ねへほもんさんが掲載し続けている「シラクラ杯カバレージ」ですが、決勝戦のオールスターは私が担当させていただきました。
というわけで今回は、個人主催の大会「シラクラ杯」のカバレージをお届けします。遅くなって申し訳ないです......。
シラクラ杯については、こちらをご確認ください。16年世界3位のシラクラさんが主催する大会で、第2回から開催のお手伝いをさせていただいております。
私の個人ブログに、大会の様子などを書いた記事がございますので、お時間ある方はこちらからどうぞ。リンクばかりですね。
前置きが長いのもアレなので、早速本編に行きましょう。
お付き合いください。
決勝戦 きなこ選手(カーニバル) VS アトリ選手(グズ子)
決勝戦まで勝ち上がったきなこ選手だが、試合前の言葉からはどこか自信のなさが滲む。2017年の世界大会で優勝するなど、多くの大会で栄冠を掴んだ身ではあるが、彼の言葉からはいつも「自信」がない。今回も例に漏れず、だ。
使用デッキはカーニバル。世界の頂点に立った際に使っていたルリグだ。型は現在主流の「ダブルLv5」。<黒Lv5>の<サーバントZERO>化や2枚のキー、<赤Lv5>のアーツ再利用など、幾重にも張り巡らされた防御が強みのデッキ。使い慣れたデッキで、ここまで戦い抜いてきた。
「最低限の仕事はしたいですね。自信はないけど......」
言葉の語尾が霞む中、対戦相手を待っていた。
「え?ばこさんに見られんの?俺見られるとダメなんだってえ......」
きなこ選手に対するのはアトリ選手だ。彼の言葉もまた、弱気だった。
そんな弱気とは裏腹に、アトリ選手も輝かしい実績を持つプレイヤーだ。17年の世界大会では3位に入賞し、数々の大型大会を制している。遊々亭ブロガーとしても筆を取っており、紛れもない「強豪」だ。
カードゲームにおいて、彼の弱気な姿を見たことはほとんどない。「多分俺負けたわ......」と弱音を並べてはいるが、対戦が始まればきっと、いつものように自信十分にプレーする姿が見られるだろう。使用デッキはグズ子。<応援グズ子>と<燐廻転生>のワンターンキルや、<ブラジャック>など黒の遊具を絡めたロングショットなど、トップクラスの攻撃力を誇るデッキだ。
「(自信は)ない!」 きっぱり言い切って、決勝戦の舞台へと進んだ。
Turn1
先攻はきなこ選手。<タネガスペ>を3枚揃える理想のスタートだ。うち1枚をチャージし、グロウ。手札の<ニホニンギョ>を切ってコインを得て、2枚の<タネガスペ>を場に出した。デッキトップから見えた<ノベアン>、サーバントを手札に加え、ターンエンド。上々の立ち上がりだ。
試合前のマリガンは4枚。その後「頼んだぞ!」と別卓の仲間に叫んだことなどから、手札の調子が悪いことは誰が見ても明らか。手札のレベル1は<キノ>のみだ。
やや考えたのち、<ブラジャック>をエナチャージして<秘密の駄姫>にグロウ。手札を入れ替えると、「お!」と表情が晴れた。下級シグニが揃った。
1枚の<キノ>に<ペイン・バイ・ペイン>を発動。デッキトップの5枚を公開し、遊具シグニを1体手札に加えるか場に出すのだが、めくれた5枚は、ここでは役割がないカードばかり。
「えっ、震えた......」。思わず声が漏れるアトリ選手。やや悩み、<ウルシルマ>を手札へ加えた。そのままルリグデッキに手をかけ、1枚のアーツを発動する。
「<ビカム・ユー>でグロウします」
グズ子はレベル2へとグロウ。<ハッカドール1号>から<ウルシルマ>を場に出し、残りは埋めずにアタックフェイズへと移行した。シグニで<テンドウ>が、ルリグで<カプスワン>がライフから捲られ、大きな動きなくターンエンド。
(ライフ)きなこ選手5点/アトリ選手7点
Turn2
<ビカム・ユー>で後攻を強いられたきなこ選手。最速の燐廻ダイレクトを防ぐには、採用しているルリグ止めアーツ<アイスフレイム・シュート>に必要なエナを溜めながら、立て直していかなければならない。
幸い、手札は上々。場の<タネガスペ>をチャージし、レベル2へグロウ。<カプスワン>を場に出し、そのまま起動効果で<コニプラ>をサーチ。その<コニプラ>の効果で、デッキトップの<トオン>をエナへ置いた。
アタックフェイズに入り、きなこ選手は何もせず、「終了です」と告げ、ターンを渡した。
きなこ選手の手札には<リンゼ>も見える。<燐廻>に対する立ち回りとしては問題ないように見えたが。
アトリ選手が小さく頷いた。
そのままターンが移る。 手札から<ブラジャック>をチャージし、グロウ。<キノ>で<ハッカドール1号>をトラッシュに送り、1ドロー。場は<ウルシルマ><キノ>のみでアタックフェイズへ移った。 <ウルシルマ>のアタックで<キノ>をトラッシュに送りながら1点、ルリグアタックも通って1点。ライフからは特に大きなカードは見えず、きなこ選手のライフは3枚へと減った。 これで燐廻ダイレクトが更に大きな脅威となる。早くも決着の気配が漂い始めた。
Turn3
きなこ選手はサーバントをチャージし、<TN>へグロウ。デッキトップの<ダイホウイカ>を加え、2枚のコインで<カーニバル -K->をアンロック。レベル4のサーバントと<Zr>をサーチし、温存しておいた<リンゼ>を場に出した。
ここでも<リンゼ>のみでアタック。アトリ選手の<燐廻転生>を封じ、ターンを渡した。
返しのアトリ選手。「んー、ちょっと考えます」と伝え、公開領域を念入りにチェックし始めた。
<燐廻転生>が封じられたとはいえ、3枚のライフを奪い去るのはグズ子にとって容易いことだ。既存のシグニと「ダイレクト」で勝負を決めにいく算段をしているのだろう。手札には<ハッカドール1号>+<シャテキ>のセットに加え、赤エナの<ハッカドール2号>も見える。十分の火力が期待できる状況だ。加えて、きなこ選手のエナゾーンには青が2枚未満。採用率が高い<アイスフレイム・シュート>を、今は使えない状況だ。
見るに、絶好のチャンス。長考の末、手札の<超体感>をエナチャージし、<応援の駄姫>へグロウ。出現時の効果は当たらない。
<ハッカドール1号>から<シャテキ>を出して1ドロー、2エナチャージ。手札の<ニホニンギョ>を場に出し、3体まとめてリムーブ。トラッシュに<ニホニンギョ>が落ち、準備はバッチリ。アトリ選手は手札から<オキクドール><ニホニンギョ><ウズラグ>を場に呼び、アタックフェイズへの移行を告げた。
パワー2000の<タネガスペ>の正面に<ニホニンギョ>がお目見えし、<オキクドール>は<リンゼ>のパワーを4000に下げながらその正面へ。
デッキに眠るであろう<ニホニンギョ>のお膳立てはバッチリだ。<ウズラグ>は<コニプラ>を狙っている。各所のハッカドールたちを絡めれば、綺麗に勝利、といったところだ。「アーツ使ってよ」と言わんばかりの盤面と視線で、きなこ選手に訴える。
きなこ選手は、その訴えをあっさり突っぱねた。
確かにきなこ選手は<カプスワン>などでデッキを把握している。残る3枚のライフクロスの中に有効なライフバーストがあるのを知っているのか、それとも単に諦めただけなのか。 やや困惑気味のアトリ選手。息を整え、遊具のシグニへの攻撃を命じる。
まずは<オキクドール>だ。アタック時にエナの<超体感>を支払いながら、自身をトラッシュに送って<ニホニンギョ>を......。
7枚のライフクロスの中に3枚目以降の<ニホニンギョ>が眠っているようだ。このターンでの決着が思わぬ形で消えたアトリ選手は、場の<ニホニンギョ>のアタックで、パワーが4000になった<リンゼ>を溶かしながら<ニホニンギョ>をバニッシュ。トラッシュの遊具シグニを広げ、「ダメか......?」と苦い声で呟いた。
トラッシュの<ニホニンギョ>を呼び、<シャテキ>を回収。その<ニホニンギョ>が<タネガスペ>を溶かし、トラッシュから<ハッカドール1号>を釣り上げた。先ほどの<シャテキ>が手札から場に飛び出し、1ドロー2エナチャージ。きなこ選手の場をこじ開けながら、更にリソースを伸ばした。
そのまま<シャテキ>で1点。アトリ選手はきなこ選手のデッキの残り枚数を確認し、<ウズラグ>で<シャテキ>をトラッシュに送りながら、更に1点。きなこ選手のライフを1枚にまで追い込み、ターンを渡した。
勝敗を決するライフバーストは見当たらない。
眠る1枚がそうなのか、単なるハッタリだったのか。勝負は続く。
(ライフ)きなこ選手1点/アトリ選手7点
Turn4
カーニバルが<黒Lv4>へグロウ。場の<ハッカドール1号>をバニッシュしながらトラッシュを肥やす。タイミングよく<メイジ>が落ち、カーニバルの防御力が増した。きなこ選手がここから攻勢に移る。残る<レイラ=クレジット>をアンロックし、<ノベアン>で<ウズラグ>をバニッシュ。<ダイホウイカ>とパワーが20000になった<スノロップ>でアタックフェイズへ。反撃の狼煙を上げた。
涼しい顔のアトリ選手。ライフには余裕があるが、<フーリッシュ・マイアズマ>で迎え撃った。
グズ子故に選べる3モード。「手札以下バニッシュ」で<スノロップ>を除去し、「場に出るたびー7000」と「レベル3以下蘇生」で<オキクドール>を呼び出した。パワーが4000になった<ダイホウイカ>が、更に−7000されてバニッシュされる。<ノベアン>の前に<オキクドール>が立ちはだかり、あっさりと3面を止めてしまった。
<黒Lv4>のアタックを受け、アトリ選手のライフは6に。まだまだグズ子側が余裕だ。
更に遊具たちが牙を剥く。手札の<ペイン・バイ・ペイン>で<ウルシルマ>をバニッシュしながら、5枚のデッキトップから<ワラニン>を回収。空いたシグニゾーンに手札から2枚目の<ブラジャック>が現れた。トラッシュから<オキクドール>を釣り上げて。
「アタック入って、コインベットで!」
盤面が空のきなこ選手はまさに絶体絶命。1体でも遊具シグニを残してしまえば、ぐるんぐるんと入り乱れ、再び<ブラジャック>が絡む盤面が作られかねない。更にコインがベットされており、この3体を「場を離さずに」除去しなければならない。
手段は限られている。手段はあるが、ここで使いたくはない。でも使わなければ負けてしまう。
「<カニキー>をトラッシュに送って、全員<サーバントZERO>にします」
<カニキー>を破棄。場の遊具たちを<サーバントZERO>にし、取り急ぎ<悲願の駄姫>の脅威からは逃れた。しかし盤面は空、ライフは1。<サーバントZERO>たちに殴られて試合が終わってしまう。アーツを使わざるを得ない状況には変わりなかった。
続けて<アイスフレイム・シュート>を使用。溜まりに溜まったエナで7コストを支払い、<サーバントZERO>になった<ブラジャック>2体を除去しつつ、ルリグをダウン凍結。<燐廻転生>の脅威から逃れることに成功した。残る<サーバントZERO>(<オキクドール>)のアタックは、正面にトラッシュから<メイジ>を蘇生することでキッチリガード。使った手数は多いものの、グズ子の猛攻をしのぎ切った。
裏を返せば、カーニバルの防御のほとんどを吐かせたといえる。防御の要である<カニキー>は消え、<アイフレ>も使わせた。堅牢なカーニバルの防御をこうも簡単に突き崩していくとは。グズ子の破壊力は、やはり恐ろしい。アトリ選手はそのままターンエンド。
Turn5
きなこ選手は<黒Lv5>へグロウ。<サーバントZERO>とするシグニは、問答無用で<ブラジャック>だ。制圧、リソース回復、連続攻撃。グズ子デッキの全てを担う<ブラジャック>が消えたことで、アトリ選手の攻撃力は大きく落ちた。「ジョーカー」で<落華流粋>をルリグデッキに加え、再びの反撃。盤面を<テンドウ><ニホニンギョ><サーバントQ>にしてアタックフェイズ。アトリ選手はすんなりこれを通した。
残るサーバントとルリグの攻撃も通り、アトリ選手のライフは3まで減少。ダメージレースだけを見れば、きなこ選手が追いつき始めたといったところか。
ただ、アトリ選手の優勢は変わらない。
返しのターン。盤面の<オキクドール>を<悲願の駄姫>のコストに充て、<テンドウ>を除去。<マージャン>を<ニホニンギョ>の前に、<ウズラグ>を空きシグニゾーンの場に立て、アタックフェイズに。アーツ使用ステップで<超体感>を蘇生した。
<悲願の駄姫>のコインベットはなし。シグニを揃えるだけで、あっさりと王手だ。
「えー、ここで吐かなきゃダメかー」と、きなこ選手が苦悶の声を漏らす。
<ウズラグ>の正面に<ジルコニウム>を蘇生し、クラフトした<落華流粋>で<マージャン>をバニッシュ。脅威は去った。ただ、防御に使えるアーツも消えた。アトリ選手はターンエンドだ。
(ライフ)きなこ選手1点/アトリ選手3点
Turn6
きなこ選手のターン。残り1枚のルリグデッキに手をかけ、満を持して<赤Lv5>へグロウ。コインが5枚に回復し、再び<アイフレ>を撃てるようになった。<ノベアン>で場を空け、<ニホニンギョ><ラアー><タネガスペ>でアタックフェイズへ。<超体感>を<サーバントZERO>にして除去しながら、3面を空けての要求だ。
序盤にライフを割られなかったからこそ、後半にライフで受けるターンが生まれている。<燐廻>を警戒したきなこ選手の立ち回りが、アトリ選手に猶予を与えている展開だ。
<タネガスペ>のアタックで割れたのは<シャテキ>だ。「よしよしよしえらいぞお前!!」と満面の笑みで、アトリ選手が選んだのは別の<シャテキ>。<ラアー>、<ニホニンギョ>のアタックでも、それぞれ1ドローのライフバーストが発動。ルリグアタックを前に、残るデッキの枚数は2枚となった。
「完璧じゃないかあれ......!」
賞賛と諦めが混ざった声で、きなこ選手はルリグアタック。当然のようにサーバントでガードされ、ターンが返った。
「よっし、ドロー。リフレッシュ入りま......、ってここでめっちゃ来たなおい」
残る2枚のデッキを引いてリフレッシュ。最序盤の<ペイン・バイ・ペイン>で溜まっていたサーバントたちが、ここで舞い込んで来た。
「......結構ヤバくね?」と焦るアトリ選手。鮮やかなリフレッシュを決めた先ほどとは裏腹に、表情が硬くなっている。残されたターンは少ない。できればここで勝負をつけたい思いがあるが、デッキがどうも応えてくれないようだ。ルリグデッキ、お互いのトラッシュ、自分の手札。じっくりと眺めて。
「<スピリット・サルベージ>。<フーリッシュ・マイアズマ>を回収します」
「サーバント2体を立てて、<フーリッシュ>を使います。出るたびマイナス7000、2ドロー、手札以下バニッシュのモードで」
唯一の防御、<フーリッシュ・マイアズマ>をここで使った。
きなこ選手の声をかき消しながら、<ラアー>をバニッシュ。手札を2枚増やすが......。
「あれ、引けんなあ......。困った。困ったねえ」
空いた盤面に<ハッカドール1号><キノ>を流し込み、更に手札を増やすも「引けんなあ......、何でだ?」とぼやくばかり。ここに来てもお目当てのカードが手札に来ない。場の<キノ>に<ペイン・バイ・ペイン>を当てて、さらにデッキを掘り進める。
「んー、どこ行ってたんだお前は?なあ?」
散々アトリ選手を振り回し、困らせたカードが、勝利を招きにようやく登場。呆れながら、しかし安心したように、アトリ選手は<ニホニンギョ>を選んだ。
<ニホニンギョ><ニホニンギョ><超体感>を並べ、最後のアーツに手をかける。
「<燐廻転生>。アタックフェイズ。コインベットで!」
「ごめん負けた!」と、ここでアトリ選手のチームメイト、master選手の悲鳴が飛んだ。残るチームメイト、らいだぁ選手は既に勝利を収めている。1勝1敗。この1戦の結果が全てを左右することになった。
最後のアタックフェイズ。たった1枚のライフクロスを割るために、全力の攻撃を仕掛けにかかった。
きなこ選手が最後の防御に動いた。<ニホニンギョ>1枚を<サーバントZERO>にし、<赤Lv5>のコイン効果で<アイフレ>を再利用。ルリグをダウンさせ、<サーバントZERO>と<ニホニンギョ>をバニッシュ。できることはここまでだった。
当然、グズ子はこれでは止まらない。<悲願の駄姫>のコイン効果で、<ニホニンギョ>のバニッシュと同時に<オキクドール>が手札から登場。きなこ選手の<ニホニンギョ>のパワーを4000にし、<オキクドール>がアタック。自らの効果で場を離れ、 「今度こそデッキに、<ニホニンギョ>いるよな!」
残る負け筋はたった一つ。3ターン目の場面で、3枚のライフのきなこ選手が攻撃を通した場面が脳裏に浮かぶのか、アトリ選手が一瞬手を止めた。それでも、<ワラニン>が最後のライフを割りに行く。表になったカードは......。
<羅植姫 スノロップ>
<超体感>のアタックが通り、ゲームセット。
「よおおおっし!!!」と駆けつけたmaster選手が喜びを爆発させ、「勝った?勝ったんだな!!」とらいだぁ選手が肩を叩く。
「優勝した?優勝したぞ!!」。アトリ選手は2人と熱い抱擁を交わし、シラクラ杯の幕が閉じた。
観戦記
きなこ選手が取ったノーパンプランは、ワンショットを決めるデッキには有効な戦法だ。<リンゼ>や<アンチ・アビリティ>など、妨害札やコストの軽いアーツで相手のショットをいなしてから、こちらがレベル4や5にグロウし、どっしり戦う。バカラオーラタマや3止めユヅキなど、特に速いデッキに対して一定の効果があるとされており、トーナメントシーンでは必須の立ち回りだ。1つは、ライフクロスを割られないことで、グズ子側に余裕が生まれることだ。カバレージを見ても分かる通りだが、アトリ選手はきなこ選手のアタックを2ターン、ライフクロスで受けている。グズ子側のアーツのうち、<ビカム・ユー><燐廻転生>の2枚は、防御の役割を持っていない。その2枚分の防御をライフクロスで行ったと、単純に考えれば言える。ある程度ライフを割ってプレッシャーをかけつつ、<リンゼ>を絡めて、<燐廻>などを阻止したかったところだ。
もう1つは、グズ子側のコストパフォーマンスの低さだ。ノーパンでエナを絞ったとしても、<応援の駄姫>へのグロウコストが0ということや、<ペイン・バイ・ペイン>や<シャテキ>の存在から、グズ子側がエナを伸ばすことは容易だ。潤沢にエナを溜められずとも、<燐廻>+「ダイレクト」につながってしまうし、<悲願の駄姫>へのグロウも許してしまう。ここが「燐廻グズ子」のデッキパワーの高さで、対策はなかなか難しい。
「相手のデッキタイプに対する立ち回りを覚えておく」のは、ウィクロスでより高いレベルを目指すために、まずクリアしたいポイントだ。相手のデッキに対して、自分のデッキをどう動かすのが最善か。知れば知るほど、ウィクロスがどんどん強くなれる。
もちろん、いきなり全てのデッキタイプを覚えるのは不可能だ。自分の周囲で流行っているデッキや、大型大会で入賞しているデッキを調べて、知識を増やしていこう。今回のようなカバレージを読むのでも良い。できることから少しずつで十分だ。自分にあったやり方を見つけ出して、ウィクロスの腕を少しでも磨いていこう。
デッキ紹介
燐廻グズ子(アトリ選手)
カーニバル(きなこ選手)
あとがき
いかがでしたでしょうか。ねへほもんさんとは違った書き方を目指してみました。拙い部分もあるかと思いますが、決勝戦の雰囲気を少しでもお伝えできていれば幸いです。「観戦記」はスポーツ雑誌や新聞などに掲載するイメージで書いてみました。お堅い文体になりましたが、これはこれであり......、でしょうか?
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
カバレージ執筆をご承諾いただいた両選手にも、改めて御礼申し上げます。ハイレベルなプレイングを間近で見ることができ、大変勉強になりました。
シラクラ杯は今後も開催される予定です。
私も引き続き運営としてお手伝いするつもりですので、読者の皆様もぜひ、次回は参加してみてはいかがでしょうか。お待ちしております。
それでは、また次回の更新でお会いしましょう。ではまた〜!