前回は他のタイトルカップについて簡単に考察しました。
今回はいよいよ、ニセコイのタイトルカップの環境考察と、僕なりの答えを書いていこうと思います。
基本的にはペンダント選抜を中心とした環境です。
乙女心 万里花の1枚制限により、全盛期に比べて詰め能力が格段に減少し、より道中の有利不利が勝敗に反映されやすいタイトルカップになったのが、このタイトルカップを選んだ決め手です。
ペンダント選抜は、現在のネオスタンダードでも環境の一角を担っていることからわかるように、デッキパワーの非常に高いデッキです。
ペンダント選抜に対して極めて強いようにデザインされている≪お菓子≫軸以外のデッキは、デッキパワー的な問題でほぼ無視できると言えるでしょう。
ペンダント選抜と≪お菓子≫軸の2択ですが、僕はペンダント選抜を選びました。
ペンダント選抜はカードパワーが高く選択肢も多いので、前回の記事で書いた条件の【2】~【3】を満たしやすいと言えます。
【1】メタ読みに自信を持てる環境であること
【2】メタ読みしてその環境が、負けにくい環境であること
【3】結論として出来上がったそのデッキタイプのミラーが少ないと考えられること、もしくはミラーにも自信をもって挑めること。
≪お菓子≫軸も強いのですが、【3】の条件を満たさなくなるので回避しました。
ペンダント選抜を見たプールだけあり、ペンダント選抜に対してはめっぽう強いのですが、≪お菓子≫ミラーが解決しないのが最大の要因。
ミラー意識をしたタイトルカップ用のペンダント選抜を組み上げる事が出来れば、そちらの方が好ましいと思いました。
ミラー解決の手段を用意出来れば、≪お菓子≫軸でも全く問題なくタイトルカップを勝ち抜けると思います。
ペンダント選抜は大きくわけて2つ、緑小咲軸と青小咲軸が考えられますが、これは青一択でした。
緑小咲軸は爆発力が高いデッキで、青に比べると安定性に欠ける点が目立ちます。
ネオスタンダードならば緑小咲もいいと思いますが、タイトルカップはわざわざリスクを背負う必要はないと思い、青小咲軸を選びました。
次はニセコイに限らずどのタイトルカップでも重視すべき、1帯アタッカーの選定です。
緑を除いた各色の1帯は以下のよう。
緑はペンダントや他のレベル帯の色の兼ね合いから軸にするのは難しく、採用したいアタッカーも特にありませんでした。
【黄】週末のデート 千棘&お風呂上りの千棘
【青】はじめての訪問 小咲&ふたりの進展 小咲
恐らくこれらの中から選定することになるかと思います。
赤は手札良化に優れ、黄はパワーに優れ、青は面維持に優れるという特徴があります。
僕は赤と黄の2色で構成しました。
青小咲軸のデッキで、クロックアンコールやダイレクト枠など、クロックを加速させるギミックは相性が良くないと考えてのことです。
実際ペンダント選抜の9割以上が1帯赤黄だったので、恐らく一択なのでしょう。
ペンダントの選定ですが、赤と黄の2択です。
僕は黄ペンダントが好きなので3枚入れ、赤ペンダントは1枚にしましたが、0:4~4:0までどれもあると思います。
黄色によるほど序盤重視、赤によるほど長期戦重視と言ったところでしょうか。
ネオスタンダードと違って非常にゆっくりとした環境なので、赤ペンダントも充分強みを生かせると思います。
ここまで長々と書いてきましたが、実際にはこれくらいはほぼ共通認識。
他のプレイヤーも同じような考えをしていたと思います。
ここまでは環境考察即ち【1】。
ここから【2】や【3】を考えていきます。
まず【2】ですが、千棘ヒールの本数を多めにしました。
詰め手段が万里花1枚しかないこの環境において、千棘ヒールの存在は物凄く大きいです。
万里花は上手く使えれば強力なカードですが、例えば連パンしない万里花は、確実に1点回復するヒールよりも弱いと考えてます。
2ターン以上に渡って1点ダメージを与えられるならばヒールよりも強くなりますが、千棘ヒールのもう一つのテキストがそれを許しません。
もう500、何らかの手段で差をつければ、美夏で届かない数字になるため、タイトルカップでの千棘ヒールは非常に強いと思います。
もしかしたら、4枚目の小咲の枠は、4枚目の千棘ヒールの方がいいのかもしれません。
ではいよいよ【3】ですが、今回意識した点は2つあります。
一つ目はお風呂上りの千棘です。
千棘は、ペンダントに依存しない7000手札アンコールです。
去年の全盛期の時から変わらず、ニセコイミラーはこれが極めて強いと思います。
先ほど挙げた各色の1帯の中で一番パワーが高い上に、ハンドアンコールを持っています。
首かしに処理されますがこれは、毎ターン首かしを要求しつつ、ダイレクト枠を貰うカードと考えます。
また真価を発揮するのはL2以降という点でも、長く面を支える重要な1枚です。
お互い小咲を出すような展開でこそ、美夏を食らわないお風呂上がりを隣に維持し続けましょう。
風採用型以外にはとても強いので、是非配置したい1枚です。
もう一つの意識した点は、扉4風4というクライマックス配分です。
ニセコイのクライマックス配分は、発売当時から多々ありました。
どれも強みがあり、特にネオスタンダード形式ではプレイヤー次第になりがちですが、ことタイトルカップに関して言えば、「扉4風4一択」だと思ってます。
「扉4風4一択だと思ってなおかつ、扉4風4以外に対しては有利が取れる確信」があったからこそ、このタイトルカップを選んだと言っても過言ではありません。
風の強さについて簡単に説明すると、大きくわけて3つあります。
1つめは、そもそもパワーラインが同じになりやすいミラーにおいて、後列を戻せる風というトリガーが強いという点です。
これはニセコイカップに限らずどのタイトルカップでも言えることで、風を採用できるほど余裕のあるタイトルカップでは常に念頭に置いています。
2つめは、乙女心小咲及び飛龍小咲が強すぎるという、ニセコイカップならではの特徴です。
乙女心小咲の強さは誰もが認めるところで、手札の減らないソウル2という強さがあります。
踏んでも踏んでも出てくる上に、美夏を搭載しているので、これを突破するのは非常に困難です。
というか≪鍵≫のプールではほぼ無理です。
そこで逆転の発想が、風なわけです。
手札が尽きないのならば、もはや「踏むこと」と、「バウンスすること」に大きな違いはない、という考え方です。
また飛龍小咲も強敵となります。
なにしろニセコイのプールでこれを上から踏むことは非常に困難ですから、1度登場してしまったらほぼ面は取れなくなってしまうわけです。
しかし飛龍小咲は登場が少し面倒であり、再登場しても特にメリットはありません。
風で戻してあげると効果的でしょう。
これら2種の小咲に対する風の強さは、それぞれ正反対の物です。
面にいると強すぎるから風が有効な飛龍と、存在そのものが強すぎる故、手札に戻すだけでも効果的と言わざるを得ない乙女心。
これが2つめの理由です。
3つめは、ニセコイというタイトルが、「ストックがあればあるほど色々な事が出来るのに、ストックを増やしづらいタイトル」であるという点です。
ニセコイの勝ちパターンは、小咲で面を制圧し、純ストックをひたすら貯め続けるような展開です。
ダイレクト枠をなくし着実にアドバンテージを稼ぎながら万全の体制で万里花までつなげることが、ニセコイの基本的な動きと言えるでしょう。
しかし、相手が風を採用していると途端にストックが使いづらくなるのが、ニセコイというデッキです。
美夏の追加テキストや行き3コストアンコールなど、面を重視した動きがニセコイにはありますが、風1枚で計算が狂う場面が多すぎます。
せっかく助太刀で守った万里花が風で飛ばされてしまって元も子もない、という場面もあります。
そうでなくとも、3面踏まれないような面を作っても、一枚捲られただけで2点×2を作られるので、風は常に驚異です。
派手な詰めがないからこそ、拮抗状態の時に局面を変えるような、劣勢からワンチャンスを作れるようなトリガーが強いというのが、3つめの理由です。
まず一番多いであろうアドリブですが、これはネオスタンダード向きのクライマックスだと思います。
ストックがたまりにくいからこそのストックブーストですが、ミラーが非常に多いタイトルカップでは、アドリブを打って1ストックに対して風を捲られて2ストックという決定的な差があり、風より優先する理由がなかったです。
飛龍や万里花をアドリブ連動で除去出来るというのは他にない利点ですが、一番多いであろう青小咲に対しては、あまり有効でないのが気になりますね。
2001を採用している形は、ハンドや面重視だと思います。
着実にアドバンテージを稼ぎやすいのですが、ソウルが1しか上がらないのがネックです。
レベル2以降ではソウル2以上でアタックしたいので、そこでやはり気になります。
特に面を重視するあまり小咲に打つと、ソウルは3-1-1となってしまうので、打点効率が非常に悪いです。
そもそも青小咲のおかげでお互いにハンドは尽きないわけですから、もっと他の点を重視したいと思います。
余談ですが、会場で見かけたダイアリー対風の試合で、ダイアリー側の方がハンドが2倍以上あり潤沢なのに、3面空いてて3-0、ストック3枚という光景を見た時は、潤沢なハンドが勿体ないなぁと感じました。
炎はなかなか強いトリガーだと思います。
風とは違った意味での打点意識です。
万里花以外の詰め手段なので、そこで差をつけられます。
風は完全に面を制圧してしまうと効果がなくなってしまいますが、炎はなくならないところもいいですね。
しかし後列を戻せたり、ダイレクト枠を作れたりと、総合的に判断すると風の方が勝るというのが僕の見解です。
こんな感じで自信をもってタイトルカップに挑んだところ、幸運なことに勝てて、非常に良かったと思います。
一番苦戦したのは≪お菓子≫軸との対戦。
後攻で相手の桜並木が割れず、打点手札ストック盤面全てにおいて劣勢でした。
後攻で打点レースをリードされ、ペンダント比例パンプを置かれた時点で、こちらの取れる手段は万里花に限られていたので、1周目からそのプランに照準を合わせて動きました。
早々に3レベに上がり、2枚目のペンダントから万里花配置。
そこから先上がりを活かしてダイレクト枠がないように綺麗に面を取り、小咲でなくヒールに重きを置くことで、L3を長くやる事を心がけました。
先上がり万里花配置からの3レベ耐久は、3レベのターン数だけ1点が飛ぶので、万里花を最も活かした戦い方です。
相手が3に上がるまでにこちらも体制を立て直すことか出来たので、クロック送りの小春も、しっかりとカウンターで返すことが出来ました。
もちろん3レベ耐久はキャンセル依存なので、相手のソウルが常に1-1-1だったとはいえ、≪お菓子≫軸に対して理想的な?勝ち方が出来たので、とても嬉しかったのを覚えています。
長くなりましたが、今回は以上になります。
タイトルカップは敷居が低いのに比べて、すごく面白いレギュレーションなので、みなさんも挑戦してみてはどうでしょうか?