しかしながら、比較しやすい物も存在します。そのひとつがクライマックスです。キャラやイベントの変化に比べ、クライマックスの変化はあまり大きくないんですよね。今回はこのクライマックスに注目してみたいと思います。
傾向の移り変わり
知らない方は少ないと願いたい?のですが、8扉が最強の時代がありました。基本的に8扉からスタート、このタイトルは8扉が出来る(扉が2種類存在する)から強い、というような指標もあったくらいです。ちなみに本当はその前にもドラドラ1001時代とか風環境みたいな時代もあったにはあったのですが、ここでは割愛します。2012年の全国決勝を勝ったABは8扉で、8扉最強時代最後の記録だと思います。ちなみに2位以下の扉採用枚数は2位が6枚、3位が5枚、4位が4枚で、いずれも4枚以上採用したデッキが入賞しています。
2014年は環境タイトルが8扉出来なかったり、同じプールに強力な扉メタカードが存在するため採用し辛かったりという事情があり、扉の採用率は現在と同じくらいまで下がります。
宝採用デッキの増加傾向
簡単にではありますが、これまでのネオスタンダード環境を振り返ってみました。これまで僕は、特に全国決勝の結果に注目して推移を見て来ました。するとある傾向が見えてきます。結果に着目するとここ3年(2015~2017)、宝を採用したデッキが連続で勝ってるんですよね。もちろん流行りのデッキばかりが勝ってるわけではないのであまり強い傾向とは言えませんが、ひとつの傾向として注目すると確かにここ3年は宝が増えてきた3年だったなと。先に挙げなかったものだと、艦隊の赤城やToLOVEる、ラブライブやおそ松さんなどが宝採用で活躍したデッキとして挙げられます。
扉か、宝か。
ではなぜ宝が増えてきたのでしょう?8扉が衰退し、宝を含んだ複合型が増えた理由は?そもそも宝と扉、どっちが強いの?もちろん一概に言える話ではありませんが、僕は基本的に宝の方が強いと考えています。宝というのは<涼宮ハルヒの憂鬱>から登場した特殊トリガーで、それまでのWSには存在しないものでした。新しい特殊トリガーが刷られるということで期待して公開を待っていましたが、最初に確認した時の印象は「え?こんなん刷って良いの?」でした。こう思うくらいそれまでの常識を覆すトリガーでした。
それまでのトリガーとの違いは、トリガーとして捲ったクライマックスが、もう一度クライマックスとしての効力を発揮する、というところ。風袋扉本はどれもトリガーしたらストックにいってしまいます。ストックとして使う分にはクライマックスもその他のカードも価値は一緒ですから、ある意味トリガーした時点でクライマックスとしての価値を失うわけです。しかし宝は違いました。トリガーした時点で手札が増えるというクライマックスとしての価値があり、さらに手札に加わるので打ったり手札コストとして使うことでクライマックスとしての価値をもう一度発揮できるわけです。これは即ち1周のうちに9回以上クライマックスの恩恵を受けられる可能性を示唆しています。僕にはこれが衝撃的でした。
もちろんこれはあくまでトリガーにだけ特に着目した場合の話。実際にはそれでデッキ全体の動きが悪くなったらプラマイどころかさらにマイナスになる可能性もあるので充分吟味する必要があります。事実、クライマックスを手から切る手段に乏しかったハルヒの時代にはほとんど活躍しませんでした。
つまりポテンシャルでは扉よりも宝の方が優れていたのに、その他の事情により活躍出来なかったわけです。これはなぜか。どのようになったら宝が優先される時代が来るのか。僕は視野を広げることで自分の中で結論を出すに至ります。
実は8扉最強時代の前から既に、扉が弱いトリガーとして認識されていた場所がありました。カンの良い方ならもうお気づきかも知れませんね。そうです。それは当時のスタンダードです。
当時のスタンダードは<小川>集中全盛期。キャラクターを集めるのは非常に簡単で、イベントも<シエスタ>でそれなりに、1番集め辛いのがクライマックスでした。実はハルヒ発売以後、<トラハル>の台頭により扉というか<サムデイインザレイン>の採用率が非常に高くなるのですが、発売当時の扉採用率はかなり低かったんですよね。理由は簡単で、キャラが1番集めやすいからです。1ストックで4枚回収できる時代なのでストックが重視され、袋や山ブを見ることが多かったですね。あとは環境によって風やプラ2が採用されたり。そういう価値観が、スタンダードには存在しました。
話をネオスに戻します。僕はスタンダードのこのような事情と照らし合わせて、宝が今流行らない理由は周りのカードパワーの低さにある、と結論づけました。今は扉に頼らざるを得ないデッキが多いけど、じきにカードパワーが上がってきたら宝の方が優先される時代が来ると確信したわけです。
宝の台頭
話は現代に戻ってくるわけですが、もはや宝を存分に使える時代と言っても過言ではないでしょう。前述したようにここ3年の傾向が物語っています。もちろん宝を使わないデッキもそれほど厳しい立場に立たされている訳ではありません。しかし結果だけ見ると、1周に使えるクライマックスの総量が違うもんなって感じてしまうわけです。何百戦と戦いを続けると、この差はやはり大きいんですよね。僕がこの差を意識して構築に反映した(する余裕があった)のは、後にも先にもまどかでだけです。イベントよりもクライマックスの方が価値が高かったので、連動なしの宝を何枚か採用していました。
そして門の時代へ...?
ここまでこれまでの歴史を書いてきた訳ですが、僕が今回書きたかったのはここからです。じゃあ今年はどうなの?という話ですね。そもそも宝の話しかしてないけど、そういう観点なら...僕が今注目しているのは、高い門の採用率です。宝が強いって話でしたが、だったらドラがついてて拾うかどうかが任意である門は、宝の上位種とも言えるわけですね。上位種ってのは上位互換というのとはちょっと違います。どちらかと言うと長所も短所もより大きくなった、より尖っているという意味ですね。
この門というトリガーですが、初出は<プリズマイリヤ>。環境に入ってくるまでこちらもかなりの時間がかかりました。最初に活躍が目立ったのは、8扉が出来ないからという理由で扉の代わりという感覚で採用されたニセコイでしょうか。
時代は移り変わり、門採用のデッキもちらほらと見るようになりました。規制対象となった<うさぎ>や発売から現在までずっと現役の<Rewrite>が代表的ですが、今年は<バンドリ>を筆頭に門採用デッキのシェアが更に大きくなったと感じています。型にもよりますが、<ひなろじ>や<SAO>、<冴えカノ>などを含めると、多分これまでで1番高いシェアなのではないでしょうか。