う都合上、後続の供給が追いつかないということもありましたが、自己蘇生である程度カバーできるようになるかな、という印象です。場を離れたら除外されるため、出すタイミングは見極めなければいけません。そこは慣れましょう。

    これほど的確な強化をもらえるなんて思ってもいませんでした。
    全国のピルルクスキーと祝杯を上げたいくらいです。乾杯!!

    入手しづらいBlu-ray付属カード「グレイブ・ブルー」の代わりに採用できるカードはあったりしますか?
    ジャイアント・キリング
    TELOS>の『カタルシス』を使った後、<グレイブ・ブルー>で<マノミン>を2体蘇生し、サーバントをハンデスさせて勝利、という戦法があります。<ジャイキリ>の1番目の効果で2ハンデスさせれば、それと似たようなことができます。
    合わせて使うのは、主に3番目の効果になりそうです。相手のシグニをデッキバウンスしたり、手札に余ってしまったカードを捨てたりすることができるので、ピルルクと相性が良さそうですよね。
    加えて、スペル無効も付いているので、<強奪の箱舟><ICE STORM>などの強力なスペルに対して強く出られるのは、<グレイブ・ブルー>にはない強みです。選択肢の1つとして、検討してみてはいかがでしょうか。ルリグダウン凍結も強いので、緊急時には使えます。

    グレイブ・ブルー>はBlu-ray付属ということもあり、なかなか手に入れづらいです。
    比べて、<ジャイキリ>であれば幾分入手難易度は下がるので、そういう事情から<ジャイキリ>を選ぶのもありだと思います。

    今弾で注目しているカードはありますか?
    貨英の変動 エフエックス
    リメンバ待望の攻撃的なシグニ。除去性能が高くて驚きました。
    これまでもリメンバデッキとは何回か対戦したことがあるんですが、凍結によるロックでなかなか攻めづらかった覚えがあります。そこに除去が加わるとなると、ゾッとしますね。
    詳細はねへほもんさんの記事にお任せしますが、強化を得たリメンバがどれだけ台頭するかに期待です。

    純真の使者 サシェ
    10016.jpg
    このカードを発動したターン、相手はシグニを2枚までしか配置できなくなります。オールスターにおいて、コイン1枚で使える擬似<フラクタル・ケージ>という意味で注目しています。
    アーツを不用意に使うと<炎のタマ>の条件を満たしてしまい、そのターンで勝負を決められなくなりますが、キーであれば大丈夫ですよね。恐らく、ショットをメインに据えた<白滅タマ>での採用が増えるのではないかと思っています。
    既に<落華流粋>を<焔型闘娘 花代>に替え、<炎のタマ>を対策した構築が生まれているので、要チェックです。

    サーバント G
    「2コストで手札が4枚増える」と考えて、何か狙ってみたいところです。<幻水姫 モササ>のパワーを上げるための手札コストを引っ張ってくるとか、<サーバント Y>の起動効果を補助するとか、パッと浮かぶのはこの辺りですね。
    ちなみに、「レベルの異なる、能力が同じシグニ4枚」は、「能力を持たないシグニ4枚」をサーチできるため、<弩砲 アヴェンジャー>の弾となるウェポンシグニもサーチできたりします。実用性はわかりませんが、色々と期待ができそうなシグニです。

    今弾でお気に入りのカードがあれば教えてください。
    アロス・ピルルク KEY
    10030.jpg
    ドント・ラッシュ>のよりも、こっちの方が好きです。

    最後に一言お願いします。
    初めての「新弾アンケート」でした。
    これからも書いていけるように、あまり気負わず頑張ります。


    "からばこ"さんありがとうございました!

カーニバルキーで振り返るワイルズ環境

    posted

    by からばこ

    タイトルカニ.jpg
    カーニバルキーで振り返るワイルズ環境
    からばこです。こんにちは。
    いよいよ20日に「レトリック」が発売されます。間も無くワイルズ環境も終了。あっという間の2か月、皆様楽しめましたか?

    ワイルズ環境の中心にあったカードは、何といっても「<カーニバル -K->」でしょう。<カーニバルQ>のシグニ書き換え効果「ジョーカー」を、ターン1の制約付きではありますが全てのルリグに付与するキーです。
    「ジョーカーをあのルリグでも使いたい!」と夢見ていた多くのセレクターたちの願いを、このカードがサクッと解決。トーナメントシーンでも多数のデッキに採用され、普段のウィクロスパーティーや対戦シーンなどでも、「このデッキに<カニキー>が合う!」という新たな発見が、日々なされていました。

    というわけで今回は、「カーニバルキーで振り返るワイルズ環境」と題して、「ワイルズ」のオールスター環境を振り返ってみたいと思います。
    色々なデッキが登場した本環境。1枚のカードを中心に、ざっくり総括しちゃいましょう。「繭の部屋」も来ましたしね。
    テキストおさらい
    カニキー>のテキストは以下の通りです。
    10009.jpg
    LR カーニバル -K-
    カード種類:キー
    色:赤
    コスト:コイン2
    【常】:あなたのルリグは以下の能力を得る。
    【起】《ターン1回》《アタックフェイズアイコン》エクシード1:ターン終了時まで、あなたのシグニ1体はあなたのトラッシュにあるシグニ1枚と同じカードになる。
    【出】:あなたのデッキからレベル4のシグニを2枚まで探して公開し手札に加え、デッキをシャッフルする。
    【起】《アタックフェイズアイコン》このキーを場からルリグトラッシュに置く:ターン終了時まで、対戦相手のすべてのシグニを《サーバント ZERO》にする。
    • エクシード1でアタックフェイズに自分の場のシグニを、自分のトラッシュのシグニ1体に書き換える。
    • 出現時にレベル4シグニを2体サーチ。
    • カニキー>をルリグトラッシュに送り、相手の場のシグニを全て<サーバント ZERO>にする。
    の3つです。
    場に出せば手札が2枚増え、シグニを書き換える効果で防御の幅が増え、<サーバント ZERO>にする効果は擬似的な<アンチ・アビリティ>と、強力な効果がぎっしり詰め込まれています。
    特にシグニを書き換える効果がこのカードの主力です。場のシグニを主に、「アタックフェイズの起動効果」を持つシグニたち(<ジルコニウム>・<テンドウ>など)に書き換えて防御したり、強力なアタックトリガー(<ブラジャック>・<グスクル>など)に書き換えて攻めたり、などの使われ方が多いです。
    また、書き換えるための元のシグニが盤面に残っていることが必要です。そのため、メインフェイズなどで場を空けられた時のために、<メイジ><ジルコニウム>など、自身の効果で場に出るシグニがほぼ必須になりました。アーツなどで補う場合もありましたが、この2枚、特に<ジルコニウム>は今環境で大きく台頭したシグニといえます。
    これらのカードをスムーズにデッキに取り入れられたルリグが、<カニキー>を上手に使いこなせていました。無理に構築を歪めず、「既存の動きの安定感を底上げする」ことが大切だな、という印象です。もちろん、これまでにない動きを取り入れたデッキもありました。
    具体的にどのルリグが使われたのか、ざくっと振り返ってみましょう。

    カニキーが使われたデッキって?
    カーニバル(ダブルLv5軸)
    カーニバルデッキが<カーニバルキー>を使うという、カニ御殿なデッキ。これまで<ウムルキー>を使う型が多かったですが、環境中盤(11月中旬ごろ)から<カニキー>型がチラホラと環境に姿を出し、今ではほとんどのカーニバルデッキが<カニキー>を採用しています。

    書き換え先は<テンドウ><スノロップ>が多いです。要は、<カーニバルQ>が行なっていた「ジョーカー」の動きを、レベル5グロウ後も継続できるようになった、ということです。<カニキー>での書き換えは1ターンに1回だけなので、従来のような「<テンドウ>2体に書き換え→ライフクラッシュからの2体バニッシュ→<スノロップ>2体に書き換えて2点回復」のようなことはできませんが、ただでさえ高いカーニバルの防御力をさらに底上げしています。
    他には<ラアー><インパクト>が挙げられます。前者は<赤MAIS>や<カニキー>の3番目の効果で<サーバントZERO>になった相手シグニを除去、後者は擬似的なバニッシュ耐性、といったところです。隙がないですね。

    黒Q>の「ジョーカー」でキーを2枚貼れるのが、カーニバル最大の特徴です。<カニキー>の天敵<フレイン>対策に<レイラキー>を貼るケースがほとんどでした。
    また、<タネガスペ><コニプラ>などの下級のシグニが、デッキの中ではレベル4扱いになります。<カニキー>の起動時にサーチできるため、序盤の事故もへっちゃら。<カニキー>はカーニバルのためのカードだったのか、と言わんばかりですね。

    強力な防御力を誇りますが、攻撃手段は<ダイホウイカ>程度。守るばかりで攻めきれず、時間切れで引き分けという案件が多発したようです。<トオン>も仕込めますし、なかなか試合が終わりません。
    加えて、繭の部屋の改定により<テンドウ>が禁止カードに、グロウルールの変更で2種類のレベル5を両立することができなくなるなど、大きな打撃を受けます。レベル5の両立については、赤か黒かのどちらかを選ぶことで解決しますが、<テンドウ>の禁止がどこまで影響するかが気になるところですね。

    紡ぐ者
    ラスボス同士、気が合うんでしょうか。<カニキー>と<紡ぐ者>の相性は抜群です。
    紡ぐ者>デッキの縁の下の力持ちは<ノーザンセブン>です。相手に合わせた耐性を付与し、<バハムート><ブラジャック>などで攻めるのが、<紡ぐ者>デッキの特徴です。ただ<ノーザンセブン>は耐性を付与した後は実質のバニラ。アタッカーとなる残りのシグニを除去され、攻め切れないことがありました。
    その弱点を<カニキー>が見事にカバー。<ノーザンセブン>を<ブラジャック>などのアタッカーに書き換え、耐性を付与しながらアタッカーを増やせるようになっています。<ノーザンセブン>の耐性付与はアタックフェイズ開始時で、<カニキー>での書き換えはアタックフェイズ時なので、「耐性付与→<ノーザンセブン>を書き換え」ができるのがポイント。耐性1種類+<ブラジャック>3面や、耐性2種類+<ブラジャック>2面などができるようになりました。
    また、これまではライズの制約で場に出せなかった<グスクル>を戦闘に参加させられたり、<カニキー>の3番目の効果と相性がいい<ラアー>も採用できるのもポイント高。各種レベル4ルリグのグロウコストが0なこともあり、追い風気味だった<紡ぐ者>デッキが更に強化された、といえるでしょう。各種レベル5シグニを採用し、臨機応変に使いこなせるのも強みです。

    カニキー>話からは少し脱線しますが、どのルリグから<紡ぐ者>にグロウするか、がポイントです。
    「カタルシス」でリソースを増やして<紡ぐ者>にグロウできる<ピルルクTETRA>、「イノセンス」が強力な<白滅タマ>、複数キーを貼れる<夢限>あたりが人気でした。新しいレベル4ルリグやレベル5シグニが登場するたびに強化されていくデッキなので、これからも目が離せません。
    ただ、<夢限>からのグロウについては、グロウルールの変更で難しくなります。同レベルのルリグへのグロウができなくなるため、<夢限 -E->から<紡ぐ者>へのグロウが不可能になります。<-P->の起動効果を4回のみ使えば大丈夫ですが、使用済みアーツをエクシードコストに充てられないのが痛いところです。

    ナナシ
    カニキー>登場時は「<ボツリネス>がアタッカーになる!」と話題になったナナシ。<ボツリネス>以外にも<マイプラ>に書き換え、序盤の除去&アタッカーにする使い方がされていました。
    マイプラ>はレベル1にしてパワー3000で、場のウイルスを除けばシグニ1体をマイナス4000できるというハイスペックシグニ。ウイルスが場になければトラッシュに送られてしまいますが、<ポレン><RS>で供給し続けられます。相手にとっては厄介なこのシグニが、<カニキー>で実質、場に残り続けることになりました。
    パワーが4000以下のシグニは問答無用でバニッシュされますし、<マイプラ>を戦闘でバニッシュしたければ、パワー7000を用意しなければなりません。4000というパワーは、レベル1のほぼ全てのシグニと、デッキによってはレベル2までのシグニを完封できます。<カニキー>によって<マイプラ>を安定して場に出せるようになったことで、ナナシデッキの序盤の攻撃力、防御力が底上げされたといえます。
    もちろん、<ボツリネス>を<インフル><ダイホウイカ>などのアタッカーにする選択肢もあります。そもそも、防御の要である<ボツリネス>が<カニキー>の出現時でサーチできるので、「レベル4なのに<ボツリネス>がいない!」ということが減ったのも魅力的です。
    5ナナシ>の制圧力が強力なのはもちろん、<ブラック・エイク>など妨害に長けたカードも多いので、一度使ってみてはいかがでしょうか。

    他にもいろいろ
    他にもたくさんありますが、キリがないので箇条書きでご紹介します。
    イオナ/ユキ
    ノイヴァン>でダウン、<ルーブル>で効果無効。<カニキー>出現時で両方サーチ可能です。デッキによりますが、<クイン>に書き換えてシグニのアタックを完封、という戦術も可能です。
    最幸ユキ>のみならず、<アルテマイオナ>での採用も十分ありです。
    タマ
    ウェポン軸が特に強力。<アイアース><チタイクウ><アークイギス>などにしてルリグアタックを更に強化したり、<グスクル>でシグニでの要求値を上げたり。守りは盾シグニ+<ティンベー>でしょうか。アトリさんの記事「カーニバルキー真名マユ」もご参考にどうぞ。
    ルリグは<伍改>でも<真名マユ>でも<創世マユ>でも。もちろん<黒点>でもありです。一部のデッキはグロウのルール変更の影響を受けるので注意。
    ドーナ
    ルリグがレベル3の時に場のシグニを<スノークイーン>にすると、ルール処理でトラッシュに行きます。それによって<スノークイーン>の効果で<ユキンコ>を出して、2面防御という算段です。
    また、<フゥライ>を増やしたり、欲しいレイヤーのシグニに書き換えたり、<タマモゼン>でルリグアタックスキップもできます。小回りの効く<5ドーナ>のコイン技、というイメージでしょうか。

    採用されやすくなったシグニ
    カニキー>の登場で注目されるようになったシグニをご紹介します。
    これまでのデッキ紹介で触れたシグニも多いですが、限定なしシグニに焦点を合わせていきます。
    羅原 Zr
    カニキー>に愛され、<カニキー>を愛したシグニです。
    アタックフェイズに青1で、自分と相手シグニ1体をバニッシュできる起動効果を持ちます。青エナさえあれば簡単に発動でき、書き換えたシグニがエナゾーンに行くので、「青エナ1枚を好きな色にできる」のもグッドです。<カニキー>との相性抜群ポイントその1。
    更に自身がレベル4。<カニキー>の発動時にサーチできます。そのまま場に出すのもよし、リムーブしたり手札コストにしてトラッシュに置くもよし。相性抜群ポイントその2です。もひとつおまけに、原子を1枚捨てれば2ドローできます。<カニキー>発動時に<ジルコニウム>を2枚サーチし、1枚場に出して1枚捨てて2ドロー。無駄がないですね。
    更に更に、トラッシュのシグニを10種類デッキに戻せば自身を蘇生。そのまま青1でバニッシュするもよし、他のシグニに書き換えるもよしです。相性抜群ポイントその3!

    総じて、<カニキー>のために生まれたカードと言っても過言でもありません。
    実際多くの<カニキー>デッキに採用されています。トラッシュの管理には気をつけましょう!

    コードアンシエンツ ヘルボロス
    お世話になった方も多いであろう、安心と信頼の<ヘルボロス>さんです。
    アタックフェイズに黒1で、トラッシュからレベル4以下の古代兵器シグニを蘇生します。<カニキー>で<ヘルボロス>に書き換え、<カイヅカ><メイジ>を蘇生すれば、簡単に場が埋まりますね。当然、マイナス7000を振れるので、相手の盤面に応じてマイナスを叩き込んで行きましょう。
    蘇生させる相棒としては、<カニキー>とも相性がいい<メイジ>、マイナスの値を増やせる<カイヅカ>がやはり強力。デッキによっては<ダゴン><ドロンジョ>辺りも検討されるようです。
    また、<ヘルボロス>自身が相手の<ジルコニウム><メイジ>などを封殺します。<カニキー>での防御に頼ったデッキは、3面空けて<ヘルボロス>を立ててしまいましょう。相手は悲鳴をあげること間違いなし。

    幻怪姫 スノークイーン+幻怪 ユキンコ
    ドーナの項目で紹介したこの姉妹。実は全てのルリグに出張できます。
    ドーナ以外のルリグで、場のシグニを<カニキー>で<スノークイーン>に書き換えると、限定条件を満たせずにトラッシュに送られます。これにより<スノークイーン>の効果が発動し、手札から怪異シグニの<ユキンコ>が出せるようになる、という動きです。
    ユキンコ>の出現時効果で2面止まるようになり、残り1体は<ユキンコ>自身で止めればいいので、エクシード1で実質3面防御です。すごいコスパですね。

    他にもたくさんのシグニが注目を集めました。
    多色デッキに<スノロップ>をタッチさせてみたり、<ハニエル>+<リンゼ>セットに<ハシュマル>を足してみたり、色々な動きを目にしました。
    まだまだあると思いますが、長くなってきたので紹介はこの辺りで切り上げましょう。「こんなこともできる!」というアイディアがあれば、ぜひ教えてください。

    環境に与えた・与えうる影響は?
    カニキー>が登場し、強力なデッキが生まれたによって、どんな対策がされたのでしょうか。
    ざっくりと「メタゲーム」について振り返ってみます。
    メインフェイズでの除去や制圧が増えた
    カニキー>のエクシード効果は「アタックフェイズ」のみです。当然、書き換える素材となるシグニがいなければ、何の役にも立てません。相手からすれば当然、「メインフェイズのうちに3面とも空けてしまえばいいじゃない」となりますよね。
    ワイルズ環境で一定の結果を残し続けたデッキに「あや」がいます。2回の<フーディナ>の出現時効果と<あや>自身のバウンス効果で3面空けは容易なうえ、<フーディナ>の存在が、トラップのあるシグニゾーンへの着地を許しません。<カニキー>デッキの息の長い防御に対しても、各種トラップで対抗できるため、あやデッキは全体的に追い風だったと思われます。
    他にも、例えばハナレデッキであれば、<ヨルムガン>などでマイナスをばら撒き、盤面を空にしたところで<ヘルボロス>でふたをしたり、<紡ぐ者>デッキであれば、<アモノウル>で除去してから<ブラジャック>で封殺したりと、「盤面空け+蘇生封殺」の組み合わせが、対<カニキー>デッキでは強力だったようです。
    トラッシュ封殺が注目された
    上記の<ヘルボロス>はもちろんですが、<サード・ディスティニー>で<ジルコニウム>や書き換え先のカードを除外するケースもありました。採用はまれでしたが、アーツを1枠使っても余りある仕事をする場合もあったようです。
    また、<カニキー>に頼るデッキは、リワトの<フレイン>が致命的です。カーニバルや夢限デッキなどで、「<カニキー>+<レイラキー>」とでもしない限りは、<フレイン>がトラッシュやエナ、場を散々荒らしてしまい、盤面が更地になってしまいます。リワトデッキは<レイラキー>の登場で逆風かと思われましたが、<カニキー>が人気を集めたため、選択肢の1つにはなっていたようです。
    他にも、個人的な経験ですが、アロスピルルクに<カレハチョウ>を採用して、相手の書き換え先のシグニをチャームにしてみたら、意外と効果的だったりしました。メインデッキを邪魔しない範囲で、相手のトラッシュに干渉する手段は用意しておいた方がいいかもしれませんね。
    エルドラの台頭
    エルドラデッキは<DYNAMITE>で、<ノイヴァン>のライフバーストを能動的に発動させられ、相手のキーの効果を無力化できます。メインフェイズでの盤面空けも<デメニギス>で可能で、<カニキー>対策は簡単です。エルドラの強化はレベル4へのグロウコストが0になった程度ですが、それによりエナに余裕が生まれ、既存の動きを一切変えず戦えていたのが強力でした。
    ただ、こちらも繭の部屋で<DYNAMITE>が禁止に。ライフクロスが残っていれば<ヒナニギス>で能動的にライフバーストを発動できるため、バースト操作の全ての要素を失ったわけではありませんが、かなりの痛手です。構築を大幅に見直す必要がありそうですね。

    まとめ
    いかがでしたでしょうか。「ざっくり総括」と書きましたが、結局長くなりました。
    デッキを考えたり、新しいコンボを探してみたりするという面でも、<カニキー>はとても魅力的なカードでした。今後も新しいレベル4シグニや、アタックフェイズに発動できる効果を持つシグニが登場するたびに強力になっていきます。
    ゆきめキーの登場などもあり、キーに依存するのは難しくなりますが、今後もさまざまなデッキが登場することでしょう。楽しみですね。

    新カードあり、繭の部屋改定あり、グロウルールの変更ありと、大きく動くこと間違いなしのレトリック環境。寒さも厳しいこの頃ですが、来期もよろしくお願いします。
    ではまた次回の更新でお会いしましょう!

シラクラ杯カバレージ〜最終章〜

    posted

    by からばこ

    決勝.jpg
    シラクラ杯カバレージ〜最終章〜
    どうもからばこです。2回目です。
    ねへほもんさんが掲載し続けている「シラクラ杯カバレージ」ですが、決勝戦のオールスターは私が担当させていただきました。
    というわけで今回は、個人主催の大会「シラクラ杯」のカバレージをお届けします。遅くなって申し訳ないです......。

    シラクラ杯については、こちらをご確認ください。16年世界3位のシラクラさんが主催する大会で、第2回から開催のお手伝いをさせていただいております。
    私の個人ブログに、大会の様子などを書いた記事がございますので、お時間ある方はこちらからどうぞ。リンクばかりですね。

    前置きが長いのもアレなので、早速本編に行きましょう。
    お付き合いください。

    決勝戦 きなこ選手(カーニバル) VS アトリ選手(グズ子)
    VS
    「ここまで来れるとは思ってなかったっす、はい」
    決勝戦まで勝ち上がったきなこ選手だが、試合前の言葉からはどこか自信のなさが滲む。2017年の世界大会で優勝するなど、多くの大会で栄冠を掴んだ身ではあるが、彼の言葉からはいつも「自信」がない。今回も例に漏れず、だ。
    使用デッキはカーニバル。世界の頂点に立った際に使っていたルリグだ。型は現在主流の「ダブルLv5」。<黒Lv5>の<サーバントZERO>化や2枚のキー、<赤Lv5>のアーツ再利用など、幾重にも張り巡らされた防御が強みのデッキ。使い慣れたデッキで、ここまで戦い抜いてきた。

    「最低限の仕事はしたいですね。自信はないけど......」
    言葉の語尾が霞む中、対戦相手を待っていた。


    「え?ばこさんに見られんの?俺見られるとダメなんだってえ......」
    きなこ選手に対するのはアトリ選手だ。彼の言葉もまた、弱気だった。
    そんな弱気とは裏腹に、アトリ選手も輝かしい実績を持つプレイヤーだ。17年の世界大会では3位に入賞し、数々の大型大会を制している。遊々亭ブロガーとしても筆を取っており、紛れもない「強豪」だ。
    カードゲームにおいて、彼の弱気な姿を見たことはほとんどない。「多分俺負けたわ......」と弱音を並べてはいるが、対戦が始まればきっと、いつものように自信十分にプレーする姿が見られるだろう。使用デッキはグズ子。<応援グズ子>と<燐廻転生>のワンターンキルや、<ブラジャック>など黒の遊具を絡めたロングショットなど、トップクラスの攻撃力を誇るデッキだ。

    「(自信は)ない!」 きっぱり言い切って、決勝戦の舞台へと進んだ。
    01.jpg
    (左がアトリ選手、右がきなこ選手)
    Turn1
    先攻はきなこ選手。<タネガスペ>を3枚揃える理想のスタートだ。
    うち1枚をチャージし、グロウ。手札の<ニホニンギョ>を切ってコインを得て、2枚の<タネガスペ>を場に出した。デッキトップから見えた<ノベアン>、サーバントを手札に加え、ターンエンド。上々の立ち上がりだ。
    一方のアトリ選手。ドローフェイズの2ドローを見て、「うーん...」とうなっていた。
    試合前のマリガンは4枚。その後「頼んだぞ!」と別卓の仲間に叫んだことなどから、手札の調子が悪いことは誰が見ても明らか。手札のレベル1は<キノ>のみだ。
    やや考えたのち、<ブラジャック>をエナチャージして<秘密の駄姫>にグロウ。手札を入れ替えると、「お!」と表情が晴れた。下級シグニが揃った。
    1枚の<キノ>に<ペイン・バイ・ペイン>を発動。デッキトップの5枚を公開し、遊具シグニを1体手札に加えるか場に出すのだが、めくれた5枚は、ここでは役割がないカードばかり。
    「えっ、震えた......」。思わず声が漏れるアトリ選手。やや悩み、<ウルシルマ>を手札へ加えた。そのままルリグデッキに手をかけ、1枚のアーツを発動する。
    「<ビカム・ユー>でグロウします」
    先手では黒シグニの回収に、後手では「先後の」入れ替えに。燐廻グズ子が強力とされるゆえの1枚だ。
    グズ子はレベル2へとグロウ。<ハッカドール1号>から<ウルシルマ>を場に出し、残りは埋めずにアタックフェイズへと移行した。シグニで<テンドウ>が、ルリグで<カプスワン>がライフから捲られ、大きな動きなくターンエンド。

    (ライフ)きなこ選手5点/アトリ選手7点

    Turn2
    ビカム・ユー>で後攻を強いられたきなこ選手。
    最速の燐廻ダイレクトを防ぐには、採用しているルリグ止めアーツ<アイスフレイム・シュート>に必要なエナを溜めながら、立て直していかなければならない。
    幸い、手札は上々。場の<タネガスペ>をチャージし、レベル2へグロウ。<カプスワン>を場に出し、そのまま起動効果で<コニプラ>をサーチ。その<コニプラ>の効果で、デッキトップの<トオン>をエナへ置いた。
    アタックフェイズに入り、きなこ選手は何もせず、「終了です」と告げ、ターンを渡した。
    燐廻>などのワンショット系デッキへの戦術のひとつ、ノーパン。アタックを控えてエナを与えず、カーニバル側が盤石な盤面を築き上げてから攻め始めるプランだ。
    きなこ選手の手札には<リンゼ>も見える。<燐廻>に対する立ち回りとしては問題ないように見えたが。

    アトリ選手が小さく頷いた。
    そのままターンが移る。 手札から<ブラジャック>をチャージし、グロウ。<キノ>で<ハッカドール1号>をトラッシュに送り、1ドロー。場は<ウルシルマ><キノ>のみでアタックフェイズへ移った。 <ウルシルマ>のアタックで<キノ>をトラッシュに送りながら1点、ルリグアタックも通って1点。ライフからは特に大きなカードは見えず、きなこ選手のライフは3枚へと減った。 これで燐廻ダイレクトが更に大きな脅威となる。早くも決着の気配が漂い始めた。
    (ライフ)きなこ選手3点/アトリ選手7点

    Turn3
    きなこ選手はサーバントをチャージし、<TN>へグロウ。デッキトップの<ダイホウイカ>を加え、2枚のコインで<カーニバル -K->をアンロック。レベル4のサーバントと<Zr>をサーチし、温存しておいた<リンゼ>を場に出した。
    10009.jpg
    加えて<カプスワン>で<コニプラ>をサーチ。リムーブ権で空いた盤面に<コニプラ>を置きで、デッキトップの<コニプラ>をチャージ。<リンゼ>の正面に<ウルシルマ>、<コニプラ>と<タネガスペ>の正面は空きという状況で、アタックフェイズへ移った。
    ここでも<リンゼ>のみでアタック。アトリ選手の<燐廻転生>を封じ、ターンを渡した。

    返しのアトリ選手。「んー、ちょっと考えます」と伝え、公開領域を念入りにチェックし始めた。
    燐廻転生>が封じられたとはいえ、3枚のライフを奪い去るのはグズ子にとって容易いことだ。既存のシグニと「ダイレクト」で勝負を決めにいく算段をしているのだろう。手札には<ハッカドール1号>+<シャテキ>のセットに加え、赤エナの<ハッカドール2号>も見える。十分の火力が期待できる状況だ。加えて、きなこ選手のエナゾーンには青が2枚未満。採用率が高い<アイスフレイム・シュート>を、今は使えない状況だ。
    見るに、絶好のチャンス。長考の末、手札の<超体感>をエナチャージし、<応援の駄姫>へグロウ。出現時の効果は当たらない。
    不運ながらも手は止まらない。
    ハッカドール1号>から<シャテキ>を出して1ドロー、2エナチャージ。手札の<ニホニンギョ>を場に出し、3体まとめてリムーブ。トラッシュに<ニホニンギョ>が落ち、準備はバッチリ。アトリ選手は手札から<オキクドール><ニホニンギョ><ウズラグ>を場に呼び、アタックフェイズへの移行を告げた。
    パワー2000の<タネガスペ>の正面に<ニホニンギョ>がお目見えし、<オキクドール>は<リンゼ>のパワーを4000に下げながらその正面へ。
    デッキに眠るであろう<ニホニンギョ>のお膳立てはバッチリだ。<ウズラグ>は<コニプラ>を狙っている。各所のハッカドールたちを絡めれば、綺麗に勝利、といったところだ。「アーツ使ってよ」と言わんばかりの盤面と視線で、きなこ選手に訴える。
    02.jpg
    「どうぞ」
    きなこ選手は、その訴えをあっさり突っぱねた。

    確かにきなこ選手は<カプスワン>などでデッキを把握している。残る3枚のライフクロスの中に有効なライフバーストがあるのを知っているのか、それとも単に諦めただけなのか。 やや困惑気味のアトリ選手。息を整え、遊具のシグニへの攻撃を命じる。
    まずは<オキクドール>だ。アタック時にエナの<超体感>を支払いながら、自身をトラッシュに送って<ニホニンギョ>を......。
    「おーん......、困ったね......。対象不在で」
    7枚のライフクロスの中に3枚目以降の<ニホニンギョ>が眠っているようだ。このターンでの決着が思わぬ形で消えたアトリ選手は、場の<ニホニンギョ>のアタックで、パワーが4000になった<リンゼ>を溶かしながら<ニホニンギョ>をバニッシュ。トラッシュの遊具シグニを広げ、「ダメか......?」と苦い声で呟いた。
    トラッシュの<ニホニンギョ>を呼び、<シャテキ>を回収。その<ニホニンギョ>が<タネガスペ>を溶かし、トラッシュから<ハッカドール1号>を釣り上げた。先ほどの<シャテキ>が手札から場に飛び出し、1ドロー2エナチャージ。きなこ選手の場をこじ開けながら、更にリソースを伸ばした。
    そのまま<シャテキ>で1点。アトリ選手はきなこ選手のデッキの残り枚数を確認し、<ウズラグ>で<シャテキ>をトラッシュに送りながら、更に1点。きなこ選手のライフを1枚にまで追い込み、ターンを渡した。

    勝敗を決するライフバーストは見当たらない。
    眠る1枚がそうなのか、単なるハッタリだったのか。勝負は続く。

    (ライフ)きなこ選手1点/アトリ選手7点

    Turn4
    カーニバルが<黒Lv4>へグロウ。場の<ハッカドール1号>をバニッシュしながらトラッシュを肥やす。タイミングよく<メイジ>が落ち、カーニバルの防御力が増した。
    きなこ選手がここから攻勢に移る。残る<レイラ=クレジット>をアンロックし、<ノベアン>で<ウズラグ>をバニッシュ。<ダイホウイカ>とパワーが20000になった<スノロップ>でアタックフェイズへ。反撃の狼煙を上げた。

    涼しい顔のアトリ選手。ライフには余裕があるが、<フーリッシュ・マイアズマ>で迎え撃った。
    グズ子故に選べる3モード。「手札以下バニッシュ」で<スノロップ>を除去し、「場に出るたびー7000」と「レベル3以下蘇生」で<オキクドール>を呼び出した。パワーが4000になった<ダイホウイカ>が、更に−7000されてバニッシュされる。<ノベアン>の前に<オキクドール>が立ちはだかり、あっさりと3面を止めてしまった。
    黒Lv4>のアタックを受け、アトリ選手のライフは6に。まだまだグズ子側が余裕だ。
    返しのターン。場を開けたアトリ選手は、<悲願の駄姫>へグロウ。トラッシュから<ウルシルマ>と<ブラジャック>が飛び出し、<ブラジャック>が更に<ニホニンギョ>を呼び、<マージャン>が手札に舞い込んだ。仕事を終えた<ニホニンギョ>は<悲願の駄姫>のコストで、<ノベアン>のパワーをー12000しながらトラッシュへ。リムーブ権を使わずに自分の場を自在に空ける、<悲願の駄姫>の十八番だ。
    更に遊具たちが牙を剥く。手札の<ペイン・バイ・ペイン>で<ウルシルマ>をバニッシュしながら、5枚のデッキトップから<ワラニン>を回収。空いたシグニゾーンに手札から2枚目の<ブラジャック>が現れた。トラッシュから<オキクドール>を釣り上げて。

    「アタック入って、コインベットで!」
    03.jpg
    ブラジャック>たちが今か今かとアタックを待ちわびる。
    盤面が空のきなこ選手はまさに絶体絶命。1体でも遊具シグニを残してしまえば、ぐるんぐるんと入り乱れ、再び<ブラジャック>が絡む盤面が作られかねない。更にコインがベットされており、この3体を「場を離さずに」除去しなければならない。
    手段は限られている。手段はあるが、ここで使いたくはない。でも使わなければ負けてしまう。

    「<カニキー>をトラッシュに送って、全員<サーバントZERO>にします」

    カニキー>を破棄。場の遊具たちを<サーバントZERO>にし、取り急ぎ<悲願の駄姫>の脅威からは逃れた。しかし盤面は空、ライフは1。<サーバントZERO>たちに殴られて試合が終わってしまう。アーツを使わざるを得ない状況には変わりなかった。
    続けて<アイスフレイム・シュート>を使用。溜まりに溜まったエナで7コストを支払い、<サーバントZERO>になった<ブラジャック>2体を除去しつつ、ルリグをダウン凍結。<燐廻転生>の脅威から逃れることに成功した。残る<サーバントZERO>(<オキクドール>)のアタックは、正面にトラッシュから<メイジ>を蘇生することでキッチリガード。使った手数は多いものの、グズ子の猛攻をしのぎ切った。
    裏を返せば、カーニバルの防御のほとんどを吐かせたといえる。防御の要である<カニキー>は消え、<アイフレ>も使わせた。堅牢なカーニバルの防御をこうも簡単に突き崩していくとは。グズ子の破壊力は、やはり恐ろしい。アトリ選手はそのままターンエンド。
    (ライフ)きなこ選手1点/アトリ選手6点

    Turn5
    きなこ選手は<黒Lv5>へグロウ。<サーバントZERO>とするシグニは、問答無用で<ブラジャック>だ。制圧、リソース回復、連続攻撃。グズ子デッキの全てを担う<ブラジャック>が消えたことで、アトリ選手の攻撃力は大きく落ちた。
    「ジョーカー」で<落華流粋>をルリグデッキに加え、再びの反撃。盤面を<テンドウ><ニホニンギョ><サーバントQ>にしてアタックフェイズ。アトリ選手はすんなりこれを通した。
    gp gp
    テンドウ>のアタックで割れたライフは<ニホニンギョ>。「お前を待っていたんだよ!」と、デッキにいなかったことへの恨み節を吐きながら、アトリ選手が効果処理。<ブラジャック>はおらずとも、<超体感><ニホニンギョ>などがいれば、グズ子の連続攻撃は十分だ。「んー、ちょっとすみません考えます。」と呟きながら、アトリ選手が選んだのは<ウズラグ>だ。
    残るサーバントとルリグの攻撃も通り、アトリ選手のライフは3まで減少。ダメージレースだけを見れば、きなこ選手が追いつき始めたといったところか。

    ただ、アトリ選手の優勢は変わらない。
    返しのターン。盤面の<オキクドール>を<悲願の駄姫>のコストに充て、<テンドウ>を除去。<マージャン>を<ニホニンギョ>の前に、<ウズラグ>を空きシグニゾーンの場に立て、アタックフェイズに。アーツ使用ステップで<超体感>を蘇生した。
    悲願の駄姫>のコインベットはなし。シグニを揃えるだけで、あっさりと王手だ。
    アトリ選手が狙っているのは、<マージャン><ウズラグ>の素材に<超体感>を使っての連続攻撃だ。アタックフェイズの間、<超体感>がトラッシュに送られるかバニッシュされると、シグニ1体がアップするかダウンする。<ウズラグ>の正面は空きで、<マージャン>はアタック時に、正面の<ニホニンギョ>をトラッシュに送れる。どちらかが通れば、アップして2点。ゲームセットだ。

    「えー、ここで吐かなきゃダメかー」と、きなこ選手が苦悶の声を漏らす。
    ウズラグ>の正面に<ジルコニウム>を蘇生し、クラフトした<落華流粋>で<マージャン>をバニッシュ。脅威は去った。ただ、防御に使えるアーツも消えた。アトリ選手はターンエンドだ。

    (ライフ)きなこ選手1点/アトリ選手3点

    Turn6
    きなこ選手のターン。残り1枚のルリグデッキに手をかけ、満を持して<赤Lv5>へグロウ。コインが5枚に回復し、再び<アイフレ>を撃てるようになった。
    ノベアン>で場を空け、<ニホニンギョ><ラアー><タネガスペ>でアタックフェイズへ。<超体感>を<サーバントZERO>にして除去しながら、3面を空けての要求だ。
    アトリ選手はきなこ選手のトラッシュを厳密にチェックした後、「どうぞ」と再び通した。
    序盤にライフを割られなかったからこそ、後半にライフで受けるターンが生まれている。<燐廻>を警戒したきなこ選手の立ち回りが、アトリ選手に猶予を与えている展開だ。
    タネガスペ>のアタックで割れたのは<シャテキ>だ。「よしよしよしえらいぞお前!!」と満面の笑みで、アトリ選手が選んだのは別の<シャテキ>。<ラアー>、<ニホニンギョ>のアタックでも、それぞれ1ドローのライフバーストが発動。ルリグアタックを前に、残るデッキの枚数は2枚となった。

    「完璧じゃないかあれ......!」
    賞賛と諦めが混ざった声で、きなこ選手はルリグアタック。当然のようにサーバントでガードされ、ターンが返った。

    「よっし、ドロー。リフレッシュ入りま......、ってここでめっちゃ来たなおい」
    残る2枚のデッキを引いてリフレッシュ。最序盤の<ペイン・バイ・ペイン>で溜まっていたサーバントたちが、ここで舞い込んで来た。
    「......結構ヤバくね?」と焦るアトリ選手。鮮やかなリフレッシュを決めた先ほどとは裏腹に、表情が硬くなっている。残されたターンは少ない。できればここで勝負をつけたい思いがあるが、デッキがどうも応えてくれないようだ。ルリグデッキ、お互いのトラッシュ、自分の手札。じっくりと眺めて。

    「<スピリット・サルベージ>。<フーリッシュ・マイアズマ>を回収します」
    「サーバント2体を立てて、<フーリッシュ>を使います。出るたびマイナス7000、2ドロー、手札以下バニッシュのモードで」

    唯一の防御、<フーリッシュ・マイアズマ>をここで使った。
    04.jpg
    「えー、そんな使い方できるのか......」
    きなこ選手の声をかき消しながら、<ラアー>をバニッシュ。手札を2枚増やすが......。

    「あれ、引けんなあ......。困った。困ったねえ」
    空いた盤面に<ハッカドール1号><キノ>を流し込み、更に手札を増やすも「引けんなあ......、何でだ?」とぼやくばかり。ここに来てもお目当てのカードが手札に来ない。場の<キノ>に<ペイン・バイ・ペイン>を当てて、さらにデッキを掘り進める。

    「んー、どこ行ってたんだお前は?なあ?」
    散々アトリ選手を振り回し、困らせたカードが、勝利を招きにようやく登場。呆れながら、しかし安心したように、アトリ選手は<ニホニンギョ>を選んだ。
    ニホニンギョ><ニホニンギョ><超体感>を並べ、最後のアーツに手をかける。

    「<燐廻転生>。アタックフェイズ。コインベットで!」
    ブラジャック>が消えてもこの攻撃力。通れば勝ち、通らなければ負けだ。
    「ごめん負けた!」と、ここでアトリ選手のチームメイト、master選手の悲鳴が飛んだ。残るチームメイト、らいだぁ選手は既に勝利を収めている。1勝1敗。この1戦の結果が全てを左右することになった。
    最後のアタックフェイズ。たった1枚のライフクロスを割るために、全力の攻撃を仕掛けにかかった。

    きなこ選手が最後の防御に動いた。<ニホニンギョ>1枚を<サーバントZERO>にし、<赤Lv5>のコイン効果で<アイフレ>を再利用。ルリグをダウンさせ、<サーバントZERO>と<ニホニンギョ>をバニッシュ。できることはここまでだった。
    当然、グズ子はこれでは止まらない。<悲願の駄姫>のコイン効果で、<ニホニンギョ>のバニッシュと同時に<オキクドール>が手札から登場。きなこ選手の<ニホニンギョ>のパワーを4000にし、<オキクドール>がアタック。自らの効果で場を離れ、 「今度こそデッキに、<ニホニンギョ>いるよな!」
    言葉通り、デッキから3枚目の<ニホニンギョ>が登場。<オキクドール>が場を離れたことで、<悲願の駄姫>の効果で<ワラニン>も続いた。連続攻撃は止まらない。
    残る負け筋はたった一つ。3ターン目の場面で、3枚のライフのきなこ選手が攻撃を通した場面が脳裏に浮かぶのか、アトリ選手が一瞬手を止めた。それでも、<ワラニン>が最後のライフを割りに行く。表になったカードは......。

    羅植姫 スノロップ
    トオン>ではなかった。
    超体感>のアタックが通り、ゲームセット。

    「よおおおっし!!!」と駆けつけたmaster選手が喜びを爆発させ、「勝った?勝ったんだな!!」とらいだぁ選手が肩を叩く。
    「優勝した?優勝したぞ!!」。アトリ選手は2人と熱い抱擁を交わし、シラクラ杯の幕が閉じた。


    観戦記
    きなこ選手が取ったノーパンプランは、ワンショットを決めるデッキには有効な戦法だ。<リンゼ>や<アンチ・アビリティ>など、妨害札やコストの軽いアーツで相手のショットをいなしてから、こちらがレベル4や5にグロウし、どっしり戦う。バカラオーラタマや3止めユヅキなど、特に速いデッキに対して一定の効果があるとされており、トーナメントシーンでは必須の立ち回りだ。
    「燐廻グズ子」に対してはどうだろうか。試合後、アトリ選手もきなこ選手も、口を揃えて「(ノーパンは)違った」と答えている。その理由は2つある。
    1つは、ライフクロスを割られないことで、グズ子側に余裕が生まれることだ。カバレージを見ても分かる通りだが、アトリ選手はきなこ選手のアタックを2ターン、ライフクロスで受けている。グズ子側のアーツのうち、<ビカム・ユー><燐廻転生>の2枚は、防御の役割を持っていない。その2枚分の防御をライフクロスで行ったと、単純に考えれば言える。ある程度ライフを割ってプレッシャーをかけつつ、<リンゼ>を絡めて、<燐廻>などを阻止したかったところだ。
    もう1つは、グズ子側のコストパフォーマンスの低さだ。ノーパンでエナを絞ったとしても、<応援の駄姫>へのグロウコストが0ということや、<ペイン・バイ・ペイン>や<シャテキ>の存在から、グズ子側がエナを伸ばすことは容易だ。潤沢にエナを溜められずとも、<燐廻>+「ダイレクト」につながってしまうし、<悲願の駄姫>へのグロウも許してしまう。ここが「燐廻グズ子」のデッキパワーの高さで、対策はなかなか難しい。
    アトリ選手がきなこ選手のライフクロスを1枚に保ち続けていたことに注目したい。ライフが0枚になれば、<テンドウ>で<トオン>を埋めることができるようになり、カーニバル側に1ターンの猶予が生まれる。アトリ選手はそれを知った上で、あえて1枚残し続けていたのだろう。
    「相手のデッキタイプに対する立ち回りを覚えておく」のは、ウィクロスでより高いレベルを目指すために、まずクリアしたいポイントだ。相手のデッキに対して、自分のデッキをどう動かすのが最善か。知れば知るほど、ウィクロスがどんどん強くなれる。
    もちろん、いきなり全てのデッキタイプを覚えるのは不可能だ。自分の周囲で流行っているデッキや、大型大会で入賞しているデッキを調べて、知識を増やしていこう。今回のようなカバレージを読むのでも良い。できることから少しずつで十分だ。自分にあったやり方を見つけ出して、ウィクロスの腕を少しでも磨いていこう。

    デッキ紹介
    燐廻グズ子(アトリ選手)
    deckatori.jpg
    カーニバル(きなこ選手)
    ・deckkinako.jpg
    あとがき
    いかがでしたでしょうか。ねへほもんさんとは違った書き方を目指してみました。拙い部分もあるかと思いますが、決勝戦の雰囲気を少しでもお伝えできていれば幸いです。
    「観戦記」はスポーツ雑誌や新聞などに掲載するイメージで書いてみました。お堅い文体になりましたが、これはこれであり......、でしょうか?

    ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
    カバレージ執筆をご承諾いただいた両選手にも、改めて御礼申し上げます。ハイレベルなプレイングを間近で見ることができ、大変勉強になりました。

    シラクラ杯は今後も開催される予定です。
    私も引き続き運営としてお手伝いするつもりですので、読者の皆様もぜひ、次回は参加してみてはいかがでしょうか。お待ちしております。

    それでは、また次回の更新でお会いしましょう。ではまた〜!

ウィクロスパーティーに出よう!ver2024

by からばこ

READ MORE

ざっくり分かるデッキの組み方講座〜ディーセレ編

by からばこ

READ MORE

「理解すればディーセレが確実に強くなる!!」ダメージレース基礎講座(前編)

by しみずき

READ MORE

人気のあのカードについて教えて!シリーズまとめ

by -遊々亭- ウィクロス担当

READ MORE

【ディーヴァ】ゲームが上手くなるために!プレイング、立ち回り記事まとめ

by -遊々亭- ウィクロス担当

READ MORE