後編ではデッキレシピを解説します。(前回の記事はこちらから)
まずはデッキレシピの再掲から。

◆構築の方針
<エラキス>&<ニジメノウ>が判明した段階で、一度縛魔炎の記事を書きましたが、その時からはレシピが大きく異なっています。<共存共栄>の公開が大きく影響したのは勿論ですが、それ以上に「安定性と選択肢の広さのバランス」を取るのが難しいと感じたことが大きいです。

フラゲ記事で色々な動きを紹介するという趣旨である以上やむを得なかったのですが、以前のレシピでは動きの焦点が定まらず、実戦で使うと安定して勝つのは難しいです。
速攻デッキは詰めまでのターン数が短く、素引きした少ないカードの中でショットを仕掛ける必要がある都合上、何より安定性を優先する必要があります。
<縛魔炎>はロングショットを仕掛けるポテンシャルを有するルリグではありますが、ロングショットには下記の通り、色々と問題点があります。
- 要求点数が多いほど必要パーツが多くなる
- 要求点数が多いほど相手の防御LBで防がれる可能性が高くなる
- 要求点数が多い状態でLBで防がれると、ライフを割った分だけ相手のエナが増えるため、次のターンでショットを仕掛けてもアーツで防がれやすい
では、どうやって点数を稼ぐか?
ここで<共存共栄>の真価が発揮されます。
出でよ!
今までの<縛魔炎>に入っているのを見たことはありませんが、<托生>が出た瞬間に、「<爾改>に<オリハル>とセットで入れよう!」と考えついた筆者にとってはお馴染みの1枚です。
<縛魔炎>の構築を思案しつつ試しに入れてみたところ、非常に使い勝手が良かったです。
パワー7000以下のシグニはLv3までに大量に出てくるため、腐ることが少なく、特に後攻で2ターン目の除去が安定するのは嬉しいです。
先攻は3ターン目に<エラキス>、<イリスアゲート>といったシグニも除去に加わるため、4ターン目のショットまでにダメージを稼ぎやすいのですが、後攻は3ターン目にショットに入る必要があり、ショットまでのダメージ稼ぎにそれらのLv3シグニに頼れないためです。
勿論良いことづくめではなく、<アダマスフィア>で2枠、<オリハルティア>で4枠取るため、他のカードを絞る必要が出てきました。
残りのカードの採用理由、不採用にしたカードの理由を以下でご説明していきます。
ルリグデッキ
但し、世界大会ルールではカテゴリを明確にするため、<spread WIXOSS>のようにルリグタイプを持たないルリグは使えないルールになっていることが多いです。
案外忘れがちなので取り上げておきました。
筆者も世界予選で使う時は普通のLv0遊月に変えないといけませんね。
特に先攻で、「<クラチャン>2エナチャージ+パワー1000のシグニの前(若しくは空いたところ)に<カヤッパ>出し→<共存共栄>で更に2エナ伸ばす→エンド時<カヤッパ>効果」の6エナチャージの流れが決まると爽快です。
というか、それしか使ったことがありません。
これで<ガーネットスター>&<アダマスフィア>をエナに置き、妹シグニをフル稼働させる準備を整えます。
なお、精羅シグニが場に居ないとコストを軽減できない点、アタックフェイズしか使えない点に注意が必要です。
この制約により、初手のマリガンに悩まされることがあります。
初手に<カヤッパ>があれば何も迷わないのですが、居ない場合は慎重にマリガンを決める必要があります。
<カヤッパ>無しの初手を引いた場合、筆者は大まかには下記の基準でマリガンを決めています。
- Lv1シグニは先攻なら全部戻す、後攻なら1枚だけキープ
- <アダマスフィア>はキープ
- <オリハルティア>は<アダマス>とセットならキープ、そうでなければ戻す
- 後はよほどの有効札(対2アンの<BAD SIDE>等)でなければ戻す
そのため、<カヤッパ>が引けていない場合には手札の大半を戻して引きに行くことになります。
以前の記事では<紆余曲折>を採用していましたが、実は2枚回収をする場合は消費エナが変わらないことに気付き、それなら防御性能もある<水天>の方が強いなと思い<水天>を採用しました。
以下が比較です。(括弧内はエナの消費を表します)
合計:9エナ
合計:9エナ
回収が1枚だけなら<曲折>の方がエナ的に有利であったりと、単純比較はできませんが、エクシードを使わず、防御能力も持つ<水天>の方が有用だと思い<水天>を採用しました。
想定した対面としては・・・
縛魔炎ミラー:<イリスアゲート>を寝かしてスペルを撃ってきたタイミングでカットインすることで<イリスアゲート>がアップしなくなります。また、<ウルバン>のアップも防げます。
エルドラ:キスドラなら1ターン分の動きを止められます。5エルドラでも<デメニギス>、<グレホザメ>、<ルアー>の能力が誘発しなくなるため、動きをある程度封じられます。
アイヤイ:カットインタイミングで使えば以降の<ワラニン>、<カルタ>、<スイングライド>、<シャフリ>の登場時能力が使えず動きを止められます。スペル無しで頑張られたとしても、アタックフェイズに使えば<スイングライド>のアップは防げます。
止めママ:カットインタイミングで使えば以降の<ゴウドウ>、<ゴウカク>のエナチャージを防げるほか、<アカペン>が起きなくなるためショット時のダメージが減ります。
植物緑子:<ラフレレ>、<キク>等のチャージが発動しない上、<コスモウス>がアップしないためロングショットを防げます。
といったところです。
こちらがショットに入る前に逆にショットを仕掛けてきそうな相手によく刺さるので有用な1枚だと思います。
今後は<縛魔炎>ミラーが増えそうなので、1枚あると重宝しそうです。
メインデッキ
<宝剣>は<ウルバン>用、<割裂>はノーパンされて<龍滅>+<重来>のエナが足りない時の保険です。
<硝煙>と<三剣>はどちらもエナ確保用ですが、盤面を空けたい時、後にスペルを使いたい場合は<硝煙>、とにかくエナを増やしたい時は<三剣>と使い分けると良いでしょう。
わざわざ<SEARCHER>でサーチすることは少ないでしょうから、<THREE OUT>で素引きした時に使うことが一番多いかと思います。
ウリス相手にデッキ落としが有効打となる場合もあり、エクシードの有効な消費先となります。
4投して被った時はエナが不足しそうなので3枚の採用としました。
枚数を絞って、Lv3のターンに引ければ十分なカードということで<TAP>を採用。
用途は、相手の手札を見てガード制限を確実に通すことです。
後運良くLBが発動すればピーピングハンデスができます。
除去の手数が足りない場合には除去に回ることも可能で何かと優秀な1枚です。
エンド時にハンドを切る必要がありますが、基本的に詰めのターンか手札に余裕があるターンでしか出さないため、あまり影響は大きくないです。
轢断緑子の<ディスルー>と使い道は近く、アロスのバオバブーン、エルドラのトオンをハンデスすることができます。
ピーピングができるため、ガード制限の補助にもなります。
不採用としたカード
1面守りを2回使えるだけで、何に対して使うのかの焦点がぼやけがちになるという意味でも不採用としました。
妹ビート型の<縛魔炎>では、<龍滅>・<重来>・<共存共栄>・<クラチャン>の4枚が確定枠で、回収手段としての<水天>も有力候補です。
残り1枠でメタ対象への防御アーツを積むことになりますが、1枠しかないことから、汎用性よりは特定の相手に刺さるカードが欲しいです。
ショットに入る前に<縛魔炎>やアイヤイにショットされる、ノーパンからLv4まで耐えられて植物緑子やキスドラにぶん回されて負けるというパターンが負け筋として想定されるため、それらの対策となる<アンチ・アビリティ>は理に適っていると思います。
後はショットで仕留め損ねた時に1点たたき割ることで、0点まで削り、ガード不可からのルリグアタックで詰めるプランに繋げることもできます。
・・・とここまで書くと<縛魔炎>と相性が良い気もしますが、以下の理由で実戦的には使いづらいと考え、不採用としました。
<龍滅>+<謳金>で詰めに行くタイミングだとエナがギリギリになることが多いので、エナコストが多いのは使いづらいです。
また、ショットを仕掛けて仕留め損ねた時の追加1点狙いの場合でも、初めのショットでエナをカツカツまで使っている場合が多いため、セカンドアプローチで4エナ確保するのは大変です。
どのタイミングで使うにしても、重いコストが足枷になる印象です。
マルチエナがあると何をされるか分からないので、確実に落としておきたいですよね。
「丁度1点になるタイミングでショットが止まる」、「連打できるスペルを構えている」、「<流転>や<ダウト>で回復されない」という条件を満たして初めて有効打になりますが、現実なかなかそうはなりません。
それを狙う位なら、<断罪の轢断>を入れた方がスペルなのでついでにガード制限も出来て良いです。
但し、<謳金時代>がアーツである故の利点もあります。
それは、
「相手ターン中にライフトップの<トオン>を割れる」
ことです。
エルドラ側が《BAD SIDE》を警戒し、先にトオンを埋められたケースで、相手ターン中にトオンを割ることができるのは大きな利点です。
環境次第では採用しても良いかもしれません。
「Sister's Beat」と言いつつ、<ニジメノウ>を入れないのは正直抵抗がありました。
筆者の好みのタイプではなかった・・・ではなく、ちゃんとした理由があります。
トラッシュなら<共存共栄>でエナに置き、そこから安定してトラッシュに送れるため、安定性という面ではその差は歴然です。
いくら<イリスアゲート>を4投しているといっても、引けない時はありますし、たとえ引けてもスペルを回収したいタイミングまで手元に残せるかは別問題です。
環境初頭ということもあり、「安定してライフを削った上で詰めに入る」というシンプルなプランに特化できるよう、不採用としました。
ある程度ライフを削ってから詰めに入るというコンセプトなので、
<宝剣>→ライフをある程度削れていれば無くてもOK
<割裂>→一度<龍滅>+<重来>を決めてしまえば、2回目のエナ削りは基本不要
<硝煙>→回収してまで使いたいタイミングはない
<宝剣>がライフに埋まった時の発掘手段になるかもしれませんが、そんな保険のような扱いのカードに枠を割くのはどうかと思いました。
大きな可能性を秘めた1枚だと思うので、他の方のレシピで上手い使い方に気付ければ採用したいと思います。
2アン→<大盤振舞>+<三焼揃踏>
ウリス→<コグネイト>・<散華>コイン技
アサシンを付与できることでゲームプランが広がるのは事実ですが、アサシンを付与したい相手に軒並みバニッシュ手段が積まれており、<双撃>単体では苦しいと感じたため不採用としました。
赤のLv1シグニ+アレクサンドがセットで採用できるレベルなら採用も視野に入るかと思います。
僕は銃声より先に《チェイン・B&B》を4枚積む人間なので・・・という余談はさておき、下記の通り、使いどころが少ないと考えて不採用としました。
相手をライフ0にする機会が少ない以上、ルリグ効果だけでも十分と感じました。
<ニジメノウ>を不採用としているため、少し使い勝手が悪い気がします。
いかがでしょうか?
<縛魔炎>の長所とも言えるプランの広さを敢えて封印し、<オリハルティア>でしっかり削ってから詰めに入るというコンセプトにしたため、<縛魔炎>初心者の方でも扱いやすくなっています。
慣れてきたところで<ニジメノウ>を採用し、<縛魔炎>の可能性をどんどん広げていけば良いかと思います。
<縛魔炎>には他に《サーバント A》でアドバンテージを稼ぎつつ、《集結する守護》でランサーを付与して攻める型も存在しますので、本当に大きな可能性を秘めたルリグだなと感じています。
筆者もまだまだ可能性を模索していこうと思います。
また面白いデッキ、強いデッキが組めたらご紹介しますので、お楽しみに(^^)/