「人気のあのカードについて教えて!」シリーズ。今回は<大装 ゲイヴォルグ>についてご紹介します。
登場から長い長い下積み時代を経て、今や白デッキの必須枠とも言える立場を掴み取った、大器晩成型シグニの1枚。その強さや歴史をたっぷり語っていきますので、よければお読みください。
1:テキスト紹介
まずは能力の解説から。自分のアタックフェイズ開始時に、白シグニ1体をダウンすることで1ドローする自動能力と、センタールリグに「アタックしたとき、相手シグニ1体をトラッシュに置く」を与える常時能力です。
主に【リメンバ】【あや】など、耐久力に長けたデッキで使われているシグニです。
持つ2つの能力は「面要求は少なめだけれど、長いゲームがしたい」デッキと相性が抜群。<ゲイヴォルグ>自身は直接ライフクロスを狙える能力を持ちませんが、相手とのリソース差をじわりじわりと引き離すことに関しては大得意です。
まさに長期戦のエキスパート。【リメンバ】の台頭で長期戦環境となった、2022年後半のディーヴァセレクションを象徴するシグニ、とも言えましょう。
2:「1面要求+ルリグ」の申し子
<ゲイヴォルグ>が最も得意とする場面は、「シグニで1面要求+ルリグアタック」の状況です。<エクシア>や<コードハート リメンバ//メモリア>など堅牢なシグニが並び、ゲームが長引けば長引くほど、<ゲイヴォルグ>の2つの能力が輝きます。
<エクシア>や<リメンバ//メモリア>などの正面に置いた白シグニをダウンさせれば、ドローにつながります。
ダウンさせたシグニの正面のシグニはバトルによるバニッシュで処理できなくなりますが、<ゲイヴォルグ>がルリグに与えたトラッシュ送りで後ほど処理すれば良いですし、<エクシア>などは<ファラリス>で狙いながら、他の場所の別の白シグニをダウンさせてドローに変換する、なんてこともできます。「アップ状態の〜」系のライフバースト対策にも繋がりますね。
配置場所に応じてダウンさせるシグニをどう選ぶかが悩みどころですが、<ゲイヴォルグ>自身が白とあって腐りにくく、ハンデス飛び交う長期戦においては、「シグニアタック1面を放棄してドロー」はとても嬉しい能力です。
もう1つは、ルリグアタック時のシグニ除去。
「パワーを問わない」「トラッシュ送り」「センタールリグに付与する能力」という3点が非常に優秀です。
<ゲイヴォルグ>自身のパワーは12000とレベル3の中では高いのですが、ダウン状態の<コードハート リメンバ//メモリア>や、元々のパワーが高い<アンナ・ミラージュ><ウトゥルス//メモリア>などは、自身のアタックで処理できません。それらのシグニを無条件でトラッシュに送ることができるのは、そのターンの直接的なダメージにつながらないにせよ、長期戦前提の環境ではとても嬉しいです。
居座り続けると厄介な<リメンバ//メモリア>や、アタックのたびに打点orサーバントにつながる<ウトゥルス//メモリア>は、ロングゲームをするシグニにとって速やかに処理したいもの。それらをパッと消してくれる<ゲイヴォルグ>のありがたみ、です。
そして「センタールリグに付与する」という点も、忘れられがちながら優秀な能力です。
ずばり【シャドウ(シグニ)】で回避できません。【シャドウ(シグニ)】や【シャドウ(レベル1)】などは多くいますが、【シャドウ(ルリグ)】を持つカードは少ないでしょう。ここまで来ると防げるのは、完全な【シャドウ】くらいでしょう。
トラッシュ送りはルリグアタック時と遅いのですが、その遅さが<エクシア>を完全に腐らせるという評価につながるのも絶妙です。
総じて、全ての能力が絶妙に噛み合ったシグニです。
ドローと除去の発動タイミングが逆だったら<エクシア>をトリガーさせてしまいますし、除去を<ゲイヴォルグ>が行っていたら【シャドウ(シグニ)】に防がれていました。ドローのためのダウンが「自身」であれば融通が効きにくくなっていたかも。ここまで採用されることはなかったのではないでしょうか。
「書いてある能力が全部強い」と強いカードを評価する際に使う文言がありますが、<ゲイヴォルグ>は「書いてある能力が一言一句、絶妙に噛み合っている」という評価です。
また<ゲイヴォルグ>は、5弾「CURIOSITY DIVA」で登場した「シグニとスペルが連鎖するカード」の1種です。
対応するスペルは<ゲット・ヴォルグ>。小型版<ミラクル・ドロー>と、トラッシュに送るシグニの枚数を増やす能力を持ちます。
3:登場直後の評価は「遅すぎる」だった
今でこそ押しも押されもせぬ評価を手にした<ゲイヴォルグ>でしたが、長い長い下積み時代がありました。歴史とともに、<ゲイヴォルグ>の歩みを振り返りましょう。
登場は2021年8月に登場した5弾「CURIOSITY DIVA」です。
同期のSRには<H2O><ダイヤブライド>がおり、下級シグニにも<マノミン><トキユキ><ナベノツナ>など、そうそうたるメンバーが揃っています。<パラダイスうちゅう><ドラコ><イクリプス>の宇宙基盤や、メタピースとして優秀な<M.G.D>が登場した弾でもあります。
この2枚の他にも、<ピルルクxi>の登場で<Mデム>や<ハーメルン>が注目されたり、タマなどが<タマモゼン>を採用してみたりなど、事あることに5弾のSRシグニがスポットライトを浴びていました。大型イベントの物販などで「いくら以上購入で抽選!」などの企画があった際は、5弾を買うプレイヤーをよく見た印象です。SRはどれが当たっても嬉しいし、CやRのカードもたくさんあって嬉しいパックですからね。私もたくさん開けました。
そんな粒ぞろいな5弾SRにおいて、登場当時の<ゲイヴォルグ>の評価は、今とはかけ離れたものでした。
そもそも自身で要求できないし、リソース奪取のタイミングも遅い。【チームエクス】や各種【デウス】の台頭で3面要求+エナ破壊orハンデスは当たり前、の環境で、「シグニをダウンして1ドロー」「ルリグアタックでやっと1面除去」は、「遅すぎる」「そんな暇はない」という評価でした。「何か面白そうなことができそう」という意見もありましたが。
ディーセレといえば3面要求が必須。加えて、エナ破壊などの飛び道具が無いと生き残れない。
そんな超高速環境は、一人のルリグ(とシグニ)の登場で転機を迎えます。
<ゲイヴォルグ>のリソース奪取能力に注目し、「バニッシュしたシグニをトラッシュに置く」<ゆきめ//メモリア>と共に採用。下級シグニとルリグのあやでもハンデスを仕掛ける、超ロングゲーム前提の【青白あや】に、<ゲイヴォルグ>が採用されました。
7弾の発売直後、関東で一人のプレイヤーがこのデッキを世に放ち、立て続けにセレモニーで優勝・入賞を繰り返したことから、【青白あや】は一躍脚光を浴びました。じわりじわりと使用者が広がり、22年5月のディーヴァグランプリ2ndでは【青白あや】は大きな勢力となっていました。準優勝のあやは【青単あや】でしたが、【青白あや】が数としては多かったと記憶しています。
原点のデッキはこちら(WIXOSSBOX)になります「ゆきめはゲイヴォルグ」のコメントからも、その相性の良さが伝わりますね。
4:リメンバの登場でエースシグニに
22年7月のディーヴァグランプリ3rdは、優勝こそ【笛原子デウス】でしたが、【白単リメンバ】時代の到来を予期する大会でした。(白単とは「メインデッキを白いシグニ・スペルを中心に構築したデッキのことです。白色単体、の略、青単、黒単などもあります)当時の【リメンバ】は<宇宙級母性>を採用した【白単リメンバ】と、ハンデスを取り入れた【青黒リメンバ】の2タイプが研究されていたようです。
最終的に【青黒リメンバ】が主流になりましたが、構築が円熟された11〜12月頃までは、プレイヤー間でも様々な研究がされていたことが、当時の入賞デッキや各種ブログから読み取ることができます。
こちらは7月中旬に東京・八王子で開催されたセレモニーの結果です。優勝デッキを見ると、【青白あや】で人気の<マノミン><ゲイヴォルグ><マドカ//ブレイク>を取り入れながら、<コックリサン><エクシア>など、【白単リメンバ】の強みも残そうとしているようです。4位もリメンバですが、こちらは<ビッグフット><タマモゼン>の【白単リメンバ】に近い構成ですね。
【青黒】にせよ【白単】にせよ採用するレベル3シグニは、プレイヤーの好みが出ます。リメンバの入賞結果を眺めるだけでも、主流の<リメンバ//メモリア>はさておき、<H2O>、<ZrO2>、<ミュウ//メモリア>、<ウトゥルス//メモリア>など様々です。
<リメンバ・ディナー>のアタック時能力であるシグニダウン凍結と合わせて使うことで、1面をダウン凍結、1面<ゲイヴォルグ>でトラッシュ送りという、とんでもないリソース奪取性能を誇るカードになります。<ウトゥルス//メモリア>などのアタッカーは凍結させ、<エクシア>などはトラッシュに送って次に備えるなど、コントロール性能を底上げする役割を果たします。「1面ダウン凍結、1面トラッシュ」は悪夢のような呪文で、そこにハンデスが加わるとさあ大変。エナも手札もリソースも枯れ果てて、頼みの起動能力はルリグ・シグニのリメンバに封じられるという......。
入賞の傾向やプレイヤー名を見るに、ハンデス(というより【青白あや】)を好む方が<ゲイヴォルグ>採用構築を頻繁に使っている様子でした。
カスタマイズ幅の広さもまた【リメンバ】の強みで、<ゲイヴォルグ>もまた、【リメンバ】のひとつの基盤を担うエースシグニとして輝いた、ということでしょう。
5:ディソナユキと相性が良さそう?
そんな<ゲイヴォルグ>ですが、2023年にも活躍の兆しがあります。「DISSONANCE DIVA」で登場する「未開の巫女 ユキ」「コードラビリンス コネクト//ディソナ」です。
LR 未開の巫女 ユキ |
カード種類:ルリグ カードタイプ:イオナ 色:白 レベル:3 グロウコスト:白2 リミット:6 |
【自】:あなたのアタックフェイズ開始時、あなたの場に《ディソナアイコン》のシグニが2体以上ある場合、以下の2つから1つを選ぶ。(1)対戦相手のレベル1のシグニ1体を対象とし、それを手札に戻す。(2)対戦相手のシグニ1体を対象とし、このターン終了時、それをデッキの一番下に置く。
【出】:あなたのデッキの上からカードを5枚見る。その中からカードを1枚まで手札に加え、残りを好きな順番でデッキの一番下に置く。 【起】エクシード4:【シグニバリア】1つを得る。 |
SR コードラビリンス コネクト//ディソナ |
カード種類:シグニ カードタイプ:奏械:迷宮 色:白 レベル:3 パワー:12000 |
【自】:各アタックフェイズ開始時、対戦相手のシグニ1体を対象とし、対戦相手が《無》を支払わないかぎり、ターン終了時まで、それは能力を失う。
【自】:あなたのターン終了時、あなたの場に《未開の巫女 ユキ》がいる場合、対戦相手のシグニ1体を対象とし、それをデッキの一番下に置く。 【出】:あなたの他の《ディソナアイコン》のシグニ1体を対象とし、次の対戦相手のターン終了時まで、それのパワーを+3000する。 |
もちろん「コネクト//ディソナ」2面でも良いのですが、<ゲイヴォルグ>が絡めばドローやルリグによるトラッシュ送りができるので、「コネクト//ディソナ」とは補完し合う関係になるでしょう。
「未開の巫女 ユキ」自身が【シグニバリア】を1つ得られるため、「黒点の記憶」で【ルリグバリア】【シグニバリア】を更に得ることで追加で3面防御を作り出し、「コネクト//ディソナ」<ゲイヴォルグ>「未開の巫女 ユキ」の3枚で相手のシグニをどんどんデッキ送りやトラッシュ送りにする、超耐久デッキを作ることができそうだな、と考えています。「幻水 イシガメ//ディソナ」という、ディソナ版<マノミン>もいますので、ハンデス基盤を組み込むことも可能です。
ディソナ単体で組んでももちろん良いですが、「未開の巫女 ユキ」の自動能力はディソナシグニが2枚あれば発動するので、<ゲイヴォルグ>はもちろん、<エクシア><リメンバ//メモリア>など、既存の優秀な白シグニを添えることもできます。
ディソナ登場後も【リメンバ】は強力なデッキであることには変わりませんから、<ゲイヴォルグ>の出番はまだまだありそうな予感がします。
4月の「concord diva」では新たな装いのリメンバと、白ルリグとして「マユ」が新たに登場するので、<ゲイヴォルグ>がどんな活躍をするか、引き続き注目していきたいところです。
6:終わりに
というわけで<ゲイヴォルグ>の解説でした。<ゲイヴォルグ>というよりは【リメンバ】を振り返るような内容でしたが、切っても切り離せない関係にありますからね。
毎ターン1面トラッシュ1面ダウン凍結の恐怖、味わった方は多いでしょう。ディソナユキでも活躍してくれることを期待しています。
2022年後半のディーヴァセレクションは、まさに【リメンバ】の時代でした。
コントロール性能やカスタマイズ幅の広さもありましたが、プレイングの難しさや構築の自由度がまた、プレイヤーに練度と実力を求めてくるシビアな時代だったなと、こうして記事を書いて思います。
私も22年後半は【白単リメンバ】【青黒リメンバ】を中心に練習しました。相手のルリグや対戦相手の練度、バトルの展開などから、「<リメンバ・ディナー>の起動能力で何を手札に加えるか」「ハンデスをどの程度仕掛けるのか、仕掛けないのか」「要求はどうする」「ピースは?」「<リメンバ//メモリア>と<ゲイヴォルグ>のどちらで攻めるの」などの選択肢が、1試合に次々登場する、果てしないコントロールゲームの繰り返しでした。
非常に難しく、果てしなく、しかし非常に奥深く、だからこそ楽しい。結果こそ残せなくとも充実な日々だった、と書き記しておきます。勝ちたかったなあ......。
5色環境、ディソナ環境も楽しみです。
「ミコオシ」のビジュアルがドツボofドツボなので、みこみこは組みます。ディソナ版<RANDOM BAD>まで来るとは......。