1.再出発
※前回の記事はこちらから「2止め遊月以来の完全新作」
諦めていた。
「メインフェイズにライフを4点叩き割り、そのまま<銃>を撃ち込む」
このインパクトに勝るデッキなんて、2度と巡り合えない。
同時アーツ制限&リムーブ制限を克服し、2遊月を復活させた。
それで十分じゃないか。
そう思う一方で、寂しさも感じていた。
この心の隙間を埋められるのは、完全新作しか無いのだろう・・・
そんな中、<スイカアイス>と<MOUNTAIN ICE>が舞い降りてきた。
インパクトは十分だ。
だが、<スイカアイス>を除去されても負け、<カニキー>を破棄されるだけで負け・・・
あまりにも、負け筋が多すぎる。
2遊月に並ぶ完全新作と呼ぶには、インパクトは勿論、一定の勝率を確保する必要がある。
今のままでは勝てないが、裁定の壁は厚すぎた。
また、筆者に噂が流れてくる位だ、<スイカアイス>&<MOUNTAIN ICE>の組み合わせを知る人は多い。
より強く、より目新しく・・・
残された選択肢はただ1つ。
「別ルリグで、2ターン目の無限ルリパンを実現する」
<スイカアイス>に無限にアクセを付けるなんて画期的な方法ではない。
デッキとトラッシュのカードを全て手札・エナに移す
あまりにも原始的で、あまりにも現実離れした手段。
2ターン目に実現するなんて無理だ。
誰もがそう思うだろう。
だが、この2枚でデッキを大量圧縮すれば、実現できるのではないか・・・?
- <選択する物語>
- <羅植華姫 バオバブーン>
僅かな仲間と共に、残り42枚を探す旅が始まった・・・
2.ルリグ選択
11月28日 自宅「42枠未定」
殆ど0からの再出発となった筆者の第一の関門は、ルリグ選択であった。
Lv1の時点で、ルリグ間に大きな差はない。
どういう基準で決めれば良いものか・・・?
- コイン枚数
- アドバンテージを稼げる下級シグニ
まだアーツ・キーの構成は未定だ。
コインが何枚要るかは不明だが、多い方が良いのは間違いない。
今は懐かしい表現だが、Lostorage勢のルリグ達に注目し、以下のルリグに絞り込んだ。
- あーや:初期コインは4枚と多い。青ルリグで、デッキの回転率が高い。3枚までトラップを敷け、他ルリグに比べて3枚分圧縮可能。
- メル:初期コインは3枚。エルドラの名残で、アクセを使いたいと思った。特に<クギニ>の出現時のアド稼ぎは優秀だ。また、<装厳>というスペルが存在し、一気にデッキを3枚掘り進めることができる。
- ママ:初期コインは4枚。特に<ゴウドウ>のアド稼ぎ能力は、他のLv1のシグニの追随を許さない。
- グズ子:初期コインは3枚。<ペイン・バイ・ペイン>の存在から、<ハッカドール1号>を使いやすい。 黒シグニは<ディストラクトアウト>のコストに必要なため、自然に投入しやすい点も利点だ。
度重なる検討の結果、結論としてはママを選択した。
<ゴウドウ>だけではない、もう1つの強力シグニが後押ししてくれた。
勿論、場に出して使うのではない。
「トラッシュに置き、起動能力で除外し、場のシグニのレベルを1から1に変える」
ただそれだけだ。
だが、その能力が持つ意味は大きい。
除外できるということは、リフレッシュ後のデッキを圧縮できるということだ。
<物語>、<バオバブーン>、<ネンレイ>・・・全てを除外できれば、除外ゾーンに最大12枚のカードを置くことができる。
デッキとトラッシュの全てを手札とエナに移すことは無理でも、除外ゾーンを組み合わせれば実現できるのではないか・・・?
光が射した。
アーツとキーの選択は悩ましいが、方向性は見えてきた。
最後はメインデッキの微調整。
そして、遂に・・・
「完成したぞ・・・」
各カードの意味は、実際に回す過程で明らかにするとしよう。
3.実演
ここからは実演に移る。筆者の一人回しの模様をご覧いただくとしよう。
S:1枚目の青英知、<THREE OUT>
A:1枚目の<ウエキ>or<スガミチ>、ユニークスペル
B:<ネンレイ>
回す過程で青エナを2枚消費するため、初手のエナチャージで置くことが最優先となる。
といっても、<アメンボ>は基本的に<ディストラクトアウト>のコストに使うため、それ以外の10枚から選択することとなる。
<ウエキ>・<スガミチ>は<タマキー>でサーチできるため、優先順位は落ちるものの、最初に出すことに違いないため、初手で引けていればキープしたい。
逆にそれ以外の英知は、<ウエキ>・<スガミチ>のヒット率を高める、ユニークスペルが引ける確率を高めることからデッキに戻した方が良い。
<ネンレイ>は基本戻すが、今回は青シグニ+<THREE OUT>のセットが引けているため、<THREE OUT>で捨てる用途で1枚キープしておいた。
マリガン後、Lv1にグロウした後の様子は以下の通り。
ヒット率向上のため、極力英知シグニが残っている状態、つまり<タマキー>使用前に<ウエキ>・<スガミチ>・<創造>を使用したい。
その後<タマキー>で<ゴウドウ>を3枚サーチ、その後<ソウイキー>で2ドローした結果、下の写真の状態になった。
除外ゾーンが見づらいが、<THREE OUT>で<ネンレイ>を捨てて即座に除外し、写真では<物語>の下に敷かれている。
この時英知シグニをデッキボトムに配置しよう。
意味は後で分かる。
ターン終了時までの大まかな流れだが、
「<THREE OUT>、<ドローフォー>でざっくりとドロー→<ゴウドウ>・ユニークスペルで枚数調整→<猛威継承>使用→デッキ残り6枚の状態で<三剣>を使用し、残りデッキ3枚でターンエンド」
と進める。
<THREE OUT>、<ドローフォー>、<物語>と多様なドロー手段があるため、ドローできてしまえば手札の質は安定するが、青エナの確保に注意が必要だ。
「<ゴウドウ>でエナチャージ→ユニークを当てる→<ゴウドウ>でエナチャージ」が基本的な動きだが、<ゴウドウ>のエナチャージはランダム性があり、2枚目の青エナが落ちない場合もあり得る。
場合によっては、<バオバブーン>を先に使用する、青英知にユニークを当てる必要が生じるといった対処が必要な場合がある。
ところで、写真では残りデッキが7枚であるが、1つトラブルが生じている。
<三剣>が見えていない
一方、<物語>は3枚と十分に引けているため、<三剣>は諦め、<ゴウドウ>と<物語>で4枚掘り進める路線に舵を切った。
残りデッキを3枚まで掘り進め、<猛威継承>で手札を調整した後が下の写真だ。
S:<三剣>
A:<バオバブーン>、1枚目の<ゴウドウ>、1枚目の<ネンレイ>、<物語>
B:2枚目以降の<ゴウドウ>、1枚目の<スガミチ>
である。
要は、デッキを掘り進められるカードをキープするということだ。
今回は<三剣>を引けていないが、手札に来た<ネンレイ>を<猛威継承>でエナに置き、<三剣>を使った後にコストの<ネンレイ>を除外するという動きは覚えておいてほしい。
トラッシュは6枚。ここに<ディストラクトアウト>のコストとして<アメンボ>が落ち、リフレッシュ後のデッキは7枚となりそうだが、全てを手札・エナに移すことは可能なのだろうか・・・?
ここからの動きは一定だ。
- ⅰ<ディストラクトアウト>を発動
- ⅱ<エルドラキー>を使用し、ライフトップ3枚を見て並べ替え、シグニをトップに持ってくる。回収する価値のあるシグニならなお良し
- ⅲ<イベリコーナキー>に変更し、青カードを3枚回収
- ⅳ<スガミチ>をダウンさせ、デッキボトムの英知シグニを回収し、リフレッシュに入る
また、ⅱの<エルドラキー>は一見無意味なようだが、負け筋を1つ消すために採用している。
そう、「リフレッシュダメージでスペルが落ちる」ことだ。
ほぼアドバンテージを生まない<エルドラキー>だが、スペル埋まりのリスクは無視できない。
なお、即リフレッシュに入ってしまうため、ライフトップをトラッシュに置き、デッキトップをライフに加える効果は使用しない。
ライフトップが3枚ともスペルの場合は、リフレッシュダメージを変えるために入れ替えざるを得ないが、ほぼ起こり得ないはずだ・・・
後はリフレッシュ後に、<鎮護国禍>、<バオバブーン>、<ゴウドウ>出現時、<物語>で残りのデッキを手札・エナに送って無限ルリパンを決めるのみ。
小技だが、手札に<ネンレイ>が居れば、<イベリコーナキー>の起動効果を使用し、1ドロー→<ネンレイ>を捨てて除外と進めることでデッキを1枚掘ることができる。
引き次第で、デッキ0枚まで到達できるかギリギリになるため、こういう小技を覚えておくと、役に立つゲームがあるはずだ。
そして遂に、デッキ0枚、トラッシュ0枚まで到達したのが下の写真だ。
勝利には不要であるが、デッキとトラッシュを空にするにはやむを得ない。
この事例では回りが良かったこともあるが、2ターン目にスペルを使用していない。
つまり、相手が<アイドル・ディフェンス>を使用するには5コスト要するということだ。
<アイドル>ケアをしつつ、先攻2ターン目に無限ルリパン状態を作る・・・
構築当初は再現不能だと思われた布陣を、ママで再現することができた。
筆者の最新作「1止めママ」誕生の瞬間である。
4.実戦編
12月1日 イエサブ秋葉原 セレモニー遂に実戦の日を迎えた。
最新作の実戦投入に胸が高鳴る。
その一方で不安もあった。
「事故を起こさず回し切れるか?」「ルール面で穴は無いか?」
1止めママという未踏の地に踏み込む時、そこにどんな事故が待ち構えているか分からない。ルールの勘違いで実現できないかもしれない。
緊張の一戦が幕を開けた・・・
- 1回戦 ドーナ 後2T 無限ルリパン 〇
- 2回戦 紡ぐ緑子 後2T 無限ルリパン 〇
- 3回戦 あーや 先2T 無限ルリパンを仕掛けるも、クリショトオンに阻まれ敗北
- 4回戦 カーニバル 後2T 無限ルリパン 〇
- 5回戦 雪月花代(ヨネカジさん) 先2T 無限ルリパン 〇
予選4-1上がり
- 1回戦 ドーナ 後2T 無限ルリパン 〇
- 2回戦 雪月花代(ヨネカジさん) 後2T 無限ルリパンを仕掛けるも、ランデスで2リフに持ち込まれ敗北
改めて驚きであるが、3ターン目以降に突入したゲームは無かった。
2ターン目、無限ルリパンが通れば勝ち、阻まれれば負け・・・単純だ。
毎回同様の動きで無限ルリパンを仕掛けたのみだが、簡単にコメントしておく。
一方、<アイドル>の採用率は低いため、<猛威継承>の手札調整時に<物語>を3枚抱えておき、場のシグニを事前にバニッシュした状態で無限ルリパンに入ることでケアをした。
対ナナシでも、LB<インフル>が厄介なので、同様の手順でケアすると良い。
<アイドル>採用率が高く、ケアが必要な相手だが、更に厄介な1枚が採用されていた。
そう、<ネームレス・フィアー>である。
本当に首の皮1つしか残らなかった・・・
- 先攻1T、2Tに1枚ずつエナチャージ
- <ゴーストパーティー>を使用し、2回エナチャージ
だが、最後は運がこちらに味方した。
Lv1の怪異シグニを引けない
<ゴーストパーティー>のバニッシュ対象がおらず、Lv2へグロウせざるを得ず、1エナ消費してくれた。
更に幸運なことに、抱えていたのは<ワニュウドウ>1体で、ダウン耐性を付与する厄介なシグニであったが、<ゴーストパーティー>で退場したため一安心。
<ワニュウドウ>→<スナカケ>→<コダマ>と2回<ゴーストパーティー>を使用し、アタックに入るも、<ソウイキー>で<コダマ>をダウンし、相手のエナは3エナのみでこちらのターンを迎えた。
後は返しにスペルを使わずにデッキ・トラッシュを0枚にし、無限ルリパンでフィニッシュ。
予選で当たった1回目は初見殺しの勢いで勝利するも、流石は世界王者、2度目は喰らうまいと、対戦前に対策を閃いた様子。
<物語>でエナを貯め、4エナ構えてきた。
気付かれたか・・・
しかしこちらはプラン変更を変えられない。
やむなく後攻2Tに無限ルリパンの布陣を作ってアタックに。
ここで相手から秘蔵の1枚が放たれた。
「<謳金時代>、エナを2枚トラッシュに」
トラッシュにカードが置かれたことで、2回目のリフレッシュに突入。
為す術の無いこちらはやむなく投了し、1止めママのデビュー戦は幕を閉じたのであった・・・
いかがでしょうか?
2止めエルドラが裁定に阻まれた時は断念しかけましたが、無事、バニッシュアーツ&<カニキー>に対応し、一定の勝率を叩き出せる形に仕上がって良かったです。
無限ルリパンを決めた瞬間、会場で歓声が起こり、Twitter上で多くの反響をいただけたことから、2遊月に続く筆者の最新作と言って過言ではないと思います。
決まった時は非常に爽快ですので、一度試されてはいかがでしょうか?
ではまた(^-^)/